平和な夜
此処はエーベックのマリアの屋敷の中
キャロという全身が毛に覆われた少女の獣人と普通の人間の少女ジェシカがキャロの部屋にて対面したまま椅子に座って話している
「キャロはお父さんが居なくても寂しくないの?」
「寂しくない事は無いけどいつかきっと迎えに来てくれるって信じてるから我慢出来てるんだ。カランダーン様もいつかお父さんも解放してくれるって言ってたし」
「そうなんだ……じゃあ早く迎えに来てくれると良いね」
「うん!」
無垢な笑顔で元気よく返事をするキャロ
「……」
ジェシカの顔が曇る
「? どうしたの? ジェシカちゃん?」
「ううん、何でも無いよ……」
「何でも無い事ないよ、変だよジェシカちゃん」
心配するキャロは立ち上がりジェシカに近寄る
「具合悪いの?」
「ごめんね、少し……悲しくなっちゃって……」
「どうして悲しくなっちゃったの?」
キャロの父親は生きているがジェシカの父親は死んでしまっている、それも無惨な殺され方をされた。母親も既に他界しており両親が居ないなので今はナサルが面倒を見て居る、それをキャロに全て話した。するとキャロは申し訳なさそうに俯いて泣き出す。
「ごめんね……私知らなくて……」
嬉しそうに自分の父親の事を話した事を後悔しているキャロ、そんなキャロに気を使わせてしまってジェシカも父親の事を話してしまって後悔していた。
「い、いいんだよ、聞いたのは私なんだから、謝らないで」
「……ごめんね」
今まで楽しく会話を楽しんでいたのに一気に空気が悪くなってしまった二人
今度はジェシカがキャロに近付くそして抱きついた。
「ジ、ジェシカちゃん!?」
「私の方こそごめんね? あんな事を話すべきじゃなかったね……」
恥ずかしそうに見悶えるキャロ
「だめだよ、あ、あの私臭うから……」
キャロの頬に顔を埋めて匂いを嗅ぐジェシカ
「ひゃっ!? や、やめてよぉ」
「良い匂いだよ? とっても甘い匂いがする」
キャロは身だしなみを非常に気にしており、一日四回は身体を洗うそれでも自分の匂いを嗅がれるのを嫌う、そして獣人という種族の殆どは水に濡れた姿を見られるのを嫌うのでキャロもコッソリと一人で身体を洗い完全に毛が渇くまで何処か人が来ない所で隠れている
「ふわふわだね、気持ちいい」
「きゃっ! そんな所触っちゃダメだよ!」
「耳を触ってみても良い?」
「え? う、うん……でもにおいは嗅がないでね……耳は絶対にダメだから……」
キャロの耳は普通の人間の耳の位置には無く頭の上に二つ立っている、そしてその大きな耳は人間の耳とは比例にならない程大量にゴミを入れてしまう、なので必然的に臭いも強くなる、なのでキャロは非常にこの耳を嫌っている
ジェシカはそんな事も知らずに不思議そうに耳を触る
また悶えるキャロ
「も、もぉ! ダメ! 終わり!!」
そう言ってキャロはジェシカを突き放す。キャロの筋力は同世代の子供と比べてとても高い何故なら毎日筋肉馬鹿の父親の言い付けで筋肉をトレーニングを行って居るからだ。
「もっと良いじゃないの」
「駄目だよ! 私の身体を触るよりナサルさんとどうやって仲直りするかを考えなよ!」
「そ、それは……」
父親の話になる前、ジェシカとキャロは喧嘩してしまって今はとても気まずい仲のナサルとどうやって仲直りをしようかと相談していたのだ。
「仲直りしたいんだよね?」
「う、うん……」
「ならまた一緒に考えようよ、きっと良い方法があるよ」
無邪気にそう話し合う二人
勿論、今ナサルがどのような環境に置かれているかは知らない
二人の夜が何時ものように平和に過ぎる




