不死
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「なんじゃあのガキ!? すげぇ事しやがるぜ! なぁ!? あんなの見せられたらこっちだって燃え上がっちまうよなぁ!!!」
「五月蠅いぞ!! お前は黙ってられないのか!?」
「利き手を潰されて置いてよく言うぜ!」
水色髪の援護が無くなった今、ジョンにとっては絶好のチャンス
片手に傷を負った眼帯の男をまず狙う、ジョンの素早いナイフ二刀流に対応できず刀を吹き飛ばされ首を斬られ倒れる
次はデッチェ、デッチェは眼帯の男の首から血が噴き出ても意に介さずジョンに襲い掛かって来る
だが状況は一対一、三対一でも攻めあぐねていたのに敵う訳もなく簡単に倒されてしまう
「情けねぇが……流石だぜ……」
その一言を最後にデッチェは倒れる
「これで終わりか? 大した事が無かったな?」
思いっ切り苦戦を強いられていたジョンだがそう言い呑気に戦いの風景を見ていたザッラーを挑発する
「へぇ、カランダーンもただ寝ていただけじゃないらしいね……」
「……流石、君だ。いつ見ても君の腕には惚れ惚れするね、まぁ今回は彼女の功績の方が大きいが」
とジャックは両手が千切れ大量の血を失ってしまい気分が悪くなっているメイヴィスを見る
そんな彼女に拍手を送る二人
「カーヌの置き土産……カタリナも素晴らしかったがやはり君だな、最も素晴らしいのはよくもそこまで一人の人間に詰め込めたものだね」
「勝負あったね、そこのジャック君と君の身柄を拘束させて貰うよ、いいよね?」
「カランダーン……今何と言ったんだい? 勝負が”あった”と言ったのかい? フフフ……よく見てみなよ、彼らをさ!」
ザッラーは血塗れになり倒れている四人を指差す。
彼らは首を斬られ胴を貫かれ多量の血を失った。普通は死亡する
が立ち上げる四人、血塗れで
「おいおい、マジ? うっそだろ……」
その様子を困惑しながら見ているジョン達
「まさかとは思っていたけど君、彼らに力を与えたんだね」
「そう、彼らはそこのカーヌの置き土産と同じ不老不死の力を手に入れたのさ、驚いたかい?」
「ジャックお前もまさか不老不死なのか?」
「さぁ? どう思う? ジョン」
「復讐のし甲斐があるな……全く」
(泣ける)
「ジョン!! 悪いな……こんなのは戦士として最大級の屈辱だとは思っているがこっちにも事情があるんでな」
デッチェは既に首からの出血は止まっており首の傷の治癒を始めている
治癒は自動で行われる
「喋るな! デッチェ、そんなんだから脇が甘くなるだ」
「クククッ悪いな、キザシだがこれは止められねぇ」
眼帯の男をキザシと呼ぶデッチェ二人はジョンに向かって来るがとても鈍い首の傷が完璧に治癒していないのだ。
今の状況ならジョンの相手にもならないだろう
「ジョンとは距離を取って戦った方が良いんじゃないかい? 君等じゃ敵わないだろう」
そう二人にアドバイスするジャック
「馬鹿言ってんじゃねぇ! 剣士としての誇りを汚してるんだ。せめてこのくらいは守らせて貰うぜ!」
「剣士の誇りなんてどうでもいいが奴の攻撃は面白い見ていて飽きない、だからもっと見たいじゃないか」
その横で血塗れになっている女性二人、彼女達は全身に傷を負い修復にかなり時間を掛けてる、足元も覚束ない
「油断してしまった。主よどうか弱い私に罰を!」
そういい白髪は自分の胸に自分で剣を突き立てる
「あらあら……痛そうね、大丈夫? アーリン?」
「しん……ぱい、いらない……えふぃー……」
苦しそうにしながらも進行を止めない
「そうは見えないわね……」
心配そうに白髪の女性アーリンを血塗れで見守る水色髪の女性エフィー
そんな四人を前に後ろに後退を始めるジョン達、そんな時ジョンは隣のメイヴィスに質問をする
「おかしな事を聞くがいいか?」
「何だ?」
「不老不死はどうやったら殺せる?」
「……私も訊きたい」
「カランダーン! 何かアドバイスは無いのか!」
「あるよ!」
「神様! 仏様! どうか教えておくんなまし!」
「逃げるよ!!」
そう言いカランダーンは三人の子供を無理矢理全員担ぎ後ろへ走り出す。
唖然とする二人
「マジ?」
「らしい」
二人も走り出す。
不老不死を相手にするのは無謀どんなに痛めつけても起き上がってしまうのだ……しかしそんな彼等にも弱点がある
「死にはしないけど痛みはちゃんとするそれにね、自分の身体を修復するのに時間が掛かるんだ。彼らの傷も完治するのにも一日掛かる筈だよ」
「つまり細切れにしてやれば死なないとはいえ実質戦闘不能という事か?」
