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 王国の隣にポツンと立っている煉瓦作りの三階建ての大きな施設辺りには警備が多数これが魔法研究所だ。

 ジョン達はその施設を匍匐状態で遠目に見て居る


「あの子一人で大丈夫なのか?」

「お前も知ってるだろ、あいつは普通の子供じゃない、死んでも死なない心配は要らない」

「一時間待って、メイヴィスが帰って来なかったら突入だ。良いな?」

「大胆だな、お前も付き合う必要は無いんだぜ? 無許可でお前が突入したら色々と面倒事になるんじゃないか?」

「もう既に面倒事になってるし、この事件が無事解決したら間違いなく俺は団長を降ろされる上逮捕も有り得る、こうなったらもう何も失う事は無い、そうだろ?」

「家族も居ないのか?」

「心配してくれるのか? 嬉しいね、家族は居ない天涯孤独さ」

「だろうな、そんな見た目をしている」

「どんな見た目だよ」


 ジョン達は研究所の外にて待機を続けている


 ナサル・パララグは冷たい石畳の床にて目覚めた。上半身を起こしある事に気が付く

 服を着ていないという事と周りに自分を心配そうに見つめている女性が二人居る事、それに牢屋に閉じ込められているという事だ。


「良かった……目覚めたのね?」


 そう声を掛けたのはニカエル


「君は……? ま、まさか」


 ナサルはニカエルの顔に見覚えがあった。ずっと昔の記憶だとある研究施設で道具の様に育てられていた時の記憶、その時身を寄せ合い支え合った顔の中に彼女は居た。彼女がクローンだと一瞬で察したナサル、ニカエルも同様


「此処は何処なんだ?」

「私も分からない……気が付いたら此処に居て」

「君は?」


 そうナサルはカーナに尋ねる、彼女の顔は見ない顔であった。


「わ、私は……カーナ・ウルシテッドと言います」


 動揺をしながらも自己紹介をするカーナ

 ニカエルもナサルもウルシテッドという苗字を聞いて理解した。


「ローラ・ウルシテッドの子孫なのか?」

「は、はい……」


 ニカエルとナサルは顔を見合わせる

 研究所での記憶が蘇る

 そして私達は……故意に集められたのだと理解する

 牢は鉄格子にて閉じられており外は牢の中より狭いスペースに外に続くのだろう扉が一つ誰も居ないしかし蝋燭に火が灯り自らを照らしているので誰かが扉の向こう側に居るのは間違いない、そして扉と言えばこの牢にも扉が付いている、ナサルは手で自らの身体を隠しながら扉まで歩く

 勿論その行動は無駄で扉はビクともせず魔法も使えない事に気が付く


「この牢には魔法除去の魔術が掛けられているのか……」

「そうみたいね、私も使えないわ」


 カーナが何も答えなかったのでカーナを見るナサル、カーナは座ったまま丸まり震えて居た。

 放って置ける訳も無くナサルはカーナに近付き隣に座る


「大丈夫だ。もし何かあっても私が護る」


 そう言ってナサルはカーナの肩を抱く

 しかしそうやってカーナを安心させようとしているナサル自信も本当にカーナを護れるかどうか自信等無く不安を抱いている、だがそれを表の出すという事はカーナを更に不安にさせるという事

 今はただ肩を寄せ身を温め合うぐらいの事しか出来なかった……



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