第8話 森のハーピー族と猫盗賊団 1
さらわれた仲間の落とした羽をたどり盗賊団のアジトを捜すピヨと亜李須川
「ここで羽は途切れているな」
さらわれたハーピーたちの落とした羽をたどってきた俺とピヨはいかにも怪しい洞窟の前で立ち止まった。
「なあ本当に行くのか?いったん仲間を呼びに戻ったほうがいいんじゃないか?兄さんとかさ……」
「そんなことしている間にもひどいことされてるかもしれないんだよ?!」
そういうとピヨはずんずんと洞窟のなかに入っていってしまった。俺は小さくため息をつき後を追った。
洞窟の中は昼間だというのに薄暗くじめじめとしている。いつ影から襲い掛かってくるかわからないと思うと背筋に寒気が走る。突き当りの角を曲がった先から人の声が聞こえてくる。村を襲った盗賊団に違いない。
「で?なにか作戦はあるのか」
俺は声を潜めてピヨに聞く。だがまたも俺を無視して洞窟の先へと走って行ってしまった。そして、
「こらーどろぼーピヨの仲間をかえせー!!」
と堂々と盗賊たちの前に出て行き叫んだ。さすがにここまでは予想していなかった、ピヨの姉の言うとおり力ずくで連れ戻せばよかったと今さら後悔をしてももう遅い。
「なんだぁ、わざわざもう一匹自分からつかまりにきたぜ~」
盗賊たちの笑い声が聞こえる。これはまずい、もし俺がこの世界に呼び出された勇者なのならば何かしらの能力が発動するはず……!まあそんなわけないのでさっさとピヨを連れてここから脱出しよう。俺は今度こそ力ずくでつれて帰るため盗賊たちの前に飛び出していった。