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〔消臭力〕で異世界を制す! ~オナラが臭いサラリーマンの、思いもよらぬ逆転人生~

作者: まにぃ
掲載日:2018/10/04

取るに足らない、そう思っても。

活用法によっては、凄い事になる。

これは、そんな話です。

息抜きに、軽い気持ちで読んで下さい。

楽しんで頂けると幸いです。

 危ない!

 そう思った時には既に俺は、道へ飛び出していた。

 子供がトラックにはねられそうになっていたんだ、しかも可愛い女の子。

 放って置けるはずが無かろう、それで俺は。

 天高く吹っ飛ばされた。

 勢いが有り過ぎて、何時いつ地面へ落下したか気付かない位だ。

 その途中で、女神様らしき声が聞こえた。


 《心優しき者よ、勇敢な者よ。1つだけ、褒美を与えましょう。》


 何でも良いって言うんで、俺は願った。

『臭いを消す力をくれ』ってな。

 恥ずかしながら、俺はオナラが臭い。

 俺自身が苦しむ程だ、酷いもんだろう?

 気を遣ってトイレに駆け込んでも、外まで漏れるんだぜ?

 職場が有るビルの屋上、そこが俺の指定席さ。

 こうでもしないと、気絶者が出かねないからな。

 どれだけ神経をとがらせながら、日々を過ごしていた事か。

 普通の人には、大変さが分からないだろう。

 だから思わず、願っちまったんだ。

 自由に臭いを消せたら、気兼ねなくオナラが出来るのに。

 ささやかな願いのつもりだったんだ、なのに。

 それが、凄い能力へ変わっちまうなんてな。

 この時には、思いもしなかったよ。




「よう。あんた、何処どこから来たんだい?」


 スーツ姿で地面へ寝転がってる俺に、気軽に声を掛けて来るなんて。

 ここは、元居た世界と近しいのか?

 そう思いながら顔を上げると、そこには。

 中世ヨーロッパの騎士みたいに、ゴツいよろいを着飾った人間の男が。

 堂々と、仁王立ちしていた。

 言葉は……日本語?

 いや、違う。

 胸元に文字らしき物が見えるけど、全く読めん。

 アルファベットでも無いし、一体何語?

 恐る恐る、俺は答えた。

 日本語のままで。


「別の……世界からです。あはは。」


 すると相手は、不思議がる様子も無く。

 淡々と、こう言った。


「【飛来人ひらいじん】か。良く来たな。」


「は?」


 その言葉に俺は、目を丸くした。

 飛来人だって! ここはそれが、当たり前の様に起こるのかよ!

 納得の行かない俺は、男へ尋ねた。


「飛来人って、何でしょう?」


「あんたが元居た世界では、そう言うのは無いのか? そりゃあ、驚いて当然だな。」


 その後男は、俺に色々と説明してくれた。

 今居る世界、【イリーガルス】では。

 異世界転移・転生は良く有るのだそうだ。

 転移者は〔飛来人〕、転生者は【再生人さいせいじん】と呼ばれるとか。

 その中には、特別な能力を授かる者も居るらしい。

 俺はたま々、臭いを消す力だったと言う訳だ。

 異世界転移・転生者の中には、不運にも。

 転移時に、壁にめり込んだまま出られなくなったり。

 木や石に生まれ変わったりする者も居るって話だ。

 それを聞いて俺は、背筋がゾッとした。

 同時に、『無事に飛ばしてくれてありがとう!』と。

 あの時聞こえた声の主、女神様らしき者に感謝もした。

 でも俺、これからどうする?

 言葉は何とか成りそうだし、後は食い物と水だな。

 うーん……。

 悩んでいると男は、こう俺に提案して来た。


「仲間に入らないか? 丁度、人手が足りて無かったんだよ。」




 男は【ダリデ】と名乗った。

 駆け出しの冒険者らしい、勇者になって魔王を倒すのが夢だそうだ。

 その為にギルドへ所属し、クエストをこなして金を稼いでいる。

 時折ときおり出会ったモンスターを狩って、経験値を上げ。

 レベルアップしているのだそうだ。

 何かのゲームまんまじゃねえか、俺はそう突っ込みたかったが。

 ゲームなんて物は存在しないみたいなので、『通じない』と思って自重じちょうした。

 ダリデはどうして、俺を誘ったのか?

 1つは、本当に人手が足りなかったから。

 ギルドには、数人単位のグループで登録し。

 それぞれのグループが、自由に活動しているとの事だったが。

 洗濯や掃除など、雑務をこなしていた者が。

 余りの仕事の多さに、グループを抜けてしまい。

 その代わりを探していた、のだそうだ。

 もう1つは、俺の能力に興味が有ったから。

 臭いを消せる、ただそれだけなのに。

『ユニークなスキルだ!』と、ダリデは絶賛していた。

 オナラや体臭、後はせいぜい生ゴミの臭い位だぞ? 俺が役に立てるのは。

 個人的には、使えない能力だと思っていたので。

 ダリデの反応は、意外だった。

 俺と同じ思いを、他のグループメンバーもいだいたらしい。

 ダリデがメンバーへ、俺の事を紹介した時。

らねえよ、そんな能力』だの、『しょうも無い』だの。

 ボロクソに言われたもんさ。

 でも、居場所が欲しかった俺は。

 一生懸命働いて、一応仲間として認められる様になった。

 努力したんだぜ? 凡人なりに。

 仲間のクエストに、時々連れてってもらえる様にもなったんだけど。

 主に荷物持ちとして、やっぱり俺は役立たず?

