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団長




 俺はジェイク・ロックロード……とある国の騎士団の団長を務めている、団長になる前は団長にでもなれば誰の指図も受けずに済むと思っていた。

 がそれは違った。正直まだ隊長だった時の方が楽だった……十番隊の奴等をまとめなきゃならないし……王の言う事にも耳を傾けなきゃいけないし……その他色々な事をしなくちゃならない……休みもほぼ無し、はぁ……

 苦労しているからか白髪も出て来た。それに毎日溜息を吐いている気がする……毎日毎日胃をキリキリさせながら働いてその挙句の果てこのテロ……それもそのテロの実行犯は騎士団の団員達、テロを無事解決しても間違いなく俺が責任を負う事になるケース……逮捕も有り得る

 でもこのまま団長を続けるぐらいなら牢獄生活の方が楽かも……

 なんて思うぐらい俺の精神は追い詰められていた。

 十五回目の溜息を終えると俺は王城の目の前にまで来ていた。目の前には城の門番が居る

 門番は俺に敬礼をしてくる


「ご苦労様です! ジェイク様! どうかなさったのでしょうか?」

「フィーネ様に会いたい、問い合わせてくれないか?」

「は! 畏まりました!」


 そう言い門番は城の中へと消えて行く、城の外で深呼吸をして精神を落ち着かせる

 フィーネ・エスカルド

 この国の王の妃の名前だ。正直俺は苦手

 門番が戻ってくるとその後ろにはこの城の執事が立っていた。


「ジェイク様、フィーネ様との拝見をご希望という話なのですが……御用を先に伺っても宜しいでしょうか?」

 

 恐縮といった姿勢と言動で俺にそう尋ねる執事の男

 まぁ当然だろうな


「意識が戻ったと聞いてな、お見舞いに来た。ただそれだけなんだが……ダメか?」


 そう言って俺は片手に持って居た菓子折りを執事に見せる

執事はそれを見るとニコリと笑い


「余計な詮索の無礼をお詫びします。ジェイク様、こちらへどうぞ」

「どうも」


 俺は執事に案内され俺は王女の部屋の前まで辿り着く

 その部屋の前には王女の兵が二人立っている、二人共俺を見ると敬礼をした。


「よぉ、ご苦労様」

「は!」

「入っても良いよな?」

「申し訳ありません! 只今ドルグノ様が拝見中ですのでお通しできません! 拝見が終わるまで客間にてお待ち頂けないでしょうか?」


 そう申し訳なさそうに俺に行って来るので構わないと言おうとした瞬間あのにっくきジョンの言葉が俺の脳裏に響き渡る


「奴等が再び暗殺を企てる可能性だって有る……」


ま、まさか……ドルグノが犯人だってのか……? 


「別に待つのは構わないがドルグノ様は何か見舞い品を?」

「えぇ、ワインを持って来て下さいました」


 毒を入れるなら俺もワインを選ぶ……

 クソッ! どうする!? いや、待てよ……こんな場所で毒殺したら自分が殺したと自白する様なモノ……呪いなんて手段で王女を殺そうとした奴が今更そんな事をするか? 

 相手は国を敵に回しても平気な奴等……有り得ない話じゃない……

 そう俺が思考を巡らして独りで四苦八苦していると王女の部屋の扉が開く

 扉を開いたのは白い顎鬚を垂らした体格の良い初老の男、この男がドルグノ、この国の魔法研究科のリーダー

 この男は俺を見るなり笑顔で


「あ! ジェイク君! おっひさ~元気してたかい?」


 と砕けた言葉で俺に話し掛ける、この人も苦手だ。得意な人間の方が少ないけどな……


「はい、最後に会ったのは三年前ですから、ドルグノ様もお変わりありませんか?」

「うん、僕も元気元気、元気過ぎて困っちゃうくらいだよ、ジェイク君もフィーネちゃんに会いに来た感じ?」

「え、えぇ……」


 幾ら仲が良いからって普通この場で王女の事をそんな呼び方するか? やっぱ変だぜこの人


「そうかそうか、フィーネちゃんも喜ぶよ、あ、僕この後用事があるんだよね、ごめんね、もっとゆっくり話したい所なんだけどさ、また今度食事でもしながら二人で話そうよ」


 そう言って彼は「まったね~」とこの場を去って行った。


「さ、さぁジェイク様、どうぞ」


 警護の兵士達も彼の言動に困惑したのか、少しぎこちない


「ま、あの人はいつもあんな感じだからな、今の内に慣れて置いた方が良いぜ?」

「あ、ありがとうございます。申し訳ありません取り乱してしまって……」

「俺も最初会った時は困惑したよ、気にする事は無い」

「は!」


 俺は王女の部屋へと入ると後ろの扉は閉じる

 王女はベットの上で上半身を起こし微笑みながら黄色の瞳で俺の方を見て居た。


「お久しぶりね、ジェイク」


 俺は跪く


「お久しぶりです。フィーネ様」

「それで? 何の御用かしら? ジェイク」

「お見舞いに……と」


 そう言って俺は菓子折りを王女に差し出す。


「あら、ありがとうジェイク、でも本当の目的はお見舞いなんかじゃないんでしょ? 私の見舞いに貴方が来るとは思えませんもの」


俺の思考は見透かされたみたいだ。やっぱ苦手

 

「それで? 何の用なの?」

「呪いの件です」


 王女様が顔を顰める


「ふぅ、またそれなの? 私が目覚めてからその話ばっか……もう飽きたわ」

「そう仰らないで下さい、この話、フィーネ様の命に関わるかもしれない話ですから、しっかりとお聞き頂きたい」

「仕方ないわね」


 とふくれっ面で何とか納得してくれた様だ。面倒な人だ。


「フィーネ様、何故呪いを掛けられたのですか?」


 王女様は首を傾げる


「ん~それが覚えていないのよね……何処でそんなモノを掛けられたのかも覚えていないのよ……暫くしたら思い出すのかしらね?」


 そんな事を聞かれても知らんぜ……


「さぁ?」

「そうよね……そんな事を聞かれても困るわよねぇ」

「やーねぇ……私もおばあちゃんになってしまったのね……歳を取ると物覚えも悪くなるとは言うけれど……」

「物覚えが悪くなったとかそういう問題では無いと思いますよ」

「そうかしら?」


 すっ呆けてるのか?


「呪いの事は何も覚えていないんですね?」

「えぇ、その通りよ、全く綺麗サッパリ」

「……はぁ、そうですか」


 今日何回溜息を吐いた? 覚えてねぇぞ!!


「あら、まぁそんな顔をしないで今は駄目でも明日にはきっと良い事が有るわよ」


 我が王女様からの気休めを頂く

 俺は王女のベットの横に有るサイドテーブルの上にワインの瓶が置いてあるのを発見した。ドルグノの物だろう

 まだ栓は開いていない様だ。一応貰って置くか……俺はワインボトルを持つと王女は


「え? 何をしているの?」

「一応の用心の為です」

「あら、何よそれはドルグノが私に何かをすると思って居るという事かしら?」

「言ったでしょう? 貴方は呪いを掛けられてつい数時間前まで苦しんでいたんですよ? 用心はすべきです」

「だからと言ってドルグノを疑う必要は無いでしょう?」


 ドルグノと女王は仲が良いからな、


「何故ですか? 誰が信用出来て出来ないかなんて分からないでしょう?」


 俺は少し大きめの声を出す。

 威圧する為に声を大きめに出したのだが一切効いていない様だ。俺を睨みつけて来る王女……どうしたものかね







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