大脱出!!
重いまぶたを開けると、まず目に入ったのは大きなシャンデリアだ。
あれ、僕の家にシャンデリアなんてないはずだが……。
『お目覚めですか?』
聞いたことがない少女の声に首を傾げる。
体を起こすと、赤いドレスを着た小さな女の子がいた。
「あの、すいません」
『これから、この部屋を脱出してもらいます』
「は?」
僕はやっと今いる部屋の状況を理解した。
先程のシャンデリアとは対照的で、コンクリートで囲まれている部屋だ。
隅っこには、武器として使われる槍、ダイナマイトや2メートルぐらいのロープが置かれている。
『出口は床にある扉です』
少女が指している方向を見てみると、彼女の言うとおり扉が設置されていた。
でも、なぜ床に扉があるんだ?
『今から天井が少しずつ下りてきます』
「えっ」
そしたら、僕らは潰れてしまうじゃないか。
『天井に潰される前に私の問題に答えてください。そうすれば扉は開きます』
「問題って、何ですか」
『私の視界から、あなたの姿を見失うことです』
……えっ?
「何を言っているのですか?」
『タイムリミットは5分です。スタート』
訳の分からないまま、勝手に始まってしまった。
天井が少しずつ下がっていく。
どうすればいいんだろう。
このままじゃ、天井に押しつぶされる……。
たしか、ここから出られる方法はあると言っていた。
『私の視界から、あなたの姿を見失うことです』
僕の姿を少女に見せなければいいんだな。
少女は僕のことを哀しい瞳で見つめている。
「よし、脱出してやる」
僕は少女の後ろに回ろうとした。
だが、少女も一緒に回ってくる。
僕を瞬きせずに見つめながら。
「おい」
これでは駄目じゃないか。
だったら、無理矢理、僕のことを見させなくするしかない。
僕は少女の体に触れようとした。
だが、驚くことに体が通り抜けたのだ。
「えっ」
何度も少女に触れようとしたが通り抜けて触れない。
まるでその場所にいないように……。
「お前はいったい何者なんだ」
だが、少女はこちらを見つめたまま何も喋らない。
今度は手で目を隠そうとした。
だが、少女は軽やかなジャンプをして僕と一定の距離を保とうとする。
何度追いかけても、まるで重力など存在しないように逃げていく。
「やばい……」
天井はもう近くまで迫っていた。
何か方法はないのか?
誰か、教えてくれ。
少女から僕の姿を消す方法を。
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もし皆さんなら、どうやって少女の視界から逃れようと思いますか?
この謎を解いていただけると嬉しいです。
次は解答編です。
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どうすればいいんだ!
どんなに逃げても少女は追いかけてくるし、彼女の体に触れることもできない。
少女はただただ、僕のことを逃すまいと見つめてくる。
どうしたら、視界から姿を消すなんてことができるんだよ。彼女に僕のことを見つめないように説得すればいいのか?
天井はどんどん降りてくる。
タイムリミットはあとどれくらいだろう。1分あるかないか……。
僕は周りを見渡してみる。
コンクリートの壁。シャンデリア。槍、ダイナマイト、ロープ。
と、そこでひらめいた。
「わかったぞ!」
僕はすぐに槍を取りに行くと、それを使って天井のシャンデリアを壊した。
とたんに部屋は真っ暗になる。
「これで君の視界から、僕は消えたことになる。暗闇だからね」
『ふふ、お見事ね』
すると、扉が自動で開いた。
『楽しかったわ。また遊びましょ』
部屋の中にあふれんばかりの光が包んだ。
それと同時に僕の意識も遠ざかっていく……。
◆
目を覚ますと、自分の部屋に戻っていた。
「あれ、夢だったのかな」
僕は自分にそう言い聞かせながら、体を起こす。
「あっ」
自分の手には長い髪の毛が1本ついていた。
もし、あのとき脱出に失敗して天井に潰されていたら……。
僕は首を横に振り、窓のカーテンを開けた。
『ねえ、次はどんな遊びをしたい?』