 自他共に凡人と認める様になった、そんな或る時。

 事件が起こったんだ、それを切っ掛けにして。

 俺の才能が花開いたんだな、これが。




 魔法師の【サリエ】って女と、剣技師の【ギャス】って男と共に。

 とある遺跡へ入った時の事。

 何かの気配に感付いたギャスが、急に足を止めたんだ。


「何かが……居る!」


「モンスター?」


 サリエが尋ねるも、ギャスは小声でつぶやいた。

『分からない、でも手強てごわそうな奴の臭いがしたんだ』ってな。

 余りに緊張していたのか、顔が強張こわばってたんで。

 冗談のつもりで俺は、こう言ってやったんだ。


「何なら俺が、その臭いを消してやろうか?」


 すると案の定、サリエとギャスは。

『ふざけるな』と言った目付きで、俺をにらんで来たんだ。


れるものなら遣ってみなさいよ!」

洒落しゃれになってねえぞ、全く!」


「いや、俺はただ、場をなごませようとして……。」


 冗談が通じない位、敵の気配は尋常ならざるものだったらしい。

 凡人の俺は、それに全然気付かず。

 結果、馬鹿にした感じになってしまった様だ。

 ほれほれ、さっさと遣れ。

 けしかけられた俺は、あらがう事も出来ず。

 仕方無く、力を行使した。

 前方へ両てのひらを突き出し、精神を集中して。

 小声でボソッと。


『敵の臭いよ、消えろっ!』


 すると、シュッと軽い音がした。

 それと同時に、敵の気配が消えたらしい。

 驚いた様子で、ギャスがチラッと向こうを確認すると。


「……何も居ない。居ない、居ない!」


「へ?」


 目を丸くする俺の両肩を、ガシッと掴むと。

 ゆっさゆっさと身体を揺さ振りながら、興奮気味に。

 ギャスが俺に、高揚した様子で訴える。


「凄いぞ! かなりヤバめの気配だったのに!」


「本当に居たの?」


 怪しむサリエ、それもそうだ。

 俺も、ギャスの言う事が信じられない。

 それじゃあまるで、俺が消し去ったみたいじゃないか。

 消し去った……あれ?

 そう、そこで俺は気付いてしまった。

 実際の臭いだけでは無く、〔気配〕や〔感じ〕の意味で使われる【臭い】さえも。

 この力では、消せる事に。




 それを証明する為に、俺は何度か。

 他のグループメンバーのクエストに同行した。

 その時ぎ取った、〔罠の臭い〕や〔危険な臭い〕を。

 俺は綺麗さっぱり、消して見せた。

 ついうっかり、〔宝の臭い〕を消してしまい。

 一かく千金のチャンスを台無しにして、大目玉を食らった事も有ったけど。

 俺の力は段々、グループにとって必要不可欠になって行った。

 危険な状況を、何のリスクも無しに回避出来るのだ。

 冒険者にとって、こんなに有り難い事は無いだろう。

 しかしそれが、グループを調子に乗せてしまった。

 或る時、リーダーであるダリデが。

 事も有ろうに、『魔王の直轄地へ調査しに行こう』と言い出したんだ。

 普通なら『危ない』『した方が良い』と、止めに入るんだけど。

 俺の力の凄さに自信を持っていたダリデ以下、グループ総勢10名が。

 俺を除いて皆、賛成したんだ。

 わざわざそんな所へ飛び込まなくても、俺はそう言い張ったんだけど。


「俺は、お前を、信じてる。」


 その一点張りで、ダリデに押し切られてしまった。

 うな垂れる俺、現実主義者だった俺は。

 あきれて物が言えない状態、それでも。

 ダリデとその仲間達は、ズルズルと俺を引きる様に連れ回し。

 本当に、魔王の出城と呼ばれるとりでの前までやって来てしまった。

『帰りたいー』、内心そう願っている俺。

 自分の死の臭いを嗅ぎ取った俺は、こそっと力で消して置いた。

 逆に、自身に満ちあふれていたダリデ達は。

 正面から堂々と乗り込むと言う、愚かな選択をした。

 危険が待ち受けていても、俺が消し去ってくれる。

 そう思い込んでいたのだろう。

 しかしそれは、間違いだった。

 俺が消せるのは臭いだけ、危険や危機の物を除去する訳では無いのだ。

 そしてダリデ達は、あっさりと全滅した。

 ついでに連中の死の臭いを消しておいたお陰で、身体の一部を失うだけで済んだが。

 代償は大きかった、もう冒険者としては遣って行けないだろう。

 心配で付いて来ていた、仲の良かった他のグループによって。

 皆は何とかギルドの有る町へと帰還し、治療を受ける事になった。

 心のダメージは計り知れない、惨敗の記憶はトラウマとなって。

 のち々まで、苦しめ続けるだろう。

 旅立つ前に必死に止めた俺を、非難する者は居なかった。

 ただ、このギルドに居辛いづらくなったのも事実。

 俺はまだ、この力を使いこなせていない。

 もっと修業すれば、きっと……。

 そんな思いから俺は、ダリデ達のもとを飛び出し。

 一介いっかいの冒険者として、イリーガルスを放浪する事になった。




 以上、これが。

 異世界転移して間も無い時の、俺の話。

 そして後に、魔王を討ち果たす事になる俺の。

 旅立ちにまつわる話。

 信じられないだろうが、事実なんだ。

 何? 俺の話から、きな臭い香りがプンプンするって?

 そんなの俺が、綺麗に消してやるよ。

 この〔消臭力〕をもってな!

いかがだったでしょうか?

自分では、一発ギャグみたいな感じの話と思っています。

長編にする予定は、今の所無いので、

もし希望される方がいらっしゃったら、気長に待って頂けると有り難いです。

それでは、読んで頂きありがとうございました。

他の作品も、宜しくお願いします。


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