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エンジェル・フォール!≪番外編≫  作者: 五月蓬
突撃! 話題のあの人!
5/7

四人目:『聖女』 グゼさんに救われたい!




 はい。今回はもう既に『ヴィ・ジョン・バ・ナーレ』しちゃってます。

 私の目の前には、既に事情を説明し終えた今回のスポットパーソンがいらっしゃいます。

 なうろーでんぐの必要もナッシングです。


 何故?


 いっぱいお話したいからに決まってるじゃないですか!

 という訳で今回のスポットパーソンを紹介しましょう!



 真っ白い絹を思わせる綺麗な白い髪!

 負けじと白い陶器のような肌!

 天使を思わせる黒い宝石のような瞳!

 画像を見れば分かるでしょう! この絶世の美女!

 彼女、見た目だけじゃないんです!


 彼女こそがノトスで最近噂の『聖女』さま!


 ――では、お名前を……どうぞっ!


「初めまして。グゼと申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします」


 ――ご丁寧にどうも! こちらこそ無理を言って申し訳ありません!


「いえいえ。無理だなんて。私などでよければ何なりと。それが誰かの助けになるのなら、私にとってそれ以上の喜びはありませんから」


 眩しいっ! ドブ沼みたいな私の濁った瞳には眩しすぎるっ!

 彼女こそがノトスで最近話題の聖女様、グゼさんです!

 取り敢えず、小柄ながら可愛い! 美しい! 笑顔にとっても癒やされる!

 勿論、容姿だけでなく、心も綺麗! 私の取材依頼も二つ返事で即オーケー!

 いやね? 私も最初は聖女様の化けの皮を剥がそうと……げふんげふん。意外な一面を探ろうとしたんですけどね?


「むしろ申し訳ございません……お待たせしてしまって」


 ――いえいえそんな! こっちが無理言って取材依頼してるんですから! そっちの用事優先して貰って一向に構わないんで!


 実はようやく取材がスタートできた、というくらい待ちました。

 というのも、取材の約束の時間になってから急患が運び込まれてきまして。あ、急患って何かって?

 実はグゼさん、『治癒術』のスペシャリストです! 初めて見ましたよ、一瞬で傷が塞がり折れた骨が繋がるところなんて! こう、手を触れたら優しい光がファーッてなって、泣き喚いてた子供が一瞬で泣き止んで! まさに、白衣の天使! エロいナースの格好で看病して欲しいな-、とか思ってたけど、あまりにも眩しすぎて罰当たりなこと考えてるとこの私が反省! この私がですよ!


 さっき怪我を治してあげた子供がすっかりグゼさんに懐いて膝に乗っています。微笑ましいですねぇ。


 ――しかし、治癒術! 凄いですね!


「些細な特技ですが……」


 ――些細なんてとんでもない! 一応治癒術が盛んなヴォラスでも色んな治癒術士を見てきましたけど、そこまで腕の良い治癒術士は見ませんでしたよ!


「ふふ。ありがとうございます」


 少し嬉しそうにグゼさんが笑いました。思わずシャッター切りましたよ。

 

 ――本当に凄い。一度私も体験してみたいなぁ。怪我してこようかな?


「やめて下さいよ? 痛いのは痛いんですから。怪我なんてしなくても、体験くらいなら」


 ――え? 体験コースとかあるんッスか?


「はい。手を出して下さい」


 グゼさんに言われるがままに手を出しました。すると、出した手を小さい手が優しく包み込みます。それだけで癒やされるんですけど。ってか、どきっとしたんですけど。


「はい。力を抜いて……変な声出るかも知れないので気をつけて下さいね」

「お、おほぉぉぉぉぅ……」


 やっべ、変な声出た。何これ滅茶苦茶気持ちいいんだけど。あ、別にヤバイ薬ぶち込まれた訳じゃないですよ? すっごい癒やされるんですけど。何か光がファーッて入ってきて、手がぽかぽかしてきて、心が満たされていくというか。

 女が出していい声じゃない声出しちゃった。やだ、恥ずかしい。今回の器が男で良かった! 絵面はやばいけど!


「疲れを取るくらいですが」

「あ! 本当だ! 肩こりが治った!」


 治癒術すげえ!


 ――って、ちょっと待って下さい! インタビューですよこれ! 私一人で気持ちよくなっちゃってどうするんですか!


「あ、そうですね」


 ――しかし、治癒術もさる事ながら……実にお美しいですねぇ、グゼさん。


「もう、やめて下さい。恥ずかしいです」


 本当に恥ずかしそうに苦笑するグゼさん。やだ可愛らしい。

 

 ――その白い髪も本当に美しい。長いですねぇ。


「髪ですか……長いですよね。実は切っても切ってもすぐ伸びてきて……治癒術効果でしょうか」


 ――え、それ治癒術で伸びてるんですか?


