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魔王登場


 偽のローラの予想通り、エルとナサルは兵に扮し城に侵入していた。

目的は勿論捕えられたと言う人物に会う為である、何処にその捕虜の牢屋があるのかは兵士から装備を奪う時に聞いた。

牢屋に向かっている最中にエルが小声で


「バレてませんよね……」

「バレていない、安心しろ」

「そうですね、それにしたって先生、凄かったですね」

「ジョンの事か?」

「ボクあんな人初めて見ました。あんな無謀な作戦を立てて成功させちゃう人、それにあの身体能力……」

「エル、あの男に深入りしすぎるなよ」

「え?」

「危険な男というのは今回のジョンの行動を見てたら分かるだろう」

「大丈夫ですよ、ボクだってそんな気はありません」

「分かっているならいいんだが……」


二人は階段を降り地下に向かう、その途中地下から物音が聞こえる


「なんだ?」

「もしかして拷問中とか?」

「急ぐぞ」


大急ぎで地下まで移動する、階段の終点には扉があり、それをナサルが慎重に開く


「道を開けろ! さもなくばこの兵士を殺す!!」


扉の先には一個の部屋があり奥に牢屋のようなものが見えるそこで青髪の女性が一人の兵士の首元に剣を当てながら周りの兵士達を威嚇している


「バーング、増援が来たようだよ」

「分かってるわよ、隊長」


その二人は見間違う事の無い、間違いなくローラとバーングであった。彼女達は自力で牢を破り脱出していたのだ


「よ、良かった。お前ら、一人は増援を呼んでくれ、一人は此処でこいつらを囲め」



部屋に居る兵士の一人にそう命令されるエルとナサル兵士の数は三人、全員一回ナサル達を見た後視線をローラに移す。

つまり、兵士の後ろで思いっ切り置いてあったこん棒を振りかぶっても気が付かれないという事である



 「やぁ~助かったよ、ナサル」

ローラがナサルに言う

「まさか、敵に扮しているとはな、気が付かなかった」

「いやぁ~バーング先輩もまだまだですね」

「バーング二人に説明してあげて」

「何か分かったのか? バーング」

「お前らも察してるかもしれんが此処はマリアの精神世界だ」

「あぁ、私達もそう予想していた」

「ふむ、そうか、では脱出方法は予想していたか?」

「いや、それを私達も探していた」

「脱出方法はこの世界のマリアに解魔を施す事だ」

「何? そんな事でいいのか?」

「あのマリアは元の世界のマリアの潜在意識が形を持った者だろう、そしてこの世界はマリアの心を写し出した物だ。潜在意識を守る心の壁それを形作ったのがこの世界、マインだ」

「それじゃあその潜在意識を呼び起こすのか?」

「違う、潜在意識に掛かった魔法を解くんだ」

「じゃあ、先生にも来て貰わないと!」

「先生?」


バーングが疑問に思い言う


「ジョン君の事? そういえばもうジョン君とは会ったの?」

「あぁ、外で待機しているはずだ」



 その頃一方ジョンは……

オレンジの湖の中に入った後湖を捜索していた部隊に見つかったのでそれを蹴散らし

街中を逃げ回っていた。


「糞! 速い!!」

「回り込め!!」



逃げ切るのは無理だと判断したジョンは街の外まで逃げる事にする、そして門の前まで走る走る、そして門の前までやって来きたその時奴が現れる


「やぁ! 凶悪犯罪者君! 前は不覚を取ったが今回はそう上手くいかないぞ! ジーク只今参上!」

「うるせぇ! 邪魔だ!!」


ジークの長い自己紹介も空しく参上一秒で殴られ気絶させられる

そんなこんなでようやく脱出する事が叶い、今森の中に居る


「兵士共が弱くて助かったな……こうもうまく行くとは……」


そんな事を一人呟いている時だった。黒い玉が現れたのは


「お、おいおい、何だ?」


黒い玉から現れたのは……


「ふん、相変わらずここは貧相な所だな、ん?」


頭に角を生やしたネルヒム似の少女だった。少女はジョンに気が付いたようでジョンに話しかける


「お前、何で私を見てる?」

「悪いね、アンタの容姿に惹かれたもんでね」


 という冗談をジョンは言う


「ほぉ、お前見る目あるな、この私のこの白く柔らかな肌に惚れたか? それともこの逞しくとも愛らしいこの角に惚れたか?」

「その全部に惚れた」


ネルヒムはほほほと笑う


「素直でよいな、お前、そうだお前、私の下僕になれ」

「俺が下僕に? その前にアンタの名前を聞いてもいいか?」

「そういえば名乗ってなかったな、いいだろう! 聞いて驚け! 我が名は魔王・ネルヒム!! この世界を支配する者なり」


(魔王……ネルヒム? なんじゃそりゃこの世界じゃネルヒムは魔王になってんのかよ、マリア・ワルクルスの頭の中は一体どうなってんだ?)