「どこまで細かく切り刻むかに寄るけどそれなら一か月は完治に掛かるんじゃないかなぁ? ね? メイヴィスその手も治るのに一週間は掛かるよね?」
「はい……」
「えぇ……つまりお前は戦闘不能って事か?」
「違うぞ! 我は自分の血さえあれば戦える」
「なんだか顔色も悪いぞお前」
「血を流し過ぎたな……確かに気分が悪い」
「本当に大丈夫かよ……」
そんな事を三人は走りながら話す。
「相手は恐らくカタリナを解放しただろうから、五人になったね」
「いや、その前に俺が殺したスキンヘッドの男が居る、この流れだとどうせ奴も不死だろうな、だから六人だ」
「あらら」
「いや待てよ、お前の話を聞いていて考えたがさっき逃げない方が良かったんじゃないか? 傷ありの奴等をさっきのまま追い詰めてさらに傷だらけにしてやれば四人共行動不能じゃねぇか……それにカタリナの解放も防げただろうよ」
「あぁ……確かにかもねぇ」
「「かもねぇ」じゃない!! なんてこった! 完璧に作戦ミスじゃねぇか!」
「まぁまぁいいじゃないか逃げたおかげでこうして落ち着いて状況を整理する事も出来たしいいじゃないかいいじゃないか」
「よくねぇよ……たく、まぁいい、戦犯捜しは勝った後だ」
「神を戦犯扱いするつもりかい?」
「戦犯という称号は神、奴隷関係無く平等に与えられる素晴らしいだろ?」
「それよりどうする? 相手は六人こちらは三人だ」
「こっちもマリアお嬢様達を含めれば六人だぜ、どうだ? 気が楽になっただろ?」
「……棘のある言い方ね」
マリアがジョンを睨む
「何てことだバレてしまいましたね」
「何よ、確かに足手纏いかもしれないけどわざわざ言わなくてもいいじゃないのよ……」
とカランダーンの腕に抱かれながらブツブツと言うマリア、他の子供も申し訳なさそうにしている
「子供に気を遣わすな、ジョン」
「そいつは失敬、兎に角作戦を考えよう、このまま明日まで逃げ切れるとは思えない」
「確かにな、アイツ等も何か策を講じて来る筈だ。一筋縄ではいかないだろう」
「待ち伏せでもするかい?」
「待ち伏せするにしても何処でやるかが重要だ。ここら辺の土地勘がある人間が欲しい所だが……」
「居ないなそんな奴一人も……一か八かで待つしかあるまい」
「一か八かだと? 恐ろしくて堪らないな」
「へいへい、待ってよ! ボクを置いてかないでよ折角面白そうな事になっているのに見学し難いじゃないか」
行き成りジョン達の前方で声がしたのでジョン達は急ぎ止まる、目の前で光と共に現れたのは笑顔のザッラー
「嘘だろ……待ち伏せも何もなくなったな」
「カランダーン、逃げるのは無しだよ、無し、面倒臭い事になっちゃうだろ? 折角いい感じだったのに……」
「うるさいなぁ……こっちは君に構っていられる程、暇じゃないんだよね」
「そんな事知らないよ、ボクは君たちが必死に戦ってる所を見たいんだ。だからボクさ、良い事思い付いちゃった訳、チーム戦も良かったけどさ、やっぱ戦いと言ったら一対一のバトルだよね! それに無秩序じゃそれもまた面白くないよね、だからルールを設けよう」
一人で楽しそうに会話を続けるザッラー
「ルール? 何をするつもりだ?」
「簡単なものさ、君等にとっても悪くない話だよ思うよ、
ルール一 一対一で戦う事
ルール二 首を斬り落とした方を勝者とする
ルール三 それ以外何でもあり
どうだい? あぁ、あとカランダーン以外のみんなは魔法が使える様にボクが結界を調整しておくから安心してね」
「一対一? それだと頭数が合わないぞ、俺達で戦えるのは二人そちらは六人だぜ」
「そうだねぇ、じゃあカランダーン、君の巫女ちゃんには護衛の騎士が居たよね? それを呼んでくればいいよ」
そう言いザッラーはパチンと指を鳴らす。
そして現れる四人の騎士、ジーク、ローラ、エル、ナサル四人共唖然としている
「ナサルお姉ちゃん!」
ナサルを見た瞬間ナサルに飛び付くジェシカ
「ジェ、ジェシカ!! それにマリアお嬢様! ネルヒム様! 良かった……無事だったんですね」
涙を浮かべるナサル
「先生! それに……カランダーン様!? これはどういう……」
「ジョン君これは一体どういう事だい?」
「私も気になるな……何なのこれ?」
「説明しないとダメか?」
「駄目に決まってるでしょう……?」
ローラがジョンを威圧する
「説明する時間ぐらいあげるから説明しなさいな、その間に私の部下達を呼んで治療をしよう」
そういいザッラーは光に包まれ消える
「あぁ~あ……どうしてこうなっちまったのかね……?」
「私達が聞きたいよ!!」