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第109話 闇の包囲網 1

ポリーンが水をかけたことにより地獄の犬の弱体化に成功した

 水を掛けられ、煙を上げる二頭の犬は一回り小さく見えた。その様子を見てピヨも降りてくる。


 俺たちはわあわあと騒ぎ立てながら弱体化した犬をもといた檻へと閉じ込めた。


 すると前方から場違いな拍手が起こる。


「ハハハ、井戸の水を使うとはそれは思いつかなかったなぁ。さすが勇者ご一行様だ。」


 ダークエルフの男は目を細めへらへらと笑っている。その姿は俺たちをさらに苛立たせた。すると突然横のほうで様子を見ていたセシリアが前に立ち塞がった。


「もう余興は終わりでしょ、さあいい加減何を企んでいるのか言いなさい。さもなくばもうこの森にあなたたちの居場所はなくなると思いなさい!」


 相手は一瞬驚いた表情を見せたがすぐにまたニヤリと口を歪めた。


「おお恐ろしい、でも温室育ちで鼻ばかり高く伸びた光のエルフたちにそんな乱暴なことできますかなぁ?」

「なんですって?!」


 セシリアは腰から短剣を引き抜くとダークエルフたちに突きつけた。


「もう一度言ってみなさい、その無礼な舌を切り落としてやる!」

「な、なあセシリア相手の挑発にはあんまり……」


 俺がすべて言い終わる前に彼女は走り出してしまった。

 

 待っていましたと言わんばかりに横にいた二人の護衛が向かってくる。彼女は自分よりも体の大きな大人二人の攻撃をするりとかわし、反撃に出る。


「仕方ない俺たちも助けに行くか」


 そう言おうとしたときセシリアの後ろからスッともう一人現れ後頭部を殴りつけた。


 奇襲を受けた彼女はパタリとその場に倒れこむ。


「ンヒヒヒ、全く馬鹿な小娘よ、こちらは練習用のわら人形ではないと言うのに。もう十分だ、残りのやつらも始末しろ」


 男の言葉に周囲に待機していたダークエルフたちが一斉に動き出す。ニーナとフィリアナ、エレナーゼが対応するがあまりの人数にすぐにもみくちゃにされてしまった。


「アリスガワ!ポリーンとピオーネを連れて逃げろ!」


 シャリンはそう言うと抗争の中へと姿を消した。今は彼女の言うことを信用するしかない。俺は二人を抱えて走り出した。


「ねえ、みんなは?ニーナとフィリーは?シャリンはどこ?」


 ピヨは心配そうな声を上げるが俺は何も言えなかった。すると突然横からものすごい衝撃を受けた。


 俺は横倒しにされ抱えていた二人を投げ出してしまった。起き上がるまでもなく上にのしかかられ革のグローブをはめた手で首をわしづかみにされた。


 あまりの力に声が出ず、胃の中身が逆流しそうになる。


 太陽の光に目を凝らし上を見上げると、もう片方の手には鋭い刃物が握られていた。


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