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死亡通知



「……ドルグノとその部下の処分の仕方は分かりました。ですがこの問題には騎士団の五番隊も一部ですが関わって居るのです。それはどうするのですか?」

「それも大丈夫だ。彼等には王宮騎士団に入って貰う、そして”泊まり込み”でこの城に尽くして貰う、彼等の家族への対応方法も考えてある心配は要らない、ジェイク今日はゆっくりと休み明日また通常通り勤務を行ってくれ」


(そう言う事か……)


 王宮騎士団は基本、非番の日以外は城で住む

 王は裏切った五番隊の隊員たちを王宮騎士団に任命しようとしている理由は彼等の親族に対するケアと事件の隠蔽の為である、彼等を逮捕してしまえば必ず理由を問われる、偽の罪状を作り上げるのにも金と手間が掛かるなので彼等を王宮騎士団に任命し”泊まり込み”で働いているという嘘を付くそしてその実は城の地下の特別監獄へと幽閉される、そして時期を見てドルグノ達と同じ様に不慮の事故で死んで貰うという算段なのである


「はい」

「君は実に優秀な男だ。こんな事で失いたくない」

「身に余る光栄です」


 ジェイクは社交辞令を言い終えると王の寝室を出て行った。

 そしてナサル達が今重要参考人として保護されている部屋まで向かう

 部屋に入ると中の雰囲気はどんよりと暗く、すすり泣く声が聞こえる

 ナサルの声だ。

 カランダーンからジョンの死亡報告を聞いてからずっと泣いている

 ナサルの傍には副団長のキュベルとニカエル達が傍で励ましている、全員ジェイクを確認すると全員ナサルから離れる


「どうだ? 調子は? いや、こんな事訊くのはおかしいか……」

「いえ、大丈夫ですよ、ありがとうございます。団長……」

「……ジョンの事はすまなかった。俺がしっかりしていれば……こんな事にはならなかった」

「止めて下さい……私をこれ以上惨めにしないで……」


 この場で一番責任を感じて居るのはナサルだった。


「ナサル、そうやって自分で全てを背負い込むな、な? そうだろ?」


 ジェイクがナサルの肩に手を置く

 しかしナサルの心は救われない


「私では無くマリアお嬢様の所に行ってあげて下さい……私は大丈夫ですから……」


 今の彼女に何を言っても無駄だと察したジェイクは


「そうか、分かった。何かあったら俺に言ってくれ、良いな?」

「何から何までありがとうございます。団長、助かってます本当に……」


 そんな悲哀に満ちたナサルを背に部屋を出て行きマリアの元に向かった。彼女は今マリアの父の兄弟のピルス・ワルクルスの屋敷に居る

 

「やぁ、マリアお嬢様、元気かい?」


 マリアには砕けた話し方をして安心させようとするが無駄だった。マリアは枕に顔をうずめて泣いていた。

 ジェイクはマリアの前にしゃがみ込む


「そんな事ではジョンも悲しみますよ?」

「貴方にジョンの何が分かるの!?」


 マリアは真っ赤な顔を上げてジェイクにそう怒鳴る

 しかし次の途端、自分が言った事を反省し顔を青くする


「ご、ごめんなさい……私……ごめんなさい……」

「大丈夫です。大丈夫ですよお嬢様」

「もしかして私の事を慰めに来てくれたの……?」

「え、えぇまぁそうですね」


 それを聞いて更に罪悪感が増す。


「それなのに私……」

「あはは、ぶつかりたいのなら俺は幾らでも貴方の壁になりますよ」


 とトンと胸を叩くジェイク

 

「ありがとう、ジェイク」


 ジェイクがマリアの部屋を去るとそこにはガルスが立って居た。


「私からもお礼を言わせて貰いますよ、ジェイク」


 と深々と礼をする


「止めて下さい」


 気恥ずかしくなり頬を掻くジェイク




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