呪われた愛
「私を貰って下さい? ど、どういうことだ?」
「その言葉のままです……ジョンさんは結婚なさってるのですか? も、もし結婚しているのならそういう事を許してくれる人ですか?」
「あぁ、なるほどね、そういう意味でお前は「私を貰って下さい」と言ったんだな? 俺の都合の良い女になると」
「……どう解釈されても構いません」
そう言ってセルフィは仮面を取り、フードも下げた。
そして現れる黄金色の髪と真珠の様に白い肌、宝石の様な輝きを放つ青い瞳、彼女の素顔を見れば誰しもが美しいと思わず言ってしまうであろう顔が現れた。
ジョンはそんな顔よりも気になる事が有った。それは普通の人間よりも尖った長い耳である
「お前さん、まさか人間じゃなかったのか?」
「はい、私はエルフです」
ジョンの世界にもエルフという耳が尖った生き物が居た。しかしそれは本の中のだけの話、現実の話では無い
「エルフは顔を隠さなきゃいけないルールでも有るのか?」
「いいえ……顔を隠さないで居ると人が珍しがって私に話し掛けているのです。私……あまり話し上手では無いし好きでもないので、話を避ける為に顔を隠していました」
エルフだから話し掛けられているのでは無く彼女の美貌に惹かれて人が彼女を口説く為に話し掛けているのだとはセルフィは知らなかった。
「ふーん、あっそ、そんな事よりもなんで”今”素顔を晒したんだ? 俺に惚れて貰う為?」
「い、いえ、そういう訳では……」
と恥ずかしそうに顔を赤らめ俯くセルフィ、耳も赤くぴくぴくと動いている
「まず最初に俺の結論を言って置くぞ、お前は俺のタイプじゃない上に俺は一人が好きな人間だ。人肌が恋しくなったら娼婦にでも金を払う、ワンナイトラブ派でね、だからお前のその馬鹿みたいな提案は却下だ」
「お料理も出来ます……」
物凄く小さな声でそう言うセルフィ
「え? 何だって?」
「私、家では花嫁修業だってしてたんです。だから家事全般も出来るしお金だって自分で稼ぎます! 絶対に迷惑は掛けません!」
「ふざけんな、お前の存在が迷惑だって言ってるんだ。人にウロウロされるだけでも癇に障る」
「そ、そんな……」
「消えな、お嬢さん、お呼びじゃ無いぜ」
顔を真っ赤にして青い瞳に涙を溜めるセルフィ
「……私がジョン様を好きでは迷惑でしょうか……?」
「非常に迷惑」
「……そうですか、ご迷惑を掛けて申し訳ありませんでした」
頭を下げてそう謝罪するセルフィ
そして座っているジョンの目の前に来る
「ごめんなさい……それでも貴方が、好きなんです」
涙するセルフィ
唖然とするジョン
「貴方のお傍に居させて下さい」
会って間もない男性に此処まで言うセルフィを見てジョンは思う
普通じゃないと
ジョンに抱きつこうとするセルフィ
「げぇ! 何しやがる! 正気に戻れ!」
「セルフィ! 何をしてるんだ!」
それを止めるジョン、一部始終を影の中から見て居たメイヴィスもセルフィを止める
セルフィの目はトロンとしていている、しかしメイヴィスの姿を見た瞬間、全て正気に戻る
「ひゃ!? メイヴィスさん!!?」
「大丈夫か? セルフィ?」
目を覗き込むメイヴィス
顔を更に真っ赤にするセルフィ
「な、どうして……? 入って来ないでと言ったのに……酷いです」
「あ、あぁすまなかった。心配だったんだ……」
そのまま顔を両手で覆って泣き出すセルフィ
そんなセルフィに近寄り申し訳なさそうに謝り繰り返すメイヴィス
「たくっ何なんだ? 何でそんな事になっちまったんだ? 俺と出会って間もない少女がよくも知らないであろう男に此処まで言うなんて普通じゃないぜ」
「彼女はエルフだからな……エルフはとても義理深い上にとても一途なんだ病的な程な、だから一度恋をしてしまうと断る方は大変なんだ。それにその失恋を一生忘れられなくなって他の誰とも結婚が出来なくなる」
「……失恋を忘れられなくて誰とも結婚が出来なくなるだと? 何だそりゃ」
「言ったろ? 義理深いし一途だと」
「まるで呪いだな、セルフィにとっても、俺にとってもな」
泣いているセルフィを心配そうに撫で続けるメイヴィス
それを何やら考えながら診ているジョン
「マジかよ……」
とこれから起こるであろう面倒事がジョンの頭を巡っている、そんなジョンが座っているベッドの隣ですやすやと眠って居るガーネット




