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ドブの中の宝石

 ジョンの厄日は今日だろう、湖で魚に噛まれ、身体中には水草が纏わり付いているそしてドブ臭い


「……泥だらけじゃないですか」

「危険生物は居ないって聞いてたんだがな」

「ボクだって人を噛むような魚が居るなんて知らなかったんですよ!」

「血塗れにしてくれてどうもサンキュー!」


 ジョンは自分の頭にかぶりついていた魚を引き離して湖に投げる


「で、でも良かったじゃないですか……ネックレスは見つかりましたし……」

「あぁ、そうだな、その通り、そのネックレスの赤は本来のものか俺の血によるものか分からんがな」

「ははは……」


そんなドブ臭いジョンに頭を下げるネネ


「ジョンお兄ちゃん、ありがとう」

「そんな事どうでもいい、それより約束したよな、お前が怒られないようにするって」

「う、うん……」

「お前は此処で遊んでろ、そしていつも通りに帰るんだそして何食わぬ顔していろそれだけで良い、後は俺が何とかする」

「本当に……?」

「嘘を言っても仕方ないだろ?」


ジョンとエルはその場を離れ、ラルク家に向かう、アリエナに会う為に

ジョンの顔を見た途端不機嫌そうな顔をし


「何でしょうか?」


とウンザリした様子でそう言う


「そんな顔しないで下さいよ、無事事件は解決しました」

「? 解決? まさか、見つかったんですか!?」


アリエナの目の前でネックレスをぶら下げるジョン、アリエナは目を丸くして


「ど、何処にあったんですか!?」

「俺の見た目を見て貰えれば分かると思いますが湖の底に沈んでました」

「何でそんな所に……」

「ここら辺に悪霊が出たと聞いた事は?」

「え、えぇ、あります、でも、ここから離れたあの広場にでしょ?」

「いえ、エーベックでの目撃情報も出てきました」


アリエナはそれを聞いて驚く


「え! そんな! 大丈夫なのよね?」

「安心して下さい、除霊しました、それでその悪霊がですね、ネックレスを盗んだみたいなんですよ」

「悪霊が? どうして?」

「このネックレスにはどうやら悪霊を惹き付ける力があるようでしてね、惹き付けられた悪霊が誰にも見つからない様に湖の底に隠したんです」

「そうだったの……」

「ご家族を疑って申し訳ありませんでしたね」

「……家族を疑った事、このネックレスに免じて許します。次からは気を付けて下さい」


アリエナはそれに続ける


「しかし、夫を浮気者呼ばれした事は許せません! なんて人なの!? 貴方は!」


あの件はアリエナの耳に既に入っていた様だ。


「おっと、その話聞いちゃいました?」

「ネックレスについてはお礼を言います。ありがとうございました。でも貴方は許せません、御免なさい」


と最後に扉を閉めるアリエナ


「あ~あ、ボクしーらない」

「言って置くがお前も無傷じゃ済まないぞ」


最初その言葉の意味が分からなかったエルだが後に分かった。

一仕事終わらせ屋敷に戻るジョン達、時は既に一時、休み時間は過ぎている

屋敷の門前には鬼の形相で待ち構えているナサルにそれに怯えながらも門番の仕事をしているファング

ナサルはジョン達に気が付くとキッと睨み


「お前達! 今まで一体どこで何をしていた!」

「悪いな、修業していたら思った以上に長引いてね」

「……御免なさい、先輩」

「隊長からの命令だ。お前達二人は今から私と一緒にイロコルーナ広場まで着いて来て貰うぞ」


それを聞いた瞬間ジョンとエルの二人は顔を合わせ唖然とする


「マジ?」

「不満か?」

「……今から? すぐ?」

「すぐ今からだ」

「あぁ、そう……その前にいいか?」

「何だ?」

「服を洗って来ていいか?」


ジョンは調理場で服を洗っているとアーロックとローラが現れ執務室に呼ばれる

何故呼ばれたかジョンは予想が付いていた。


「君は私の命令も無く勝手にアルフ家に向かい、アルフ家全員を不愉快にした……間違い無いよね?」

「さぁ? どうだかね」

「ふざけてる場合じゃないよ、昨今のジョン君の行動目に余るよ」

「ジョン君、何故勝手な事をしたんだ?」

「ローラが出て行ったら話しをする」

「どういう事? 何で私が居ると話せないの?」

「そりゃアーロック様のプライベートの話になるから、アーロック様だってそんな事聞かれたくないだろ?」

「私は出て行かないよ、何するか分からないもん」

「アーロック様此処でローラを出て行かせないと後悔する事になるぜ? それでも宜しいか?」

「……分かった、ローラ外してくれ」


ローラは顔を顰め


「幾ら館様の命令でも聞けません、危険過ぎます」

「ローラ私だって簡単にはやられないさ、だから出て行ってくれないか? 私を信用してくれ」


ローラはそう言われた後暫く沈黙し答える


「分かりました、何かあったら大声で呼んで下さい」


そう言ってローラは出て行く


「話しとは?」

「マリアお嬢様の事だ。彼女の誕生日何故付き合えなくなったんだ?」

「急遽仕事が入ってね、行けなくなってしまったんだ」

「アルフ家のネックレスの件とイロコルーナ広場の悪霊の仕事か?」

「あぁ、その通り」

「本当にそれだけの話か?」

「どういう事だい?」

「その二つを早期解決すれば明日のマリアお嬢様の誕生日に付き合えるのか?」

「明日までに解決出来ればね、だが無理だ。村人を放って娘の誕生日を祝う訳には行かない」

「頭が固いな……アルフ家のネックレスの件は解決した。残りは悪霊だけだ」

「何? ネックレスを発見したのか?」

「湖の中に沈んでいた。悪霊の件も俺が解決する、だからアンタはマリアお嬢様と一緒に都市にでも何処にでも行け」

「な、何を……」

「今日中に解決すれば何の問題も無いんだろ? だったらやってやる、どんな無茶だって俺が通す」


それがマリアと交わした約束


「……しかし」

「兎に角、悪霊の件任せて下さいよ、今日中に解決して御覧に入れる」


と言いジョンは部屋を出て行く



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