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第110話 闇の包囲網 2

逃げる途中ダークエルフに押し倒され窮地におちいってしまった亜李須川

 頭上で光る刃物に俺は全身を硬直させた。先ほどの犬とは比べものにならない恐怖が全身を駆け抜ける。


 相手は迷わず一撃で仕留めに来る……死ぬときというのはどれほどの痛みを感じるのだろうか。


 そのとき、えい!という掛け声が聞こえたのと同時に上に乗っていた男が首にかけていた手を緩め、後ろを振り返った。理由はわからないが息を吹き返した俺は無我夢中でその手を振り払い男を突き飛ばした。


 顔を上げると男のそばにポリーンが立っている。俺は彼女の腕を引き、そばにいたピヨをつかんだ。後ろを振り返らず走り出す。するとどこからか知った声が聞こえてきた。


「おーい兄さん生きてるかー?」


 人ごみの中に馬に乗ったクロウズリーとその背中に手を回しているカルベネの姿が見えた。他にも大勢、馬に乗ったサテュロスたちがいる。あのとき助けてくれたケンタウロスの男の姿もあり、仲間を数名引き連れている。今回は防具を着用しているようだ。

 

 カルベネは馬から下りると喧騒を縫ってこちらへやってきた。


「兄さん生きてたか、いやーよかった。お、ヒヨコと虫っ子も生きてるじゃないか」

「それどころじゃない大変なんだ、三人があそこに」


 俺が囲まれている三人を指差すとカルベネはピーッと指笛を吹いた。


「おい、あそこだ、助けに行ってくれ」


 するとケンタウロスたちは男を先頭にダークエルフたちを蹴散らすように割って入った。背後からの予期せぬ援軍によりパニックになり、そろっていた陣形はどんどんと崩れていく。


「ところでこの首謀者はだれだ?」


 彼女の言葉に年老いたダークエルフの姿を探したがどこにも見当たらない。


「くそっ逃げられた」

「なに?!追いかけるぞ」


 カルベネは俺たちを置いて走り出してしまった。


「悪いけど二人はどこか安全な場所に隠れててな」


 俺は二人にそう告げ彼女の後を追った。


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