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一つだけの選択肢

 キャロが梯子を登る所を見守るジョンそんなジョンにも気が付かずアーリンは剣に夢中

 そしてアーリンが梯子を伝い上に出ると鬼の形相で待ち構えていた灰色の獣人の男性数人が待ち構えていた。


「何をしている! 忘れていたのか!?」

「ごめんなさい、村長様……」


 村長と呼んだ男に申し訳なさそうに頭を下げるキャロ


「もうよい! それよりも急ぐぞ!」


 そう言いキャロと男性三人は何処へかと歩いて行く

 それを穴の中から密かに見ていたジョン


(男三人と少女が何処に用だ? 穏やかじゃねぇな)


 コッソリと跡をつけるジョン

 しかし隠れる所が一切ないので雪で身を隠しながら匍匐前進する


(寒いな……おい)


 キャロの顔を見るとさっきまでの天真爛漫な笑顔から一転し暗く目を落とし地面を見ている

 明らかに何かあると察したジョンは尾行を続行する

 尾行をして三十分経った時四人は雪原に空いている大きな穴に入って行く

 四人が穴に入り終わった所を確認した後ジョンは穴に近付き穴を覗く、しかし穴は暗く底は見えない、キャロの家と同じくらいのサイズの穴で氷の梯子が付いているそしてその梯子を下の様子を伺いながらゆっくりと降りるジョン

 四人に鉢合わせないか心配していたジョンだが下には既に四人は居らず安心すると同時に疑問に思う


(アイツ等どこ行ったんだ?)


