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ルートE


ジョンはラルク家前にてラルク家の周りをウロウロとしていたナサルと出会う


「何してるんだ?」

「お前こそ何の用だ」

「俺か? 俺は今からこの家族にあの男の死を伝えるつもりだ」

「お前に任せたら何を言うか分からない、お前に任せられるか!」

「なら、早く決心を付けてその扉をノックしろよ」


ジョンが脆そうな木製の扉を指差す。


「分かってる」

「そうは見えないがな」


ナサルは意を決し扉をノックする


「はい! あなた? 帰って来たの?」

「違います。ナサルです」


ナサルの声を聴いた瞬間アリエナの背筋に嫌な予感が走った。なので少し急いで扉を開ける


「お、おはようございますナサルさん、あ、あの騎士様が直々にどうしたんですか? もしかして夫に何かあったんですか?」


ナサルは黙って頷く

アリエナの顔の血が引く


「ど、どうしたんですか!? 夫は……?」


ナサルは暴れても抑えられるようにアリエナの両肩を肩を両手で押さえ、アリエナの眼を見詰める


「落ち着いて聞いて下さい」


震えるアリエナ


「ザラさんは今朝遺体になって発見されました」

「え?」

「お願いします。冷静に……」


ナサルに言われるまでも無くアリエナは冷静を保っていた。


「大丈夫です。で、夫は何処に?」

「今は会わない方が良いです……」

「会わせて会いたいの……娘も連れて来るわ、待ってて」


冷静だが何処かおかしいアリエナは家の奥へ消えて行く


「あれなら今ここで大暴れされた方がマシだったな、ああいうのはどんな行動に出るか分からねぇから質が悪い」

「変な気を起こさなければ良いが……」

「確実に起こすだろうから目を離すなよ、例えば行き成り娘の首を絞めて殺そうとしたりとか……」


ジョンは自分で言って自分で気が付く最悪のシナリオを……ナサルも同じ

家の中はしんと静まり返っている悲鳴も聞こえないがどうしても嫌な予感が拭えない


「行くぞ」


意を決しジョンは家の中に入るそして奥へと進む……寝ている娘の横でぼーとその娘の寝顔を立ったまま見ているアリエナを発見する二人


「悪いな、勝手に入らさせて貰った」


返事は無い、よく見ればアリエナは片手にナイフを持っている、それを見てジョンとナサルの表情が強張る


「奥さん今すぐこっちへ来い、娘は寝かせたままでいいだろ?」


そう言いながら徐々にアリエナに近付くジョン


「駄目よ、一緒に行くの」

「何処に行く気だ? こっちへ来い、今のアンタは正常じゃない変な気を起こすなよ」


ジョンの射程圏内まであと二センチ


「貴方には関係無いでしょ?」

「そうかもな」


一センチ

そこで行き成りナイフを振り上げ、娘に向かって下げる

ジョンはいち早くそれに反応し走り出す。ナサルは反応が少し遅れる

ジョンはアリエナにタックルを掛け壁まで吹き飛ばす。


「止しとけよ、そんな事したらアンタは必ず後悔する」

「……夫を失ったのよ……? そうよね? 貴方達私にそう言ったわよね? 私はね? 分かるの夫の遺体を見なくても夫が居なくなってしまったと分かるの……どうしたら良いの? これからどうやって生きていけばいいの? 私達も夫の元に行くのが家族の絆なんじゃないの? 夫を一人にしろと言うの? 何故? 何故!?」


叫ぶアリエナ、そして立ち上がり、ジョンに向かってナイフを向ける


「そうよ、貴方が来てからだわ、おかしくなったのは……貴方の所為で……」


ジョンを睨みつけるアリエナ


「俺を殺すと? そのナイフはそういう意味と受け取っていいだな? なら遠慮はしないぜ」


ジョンもナイフを取り出す。


「おい! ジョン! 止せ!!」

「黙ってろ! 俺とこの女はこうしなきゃならないんだ。決着をつけよう、アリエナ」


彼女の夫を殺したのは紛れもなくジョンなのだ。アリエナの仇は目の前に居る、勝つか負けるか

ジョンはアリエナを静かに視る

部屋に一瞬の静寂の後アリエナが大声を出しながらジョンに向かってナイフを指しながら走り出す。

勝負は一瞬、ジョンのナイフがアリエナのナイフの刀身を吹き飛ばし決着がつく


「残念だったな」


泣き崩れるアリエナ、そんなアリエナを抱きしめるナサル

アリエナの復讐は失敗に終わる




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