「はい。本当は邪魔なんで短めがいいんですけど」


 ――ショートも似合いそうですね。でも、長いの切るのも勿体ないなぁ。というかちょっとその髪触ってもいいですか?


「え? いいですけど……」


 ――うわっ! サラッサラ! ところで好きな食べものってなんですか?


「え。髪触りながらですか? えーと、食べれるものなら何でも好きです。一時期本当に食べものにありつけなくて……」


 ――え。そんな時期が?


「はい。その頃は治癒術もからっきしで。何も出来ずにあちこち彷徨ってました。食物の有り難みが身に染みて分かりましたよ」


 ――苦労されてるんですねぇ。


「苦しくなかったと言ったら嘘になりますね」


 ――ご家族はいらっしゃらないので?


「父と母、あとは妹が一人居ました。今では離れ離れですが」


 ――ほうほう。どんなご家族だったんですか?


「父と母は……人助けが好きな人達でした。少し行き過ぎなくらいに。人には救いが必要だ、なんて言って、自分達の事なんて一切お構いなしに色々やってしまうんです。私の名前もこの世に救いをもたらす子に、ってつけたと聞いています」


 ――立派な方々なんですね。そのご両親が居てグゼさんありという事ですか。


「多分、私も両親の影響を受けたんでしょうね。妹は両親の行き過ぎたところが嫌いだったようですが。あと、それに流されがちな私の事も」


 ――妹さんとは仲がよろしくない?


「私は大好きなんですけどね。多分、なよなよしてるのも駄目なんでしょうね。反省はしても治らない。駄目ですね、私」


 ――そんな事ないですよ。今のご立派なお姿を見られれば、妹さんだって。


「ごめんなさい。少し暗くなってしまいました。だといいですね、本当に」


 それはそれは悲しそうな笑顔でした。でも、不思議かな。本当に美しそうな人は、悲しい顔もまた美しい。不謹慎ながら見惚れてしまいましたよ。シャッターを切ることも忘れて。

 やっぱりまともな人を前にすると、ふざけても居られないものですね。あ、いや違うんです。別に今までのスポットパーソンが若干アレだとかそういう意味では。苦情は入れないで下さいね? 


 ――さて、唐突に話は変わりますが。ご趣味は?


「趣味、ですか。色んな人とお話する事ですかね」


 ――なるなる。どんなお話が好きですか。


「他愛ない世間話とか。何処のお茶が美味しいんですよとか、最近あった面白い話とか、色々ですね。私が見た事のない事なんかが聞けるのが一番楽しいです」


 ――そうですかそうですか。もし、宜しければ、こういうお仕事上のお付き合い以外でも、たまにお話とかしに来てもいいですか?


「はい! 是非また来て下さい!」


 ――ううん、眩しい笑顔っ! パシャっと一枚! それじゃあ最後に一言どうぞ!


「え? 一言?」


 ――はい! 新聞に載るんで、たとえば『宣伝』とか? 何かあったらどうぞ!


 その質問をした時、若干私はマズったと思いましたね。

 そりゃあもう、今まで覆い隠していた彼女の巧妙な笑顔の仮面の下にね、見ちゃった訳ですよ。

 後ろ暗さ全開の、彼女のホントの腹の底。

 暗く影の掛かった笑顔で、彼女はえーっとと困った素振りを見せながら言いました。


「……実は私、とあるボランティア団体で活動をしていまして」


 ――ボランティア団体?


「はい。今でもメンバー募集中ですので、もしもご興味をもたれた方がいらっしゃいましたら」


 ――して、何という名前の団体なんですか?


「『エクスィレオスィ』です。どうぞよろしくお願いします」


 私は直感しましたよ。この人……









 この人、怪しい宗教のひとだ!

 ヤベエ人引き当てちゃいましたよ私、親分!


 だけど、何か色々起爆剤になりそうなので、これもまた良し! メアリー・スーにはモラルなどない!


 はてさて、今日のスポットパーソンは!

 その美しさと慈悲深さにはみんなメロメロ!

 『聖女』ことグゼさんでした!




 次回ははてさてどうするっすかねぇ。そろそろ、取材して欲しいスポットパーソンとか、アンケートで募ってみるってのはどうッスかね親分!

 え? お前が工作して、ユディウ団長の取材仕組むだろうって? 第二〇回のインタビュー待たずに仕組むだろうって? そ、そそそそそそそそそそんな事しないッスよ! だって、それは今回企画成功時のご褒美ッスもん! ず、ずずずずずずずずズルはしなし、しないッス!



 うーん、じゃあ次回はどうするッスかねぇ。

 早速ランダムセレクト行っちゃいます?

 いや、実は私も有力候補は持ってるんスけども、これはもっとキリ番でビシっと決めたいというか……


 じゃあ、次回はランダムに行きますよ! 何か変な人に当たってもそれはご愛敬!

 行き当たりばったりだなこの企画オイ! 



 それでは次回のスポットパーソンに……『ヴィ・ジョン・バ・ナーレ』ッ!





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