 ジョンが下に降りた瞬間その疑問は解消される

 下は長い通路になっており先に続いている、彼らは通路の先に向かったのだろうとジョンは推測した。辺りは真っ暗だがジョンは既に暗闇に眼が慣れているので辺りが見える

 その通路を背を低くして進むジョン……


「着いたぞ、さぁ行け」

「はい……」


 男たちとキャロの四人は奥の通路で止まり、此処からはキャロに一人で先に行く様に言う

 キャロの尻尾は一切動かず下に垂れ下がっている両手には野菜を抱えている

 そして何かに怯えながら一人だけで先に進む、男たちは松明を持っているので辺りは明るいが先は暗い……暗いが分かる、何かが先で蠢いている

 その蠢いている者の傍まで近付き両手に抱えていた野菜を置くキャロ、そしてゆっくりと前を見ながら後退する

 しかし次の瞬間その蠢く者から触手が伸びキャロの足を掴む


「きゃ!?」


 転倒するキャロそしてその触手は自分の方へキャロを引きずり込む


「え!? どうして!!? 何で!?」


 必死にもがきながら男たちの方に助けてという意思を込めて涙に濡れた視線を送る、しかし男達は何もしないただ見ているだけ


「悪いな、キャロ……墓は建てて置くぞ」


 男達は申し訳なさそうにキャロを見るだけそして許しを請い始める


「た、助けて!! お願いします!! 助けて!! お父さん!!」


 触手に引きずり込まれながらも男達にその小さな手を伸ばすキャロ、だが届くはずもない、絶叫のみが木霊する中何者かが男達の脇を高速で通り

 蠢く者に向かって走る、右手には氷のナイフ、即席で作った物だ。

 氷のナイフでキャロを掴む触手を斬りキャロを抱き後ろに走り蠢く者から逃げる、蠢く者が触手を伸ばすが遅い届かない


「!? 何者だ!?」


 男達が礼服の男に反応出来たのはそんな時


「ジョンさん!?」

「そんな事言ってる場合じゃねぇ!! 逃げるぞ!!」

「え? な!? うおおおおおおおお!!?」


 ジョンを先頭に逃げ惑う男達、追う蠢く者

 何とか逃げ切り穴の外に出る五人


「フゥー、危なかったな、全員生きてるか?」


 キャロを除き残りの三人は呼吸するのに夢中で答える暇がない


「ジョンさん、ありがとう……ありがとうね……」


 涙ながらにそうジョンに言うキャロ


「貴様……ハァハァ……何者だ……」

「ジョンだ。よろしくな、お三方」


 不敵に笑いそう自己紹介をするジョン


「貴様よそ者だな!!? 此処に何の用だ!」


 凄まじい剣幕でジョンにそう言う村長と呼ばれた男


「おっそろしい顔だな、恐ろしくて声が震えて来るだろ」

「質問に答えろ!」

「そう言われてもな、俺も分からん」

「ふざけるな!」

「おいおい、それはお互い様だぜ、少女をあの化け物に喰わそうとしてたよな? アンタ等も十分ふざけてるぜ」


 それを聞いて黙ってしまう三人


「キャロを喰わそうとした事に罪悪感が有るのか? だからさっきキャロに謝っていたし今も黙っているのか? 答えろ三人衆」


 いつの間にかに攻勢が逆転する


「仕方なかったんだ……ダラサダ様に生贄を奉げなくては村に災いが起こる……」

「キャロを災いを避けるための生贄にするつもりだったって訳だな、ダラサダとかいう奴は神か何かか?」

「我々はそう思っている、この土地には元々神が居たが五年前に忽然と姿を消した。そして神が消えた時から吹雪が吹きあられずっと止まらなかった……しかし神が消えたこの土地では吹雪を止める事は出来ない、勿論我々もそんな術は持っていなかった……だがダラサダ様が現れてから吹雪も止み平和になったんだ……」

「だからって態々生贄を差し出す必要は有るのか? あいつがそう要求したのか? 喋れるのか?」

「必要な時にお喋りになる……さっきは一切お喋りにならなかったが……」

「で? 誰かを生贄にしろと?」

「そうだ……今までは野菜で我慢していたのだがな……生贄を差し出さなければ村を滅ぼすと言っていた」

「ふーん、村の為に自分の為にキャロを殺そうとした訳だ。親が居ない事を良い事に利用しようとした。それで間違いないな?」


 三人は一切ジョンに目を合わせず、俯く


「なるほどなるほど、まぁ別に俺は生贄なんてクソ喰らえそんな事止めちまえなんて言う気は無いさ、そんな事はどうでもいい、俺が気に喰わないのは何故そこまでやっといて今更善人になれると思っているのかって事さ……なぁ? 村長さん、アンタは紛れもない悪人だぜ、彼女にどれだけ謝っても今申し訳なさそうに反省するフリをしてももう遅い善人には戻れない」


 ジョンはジッと三人を見る


「……仕方なかったんだ」

「ククク、仕方ないねぇ……まだ、そんな言葉で誤魔化して善人でいようとするのか? 往生際が悪いな」

「よそ者のお前に何が分かるんだ!!」


 村長の隣に居た男が怒りジョンに言う


「何も知らねぇさ、知りたくもない、だがな口出しはさせて貰うぜ、それで早速だが提案がある」

「な、なんだよ」

「あの化け物を倒す為に俺達四人で組まないか?」

「!?」


 それを聞いてどよめく三人


「何を言っている!? ダラサダ様を倒すために協力しろだと!? そんな事に我々が手を貸す訳が無いだろう!!」

「あぁ、そう、そういう事ならそれでも良い、もしお前らが俺に手を貸さないと言うならお前らの村の村人を全員殺す。それもただでは殺さないお前らの目の前でジワジワとなぶり殺す。勿論女子供関係ないお前らの家族かどうかも関係ない、全員殺す。無様に殺してやる、必ずな……これで分かったか? 俺が言ったのはお願いじゃないんだ。命令なんだよ、お分かりか?」


 ジョンの発言に言葉を失う三人、この男のこの発言、嘘ではないと眼が言っているそして間違いなくそれを実現出来るとさっきのキャロの救出の時に見せた動きが言っていた。

 だから震える


「クククッ青ざめたか? 顔面蒼白になっている所悪いが、選んでもらうぜ? どっちだ? 俺かダラサダか? 選べ」


 さらに震える村長……


「ま、待って下さい!」


 そこで割り込んできたのはキャロ


「私一人が犠牲になれば村は救われるんですよね? そうなんですよね? なら良いです。私を使って下さい、ジョンさん助けてくれてありがとうございます。それとごめんなさい、せっかく助けてもらったのにそれを無駄にしてしまって……でも、私はこれで良いんです。うん」


