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ルートF



二つ目の演目は調教師があらゆる動物を操り、大きな玉の上に乗せてバランスをとらせたり、火の輪を潜らせたりする

そしてその調教師の名はニカエル・シフォン、レイ達が攫うつもりで居る人物

彼女の髪の色は白色で瞳の色も白色だ。

彼女は全てを終えると笑顔で観客に一礼をして裏方へと消えていった。


そして3つ目の演目では団長のクァイケットとそのお供が現れマジックや曲芸を行う

そのマジックや曲芸を見て観客は喜びクァイケットとそのお供に拍手を送る、それがサーカスの楽しみ方なのだろうがジョンには関係なくどんなマジックをした? 曲芸をした? と聞かれても何も答えられないだろう

ジョンは上の空だ。


「次のマジックなのですがこれはお客様にお手伝い頂きたいのですがご協力してくれる方は挙手して貰っても宜しいでしょうか?」


 その言葉を聞いてその場に居た恥ずかしがり屋の子供以外はほとんど手を挙げ、大人の中にも手を挙げている者も居る

 勿論マリアは手を挙げており、セルフィは挙げていない


「おぉーこんなに手を挙げて貰えるとは嬉しいです。しかし今回は一人だけに手伝って貰いたいので恐縮ですが選ばせて貰います」


 クァイケットは外の時とは違いステージの中では非常に大人しく言葉使いも丁寧

 とても死体を抱いて寝れる女性だとは思えない

 クァイケットはわざとらしく人を吟味しているフリをする


「ん~それではその一番後ろに居る黒い服を着たお兄さんに手伝って貰いましょう!」


 一番後ろだとクァイケットが言って指差したので観客が一同にそこを向く

 そこには黒い服を着てボケーとしている男が立っていた。

 

「俺?」


 自分の事を指差す黒服、頷くクァイケット


「おい! 冗談だろ!? 俺は手を挙げてなんか居なかったぞ!!」


 その通り、この男が出たがるわけがない


「いえ! 私は分かっています! 貴方が本当は手を挙げたいのだけれど挙げれないその気持が! さぁ! 気恥ずかしさなど捨てて思いっきり楽しみましょう!」

「ふざけんな! 俺は絶対に出ないからな!」

「そ、そんな……では、仕方がありません……出て頂けないのなら……今日の公演は中止せざるをえないですね、だって楽しんで頂けていない様なので」

「はぁ? 何を言って――」


 ジョンが言葉を言い掛けた時、観客達が


「えぇー!?」


 という悲鳴を上げる


「冗談じゃないよ!! この日をどれだけ楽しみにして来たと思っているんだ!! ほら君! ワガママを言っていないで早く行きなさい!」

「え?」

「そうよそうよ!」

「酷いや! お兄ちゃん!」

「妾の出番を横取りしておいてそれは無いぞ!!」


 詰め寄る観客


「ま、待てよ」


(クソッ! あいつ、最初からこれが狙いだったのか!)


「ずっと楽しみにしてたのに……」


 泣き出す子供も出てきた


「わ、分かった。分かったから泣くなよ……」


(泣きたいのはこっちだっての……)


 そんなジョンを傍らで見て笑いを必死に堪えるレイ


(ケケケッいい気味だぜ)


 マリアは呆れてモノも言えない様な顔をしている、セルフィは心配そうにしている


「では黒服のお客様の気持ちも決まったようなので早速こちらへ!」

「……」


 仕方がなくジョンは緩やかな階段を降りてステージに向かう


「やってくれたなクァイケット」

「? 何のことでしょうか? ”お客様?”」


 クァイケットはジョンの手を引いてステージの中央まで誘導する


「さぁ! 今日協力してくれるお客様に皆さん盛大な拍手を!」


 拍手はまばら


「おやおや、ジョン君はお客様に嫌われた様だね、ふふ」


 小声でジョンにそう伝えるクァイケット


「お客様、これを持って貰っても宜しいでしょうか?」


 リンゴをジョンに差し出す。それを受け取るジョン


「では次に”お客様”この中から一枚カードを選んで下さい」


 そう言ってクァイケットはカードの束をジョンに差し出す。ジョンはその中から一枚カードを取る


「そのカードを私に見せないように自分で見た後お客様達にお見せ下さい」


 そう言ってクァイケットは目を瞑り手で目を覆う

 ジョンは引いたカードを見る

 そこにはカードいっぱいに”ジョン”と書かれていた。顔を顰めるジョン

 次に周りの観客にも見えるようにカードを掲げグルリと回る


「済みましたか?」

「あぁ」

「そうですか、それでは」


 と言ってクァイケットはジョンの持っていたカードを自分に見えない様に取りボワッと燃やす。

 それを見て拍手が起こる


「これからが本番であります」


 そう言ってクァイケットはジョンが持っているリンゴに向かってナイフを投げた。一瞬ギョッとするジョンだったがリンゴに直撃コースだったので避けずに待つ

 ナイフはリンゴに当たりリンゴは真っ二つに割れる

 そしてその切断面には裏面のカードが張り付いていた。リンゴの果汁でカードはペタリとくっついており剥がすのに少し苦労する

 果汁でベタベタのカードの表を見ると

 ジョンとカードいっぱいに書かれていた。


「さぁ、それを観客の皆様に見せて下さい」


 ジョンが不満顔でそのカードを掲げる

 そして湧き上がる拍手喝采


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