暇人
ジョンは二人を見て居るのに飽きて部屋を物色し始めている
「マリアちゃん……」
「一体どうしたって言うの? エミリー? 私の事嫌いになっちゃったの?」
「違うよ! 違う!!」
「じゃあ、なんで出て来てくれなかったの!?」
「マリアお嬢様にエミリーお嬢様、さっきから言おうとしていたんですがあまり大声は出さないで下さいね、バレますよ」
エミリーの部屋の棚を開きながらジョンがそう言った。
「ちょ、ちょっと! 何を見てるんですか! 止めて下さい!!」
「何してるの!? ジョン!!」
そんなジョンに大急ぎで駆け寄り開けようとしていた棚の扉を無理矢理閉じ込め、ジョンが棚に触れられない様に盾になる
「だって暇なんですもの、ウダウダやってないでちゃっちゃと話を進めて下さいでなきゃこの部屋の物全部物色しますよ」
「マリアちゃん……この人誰?」
「私の執事よ」
「え? マリアちゃんの執事なの? お父さんのじゃなくて?」
「そう、私の執事なの」
どこか得意げなマリア
「凄いなぁ、へー執事さんなのか~私はエミリー宜しくね、執事さん」
「ご丁寧にどうも、よろしくお願いいたします」
「でも、棚は開けちゃだめだよ、下着とか入ってるんだからね」
「そう言われちゃうと見たくて堪らなくなりますね」
そうジョンが言った瞬間、またまたマリアは顔を赤くし、再びエミリーも顔を赤くする
「も、もう執事さん! 恥ずかしい事言わないで下さい!」
「全くよ! そんな事を淑女に言う執事に育てた覚えは無いわよ!」
「お二方、今のは冗談です。綺麗さっぱり忘れて下さい、見たい訳無いでしょ? 貴方の下着なんて、お話しを進めてどうぞ」
「……マリアちゃん」
「何よ」
「マリアちゃんの執事さんってもしかしてちょっと変な人なのかな?」
「ちょっとは要らないわ、かなり変な奴よ」
「本人の目の前でそんな会話しないで下さい、泣きますよ、本気で」
「ま、まぁいいわ、それで聞かせてくれる? 何で私達に会おうとしなかったの?」
「えっと……話したくないな」
「何よそれ!」
「マリアお嬢様、これがかの有名な面倒な女って奴ですよ、気を付けて下さい」
「面倒な女ってなんですか! それは私に言ったんですか!!?」
「他に誰か居ます?」
「し、失礼です! この執事さん」
「まぁそれは我慢して頂戴な、治らないわ、不治の病だもの」
「え? 俺の性格の事を不治の病とか呼んでるんですか?」
「悪い?」
「ひっど~い」
と女性の様な仕草で言った。それを冷たい目で見る二人の少女、その視線に気が付き気まずそうに咳払いをして
「こんな馬鹿な話をしている場合じゃありませんでしたね、邪魔して失敬、続きをどうぞ」
「……えっと」
どこまで話したかを忘れたので思い巡らすマリア、あぁそうだ! 何故会いたくないかを聞いている所だった! と思い出す
「何故話したくないのかしら?」
「……」
「此処で俺が余計な茶々を入れて話が脱線した訳です」
「完璧に思い出したわどうもありがとう」
「どういたしましてどうぞ」
暇つぶしに本棚から本を取り出してペラペラと捲り始めるジョン
「まだ時間かかりそうですか?」
彼は暇が嫌いだ。