 とジョン達と自分に言い聞かせるキャロ


「キャロ残念ながらそうはいかないぜ、さっきまでなら兎も角、今では状況が違う俺は奴を攻撃した。その所為で奴は今ブチ切れて大暴れさ、このまま下手をすれば村を滅ぼすためこの穴から飛び出してくるかもしれないなもし奴が許したとしても何か重いペナルティを課すだろうな例えばお前と追加の生贄を要求してくるとかな」

「そ、そんな……」

「もうお前がどうこうして治まる事態じゃなくなったって事さ俺がそうした。で? どうするよ村長さんさっきの話も踏まえて選択してくれよ」


 暫くの時を得て答えが決まる


「……分かった。お前に協力しよう」


 選択肢のない選択を迫られ選択してしまった村長と他二人

 そしてジョンの言った通りダラサダは怒り狂っている、ダラサダが居る洞窟の穴から何やらうめき声の様なものも聞こえる


「やべぇな、間違いなく怒ってる」


 そのうめき声を聞いてそう確信する五人


「ダラサダ様は暗い所でしか活動出来ない、だから昼の内は安全な筈だ。しかし夜になったら……」

「この穴から奴が飛び出してくる……」

「間違いない」

「取り敢えず一旦村まで戻って戦う為の準備をしよう、ありったけの武器を集めてくれ、それを村人全員に装備させるんだ。何が有っても良いようにな」

「分かった。戻ろう」

「ついでに言っておくがアンタ達に戦闘面での活躍は一切期待していないからあの化物に突っ込めなんて無謀な事は言わないから安心しな、アンタ達に手伝って貰いたいのはまず奴の情報をこちらに寄こす事それと武器調達それと村に居たらで構わないが居たら戦える奴を揃えてくれ」

「戦える者は昔デッチェと言う力自慢が居たが今はもう居ない、行方不明になってしもうた……その他戦える者と言ったら村で一番若いダラスぐらいしか居ないだろう……」


 村に急ぐ五人

 彼等、獣族の村はこの穴の集合体を指す。この穴の一つ一つが彼等の家で下には誰かが住んでいる

 村長が村長の家に武器それとさっき話していた村で唯一戦えると話していたダラスを呼んでくる、ダラスはダラサダの事を聞くと最初は戸惑っていたが徐々に目に怒りが現れてくる、勿論ダラサダが敵対したという事だけ話しその他のキャロの事や村長の事は伏せた。


「やっぱあの野郎信用ならないと思っていたんだ! ジョンさん! 一緒に戦おう!」


 と斧を取り出す。目はやる気に満ち溢れている


「まだだ、まずこの村の住人に事情を説明して武器や防具を装備させろ、奴と戦うのはそれからだ」

「おう! 分かった!」

「武器はどれを使いますかな?」


 と机に一面と置かれた武器を指し言う村長のグラム、武器は長物から小物まで多くの種類を用意して有った。

 どんな攻撃をしてくるか詳細ではないダラサダと戦うには長物や弓矢などの中・長距離攻撃が出来るものを選ぶのがセオリー、正体不明の敵に近距離での戦闘を挑むのは無謀、危険な行いだ。

 しかしジョンは長物の扱いには慣れていないという事と戦闘スタイルがタイプじゃないという理由で却下する

 次は飛び道具、これには弓矢を選ぶ、ダラスにも装備させる

 そして短剣を選び始めるジョン、現状のジョンの装備は即席で作った氷のナイフと靴底に仕掛けたナイフのみ、数多く有ったナイフ、それにジョンの切り札だった一発だけ入った拳銃、それら全てこの雪の世界に飛ばされた時に失ってしまった。何故だか本人も分からないがそういうものなんだと無理矢理自分を納得させて現状に至る