「ほぉ、それはすごい、それで此処に何しに来たんだ?」

「単刀直入に言おう! この城の王女を殺す事……それが我が目的! さぁ! 行くぞ下僕!!」


ネルヒムが自信満々な足取りで街に向かう


「こっちの意思は関係無しって事ね……」


(お嬢様の次は魔王の下僕かよ)


仕方なく彼女の後を追うジョン


「なぁ、魔王様、俺あの街で指名手配されてるからあまり近づきたくないんだが」

「心配は要らない、私もされてる」

「それ余計、不味くない?」

「何故だ? あんな雑魚共、我が力で捻じ伏せてくれるわ!」


魔王はまたほほほと笑う

街に向かう足はさらに速くなる、そして森を出て王国の前に広がる草原に出る、そこには兵士達が陣を組みジョン達を待ち構えていた。


「!? 来たぞ!!」

「やはり、魔王の差し金だったか! 魔道兵! 奴らを狙え!」

「ふん、相変わらず、ゾロゾロと能無し共め」


と魔王は手を兵士達の方に翳す。

すると兵士達は頭を抱えだし、倒れ出す


「ぐあっ!? 頭が……」

「ぐああああ」


兵士達の断末魔が響き渡る、そんな光景を見てジョンも驚愕する


「う、うげぇ、俺はあんな苦労して倒したのに……」

「容易いものだ、行くぞ、下僕」

 

門を潜った先にも兵は居たが全員、魔王の前に倒れ伏せる、倒れる兵士、村人、魔王達が通った道には人の気絶体が埋め尽くされてる

それを見てまた驚愕するジョン



その頃城の中ではローラ達がマリアを探していた。


「マリアはこの棟の最上階に居る筈だ」

「階段はこっちのようだな」


螺旋階段を登る四人、螺旋階段の中心には大きなパン柱が立っている


「先生は大丈夫でしょうか?」

「無事で居てくれる事を祈ろう」

「私が解魔を施せばこの世界から部外者である私達は外に吐き出される筈だ」

「ジョン君も近くに居る必要は無いの?」

「無いだろう、何処に居ても同じだ」

「解魔はどのくらいの時間が掛かる」

「一分も有れば十分だ。その間の援護は頼んだぞ」


階段を登りきったその時だった。目の前に金の鎧を着偽ローラが現れる、彼女は笑顔で四人に話し掛ける


「やぁ、どうしたのかな? 何かあった?」


ローラ達は兵士に扮している


「は! 王女に報告があります!」


ローラは咄嗟に嘘を付く


「私が聞くよ」

「いや、これは王女に直接、報告しろとの命令があります」

「誰からの命令?」

「言う事は出来ません」

「あっそ、まぁいいや、行って良いよ、勿論王女に謁見するんだから兜は取ってね」


四人の兜は顔を覆い素顔を隠している


「……」

「どうしたの? 出来ないの? そうだよね、だって貴方達……」

「指名手配犯だもんね」


偽のローラは知っていたのだ最初からその兜の奥の素顔を

偽ローラの後ろに聳え立つ大きな両開きのドアが開き多くの兵士が現れる、剣を抜く四人


「降伏しなさい、今ならまだ貴方達だけを処刑するだけで許してあげる、速く剣を置きなさい」

「御免だな、力づくに私達を捻じ伏せてみろよ」

バーングが言う

「へぇ、威勢がいいね、他の三人も同意見って事でいいのかな?」

「構わないよ」

「ここで捕まったってどうせ処刑されちゃいますしね」

「意味の無い取引だったな」

「あぁ、そう残念、血って落ちにくいから此処ではあまり戦いたくないんだよなぁ、残念残念、でもそこまで言うなら……殺してあ・げ・る」


と剣を構えながらウインクをする偽ローラ


「そんな事私の顔でしないでくれるかな?」

「は? 何言ってるの? 私の顔? 君と私とでは雲泥の差があると思うんだけど」


バーングがそんな挑発を受けたローラを心配になり


「隊長、怒って取り乱さないでくれよ、奴等にはこの世界で不純物である私達の顔の区別が付いていないだけなんだ」

「……私を何だと思ってるのかな? 流石にこの程度では怒らないよ」


隊長として信頼されていない、事に若干傷つきながらそう返す。ローラ


「無駄話は終わったかな? じゃあ始めようよ、ね?」


そう偽ローラが言った時だった……階段から誰かが上がって来る音が聞こえる、それは偽ローラと四人の騎士にだけ聞こえる。

四人は敵の増援だと思い後ろにも警戒をする、偽のローラもそれは同じ、味方の増援だと思っていた。

そこで攻撃を仕掛ける偽ローラ、まず杖を取り出し、魔法でナサル達の足場を凍らす。

足場は滑り身動きが取りづらくなる、しかも足場は階段、効果は抜群である


「どうかな? 少しは降参したくなった?」

「何を今更」

「でもでも、そこから一歩でも動けば体制を崩して私に大きな隙を見せる事になるんだよ? そんな所、私が見逃すはず無いじゃない」

「馬鹿め、自分だけが魔法を使えると思うなよ」


とバーングは杖を取り出し、杖先を合わせ偽ローラに炎を浴びせる、焦る偽ローラ、後ろに後退し避ける


「!? 魔法を使えるとは、予想外!」


後退した隙にローラが偽ローラ目掛けて突進を仕掛け、偽ローラに止めを刺そうとする

それを何とか受け止める偽ローラだが後には続かない受け止め方、二振り目は受け止められない、が後ろには兵士が居る

その兵士達が前に出る事でローラの追撃を止める


「くっ数が多い……!」

 

その頃である、階段を登って来た人物が姿を現すのは……最初に目にしたのはナサル


「!? 巫女様!?」

「え!? 先生!」

「巫女だと? ネルヒムの事か?」

「何だ騒々しい、お前達、私を知っているのか?」


現れたのは魔王・ネルヒムとその下僕ジョン

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