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不安の種


「遅かったわね、ジェイクと何の話をしていたの?」

「愛の告白をジェイクから受けてましてね」

「……何故そう流水の如く嘘が言えるのよ……言いたくないのなら言わなくても良いけれど」

「お優しいですね、そんなマリアお嬢様が大好きです」

「うわ! 止めなさい! 貴方がそんな事を言うなんて気持ちが悪いわ!!」

「えぇー酷い事言いますね、俺の心は傷だらけですよ、マジで」

「よく言うわよ、そんな事よりナサル早速学校に向かいましょう」


 隣に立っていたナサルにそう言うマリア


「でも長旅でお嬢様もお疲れでしょうから今日はお休みしましょう」

「駄目よ、今日から出席するわ」


 馬車の中でマリアは闘争心を募らせ不安な気持ちを押し潰していた。明日になってしまえば押し潰した不安がまた脹らんでしまうそれは避けたい


「しかし……」

「大丈夫よ! 私はそんな軟じゃないわ」

「でも……」

「そ、そんな顔で私を見ないで頂戴な……こっちまで悲しくなるわ」

「……」

「な、何をどうしても私は今日学校に行くわ!」

「分かりました。行きましょう、その代わり私も同行させて頂きますね」

「うん、あ、あのでも私は私のやり方であの人達を見返したいのだから絶対に私のやり方に口出しはしないでね」

「分かりました」

「なら、行きましょ! あの人達を見返すわ! 絶対に!」


 マリアは目に闘志を宿し戦いの場に挑む、ジョンはそんなマリアを見ながらシルフィアの事を話すか迷っている


(お前に全てを託す……なんて言ったがシルフィアの件に関してはマリアお嬢様でどうこう出来るモノだとは思えない、しかし”約束”しちまったしなぁ~)

 

 マリアをもう一回見て


(やっぱ無しだな、今ですら精一杯の気持ちで立ち向かっているのにこれ以上敵を増やしたら恐らくこの儚い勇気も一瞬にして崩壊する、それは”無し”だ)


「何をボケッとしているのよ、ジョンも行くわよ!」

「……えぇ、分かってますよ、マリアお嬢様」


 ジョンもマリアと共に歩き出す。


 門の奥には美しい煉瓦造の三階建ての建物が見えその中では何千という子供達が何かを学んでいる、門の両脇には天使が踊りこちらを招く

 門番の眼から逃れ門を潜り中庭を抜け煉瓦造のその建物の中に入る


「ひぇ~これがマリアお嬢様の学校ですか……こりゃ掃除が大変そうだ」

「この校舎を見て初めて出た感想がそれか……」

「そりゃすいませんね、発想が貧困なもんでお前みたいに頭がメルヘンチックに出来て無いんだよ」

「……」

「や、止めなさいジョン! 何を言ってるのよ!」

「それで? これから何処に行くんです?」

「そ、そうね先ずは先生の所に行って挨拶をしてこなくちゃいけないわね、行き成りの登校だし色々と迷惑を掛けたから……」

「奴らとの決戦はその後ですか?」

「も、もう! 何よ! 何か言いたげね! 口出しはしないって約束でしょう!?」

「しませんよ、もしマリアお嬢様が死ぬ事があっても命令が無ければ何もしません、そういう命令でしたよね?」

「そうよ、それで良いの」

「し、死ぬまで……?」

「そう、俺達はマリアお嬢様の命令が無い限り何も出来ない、しないそういう約束で同行している、お前も承知しておけよナサル、そうでなきゃ意味が無いんだからな」


 だからシルフィアの事も黙って置く


「決着は必ず今日付けるわ、だから心配しないで頂戴よ」

「だ、そうだ。これで安心だな」


 勿論こんな事で安心出来るナサルでは無い、だが手を思いっ切り握りしめ唇も噛み締め言いたい事を我慢する、そんなナサルを心配そうに見るジョン


(余計な事しなきゃ良いが……)



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