「そうだ、村長、ジョンさんにあれを持たせた方が良いんじゃないですか? ジョンさんがこの村を守るために短剣を使うならこの村一番の物を差し出した方が良い」

「ふむ……そうだな」


 そう言いグラムは部屋の奥へ消えていった。


「何の話だ?」

「まぁ、待ってなって」


 暫くしてグラムが戻ってくる、手にはよく目を凝らさなくては見えない程、透明な短剣


「……それを俺に使えと? そんな脆そうな剣を?」

「一見そう見えるかもしれないがそうではないこの短剣は五年前に姿を消したウェーク神様から譲り受けた短剣……見た目は靭やかで美しく何も斬れそうにないがそれは違う、この剣は決して壊れも刃こぼれせず全てを斬る程の強かさを持つ、そして羽の様に軽い」


 そう言いジョンに受け渡す。そしてその軽さに驚くジョン


(本当にこんなのでものを斬れるのか?)


 と不安に成程軽く透明だ。ジョンの不安を察したグラムは言う


「不安なら試し斬りをしてみれば良い」


 そう言いグラムは氷の塊を持って来る

 そしてジョンは不安いっぱいにその氷に向かって脆そうなナイフを振り下ろす。そして斬れる、真っ二つに切断面をナイフの様に美しい

 その結果に驚くジョン


(おったまげた……まるで紙でも斬ったような感触で氷の塊が斬れた。この短剣ならアーリンの鉄を斬るのも簡単……つまり奴に簡単に勝てるようになったと言う訳だ。まぁこの短剣を持っている時だけだが……)


 ジョンが思ったようにジョンの技術とこの短剣が合わされば鉄を切断するのも容易


「分かった。この短剣を借りる事にする」


 そう言いあと何本かのナイフを机から取り自分の服にしまう……


 私は食事を終えた後すぐに睡魔に襲われ眠ってしまった。

 しかしその睡魔はある事が原因で吹き飛ばされてしまう事になる……その原因はザッラー……彼が私達の目の前に現れてしまったのだ。


「やぁ、起こしちゃったかな?」

「何のようだ。ザッラー」

「何の用って……僕達の最初の目的忘れたのかい? そこのネルヒムちゃんが僕達の目的だったでしょ? だから邪魔者が居なくなった今迎えに来たのさ」


 何ですって!? ネルヒムをさらう気なの!?

 私はネルヒムの前に出る……別に何かできる訳じゃないけどそうしなければ気が済まなかった。

 私の肩に捕まるネルヒム、彼女も不安なんだわ……その手に応えてその手を握る、手は温かく震えている、それを感じてますます彼女を守らなければという思いが強まる、何の力もないけど偉そうにそう思ってしまう


「マリアちゃん……」


 震える手に震える声、顔は見えないが多分泣いてるのよね……


「そんなに怖がらないでよちょっとチクッとするだけだからさ」


 そんな事を不気味な微笑みを振り撒きながらネルヒムに飄々とした口振りで放つ

 まるで自分は害がありませんよと言いながらナイフを目の前に突きつけている盗賊のようだ。ふざけた男なのは分かっていたけどここまで不気味で恐ろしい男だとはこう対面するまで分からなかった。


「えぇと……そこの君邪魔だから退いてくれる?」


 私に指を指してくる、指を指された以外何もされていないが何故か嫌な汗が出てくる

 でもそんな事で此処をどいて溜まるか! 私はネルヒムを守るんだ!


「退く気は無さそうだね、そんな仲間思いなお嬢さんにプレゼントだよ」


 人差し指を私に向ける……そして次の瞬間私の前にデッチェが現れる、私の盾になるように……


「止せ、ただの子供一人に対して乱暴をする必要はないだろ」

「なんだい、もしかして君、ボクの事を裏切るつもりかい? 君の故郷の吹雪を止めてあげたのに? また吹雪を吹かせてあげてもいいんだよ? 

