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ホラー・ミステリ系の短編集

大脱出!!

作者: ハルカゼ
掲載日:2015/12/03

 重いまぶたを開けると、まず目に入ったのは大きなシャンデリアだ。

 あれ、僕の家にシャンデリアなんてないはずだが……。


『お目覚めですか?』


 聞いたことがない少女の声に首を傾げる。

 体を起こすと、赤いドレスを着た小さな女の子がいた。

「あの、すいません」

『これから、この部屋を脱出してもらいます』

「は?」


 僕はやっと今いる部屋の状況を理解した。

 先程(さきほど)のシャンデリアとは対照的で、コンクリートで囲まれている部屋だ。

 隅っこには、武器として使われる(やり)、ダイナマイトや2メートルぐらいのロープが置かれている。


『出口は床にある扉です』

 少女が指している方向を見てみると、彼女の言うとおり扉が設置されていた。

 でも、なぜ床に扉があるんだ?

『今から天井が少しずつ下りてきます』

「えっ」

 そしたら、僕らは潰れてしまうじゃないか。

『天井に潰される前に私の問題に答えてください。そうすれば扉は開きます』

「問題って、何ですか」

『私の視界から、あなたの姿を見失うことです』


……えっ?


「何を言っているのですか?」

『タイムリミットは5分です。スタート』

 訳の分からないまま、勝手に始まってしまった。

 天井が少しずつ下がっていく。


 どうすればいいんだろう。

 このままじゃ、天井に押しつぶされる……。


 たしか、ここから出られる方法はあると言っていた。

『私の視界から、あなたの姿を見失うことです』

 僕の姿を少女に見せなければいいんだな。

 少女は僕のことを哀しい瞳で見つめている。


「よし、脱出してやる」

 僕は少女の後ろに回ろうとした。

 だが、少女も一緒に回ってくる。

 僕を瞬きせずに見つめながら。


「おい」

 これでは駄目じゃないか。

 だったら、無理矢理、僕のことを見させなくするしかない。


 僕は少女の体に触れようとした。

 だが、驚くことに体が通り抜けたのだ。

「えっ」

 何度も少女に触れようとしたが通り抜けて触れない。

 まるでその場所にいないように……。

「お前はいったい何者なんだ」

 だが、少女はこちらを見つめたまま何も喋らない。

 

 今度は手で目を隠そうとした。

 だが、少女は軽やかなジャンプをして僕と一定の距離を保とうとする。

 何度追いかけても、まるで重力など存在しないように逃げていく。

「やばい……」

 天井はもう近くまで迫っていた。


 何か方法はないのか?

 誰か、教えてくれ。

 少女から僕の姿を消す方法を。


==========================


 もし皆さんなら、どうやって少女の視界から逃れようと思いますか?

 この謎を解いていただけると嬉しいです。


 次は解答編です。


==========================



 どうすればいいんだ!


 どんなに逃げても少女は追いかけてくるし、彼女の体に触れることもできない。

 少女はただただ、僕のことを逃すまいと見つめてくる。

 

 どうしたら、視界から姿を消すなんてことができるんだよ。彼女に僕のことを見つめないように説得すればいいのか?


 天井はどんどん降りてくる。

 タイムリミットはあとどれくらいだろう。1分あるかないか……。


 僕は周りを見渡してみる。

 コンクリートの壁。シャンデリア。槍、ダイナマイト、ロープ。


 と、そこでひらめいた。

「わかったぞ!」


 僕はすぐに槍を取りに行くと、それを使って天井のシャンデリアを壊した。

 とたんに部屋は真っ暗になる。


「これで君の視界から、僕は消えたことになる。暗闇だからね」

『ふふ、お見事ね』

 すると、扉が自動で開いた。

『楽しかったわ。また遊びましょ』

 

 部屋の中にあふれんばかりの光が包んだ。

 それと同時に僕の意識も遠ざかっていく……。



 目を覚ますと、自分の部屋に戻っていた。

「あれ、夢だったのかな」

 僕は自分にそう言い聞かせながら、体を起こす。

「あっ」

 自分の手には長い髪の毛が1本ついていた。


 もし、あのとき脱出に失敗して天井に潰されていたら……。

 僕は首を横に振り、窓のカーテンを開けた。



『ねえ、次はどんな遊びをしたい?』



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