 またあの村に吹雪が吹き荒れたら君の娘さん困るだろうなぁ?」


 と嫌らしくジロジロと見つめるザッラー


「……俺は馬鹿だからなぁ、目先の事しか考えられねぇんだ」


 そう言いザッラーに斧を向けるデッチェさん


「全く……君には困らされるなぁ、本当にボクに対して反旗を翻すつもりかい? 君に勝ち目なんて一切ないよ? それに君の娘さんも泣く事になる」

「ふん、脅しは俺に通用しねぇぜ、なんせ俺は馬鹿だからな」

「おい! 正気か!? デッチェ!」

「勿論! さぁ来いよ! ザッラー! 神の怒りを味あわせてくれ!!」


 そう言いデッチェさんはザッラーに斧で斬りかかる、ザッラーは斧の刃が自分に到達する前に消えてしまった……

 唖然とする私

 ど、どこ!? どこに行ったの!! 

 辺りを必死に見渡すが姿は見えない


「アッハハ! いいよ! 見せてあげるよ! 吹雪や病を消す程の力がどれほどか身を持って思い知ると良いよ、そして二度とボクを裏切る気すら起こらないように調教を施してあげる!!」


 ザッラーの声だ! 上空から聞こえた。上を見上げる私、そこには上空で胡座をかいて座っているザッラーが居た。

 彼は笑いながら自分の人差し指を上空に向け、振り落とす。

 次の瞬間何が有ったか分からない……デッチェさんが消えたんだ。それ以外の表現が出来ない、彼は消えた……瞬間移動……?


「フフフ、君たちは今何が起こったか分からないでしょ? 分からないよね? それもそうだ。君たちはデッチェが瞬間移動してこの場から消えたんじゃないかなぁ? そんな風に思ってるでしょ? でも違うんだなぁ、彼は君たちが見えない程小さく斬り刻まれ今この酸素の波の中を漂っている、もしかしたら君たちの口の中に入ってるかもね、フフフ、再生するのに相当掛かるだろうね」


 え? 斬り刻まれた……? デッチェさんが? あんな一瞬で? う、嘘よ……! 

 ザッラーの言葉が一句も理解出来ない

 嘘だそんな訳がないありえないという思考が交差し同じ所をクルクルと回っている


「信じられないって顔してるね? まぁ目に見えない事は信用できないよね、でも事実だよ、これが神の力、ボクの怖さは存分に伝わったかな?」


 サーッと血の気が引くのが分かる程、私の体温が下がる

 ザッラーが怖くて堪らない


「フフフ……怖いかい? それもそうだよねぇ、君もあぁなるんだから、君は今から誰にも認知されなくなる程細切れになって消える」


 私に照準を合わせるザッラー


「逃げて! マリアちゃん!!


 私を退けようと必死に私を押し退けようとするネルヒム、でもネルヒムの力は弱く、私を退かすには力不足、私はそんなネルヒムを抱きしめ動けないようにする背にはザッラー

 私は次の瞬間、死ぬんだろうだけど誇りを持って死ねるここを退かず友人を守るために死ぬことが出来る……それが今唯一私を慰める事実

 その事実を胸に私は死ぬ

 でも……でも怖い、怖いよぉ

 私は目を瞑り少しでも恐怖をかき消そうとする

 そしてジェシカも一緒にネルヒムに抱きつく


「ジェシカちゃん!?マリアちゃん! 止めてよ!! 放して!!」

「いや!」


 ネルヒムが必死にもがく


「それじゃあ! オサラバ! 勇敢な少女達よ!」


 その声が聞こえ死を覚悟したその時

 誰かが私達の前に現れる


「マリアそれにジェシカ、君がそこまで勇敢な子だと思ってなかったよ、ありがとう、私の巫女ちゃんを守ろうとしてくれて」


 現れたのは……カランダーン様


「へぇ、ボクの結界を破ったという事は……」

「その通りです。デッチェ」


 カランダーン様横にオレンジ色の温かい光を放っている美しい女性が現れる


「これはこれはお早いご到着で……太陽の神パーラ神」

「貴方達、よく頑張りました。後は我々に任せなさい、そしてザッラー……もう、貴方の好きにはさせません、覚悟なさい!」


 私は彼女のその温かみを帯びた声の音色のせいかザッラーの恐怖に耐え続けたせいか分からないがそのまま意識を失ってしまった……





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