表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エンジェル・フォール!≪番外編≫  作者: 五月蓬
突撃! 話題のあの人!
3/7

二人目:『忠剣』 イツキさんの素顔迫る!



 メアリー・スー、晩ご飯を食べ終わって次のスポットパーソン探しに勤しんでおります!

 そう。せめてあともう一人、今度は先物でなく話題の人物を用意したいところ!

 そんなこんなでノトスの方に意識を向けていると居ました居ました! お城の方にスポットパーソンの気配発見ッス!


 お城と言えば、ノトスでよく聞く噂!

 ノトスの王様レークス様の従える剣士がとってもイケメンでとっても強いとか聞いた覚えが!

 レークス様に忠実な懐刀、故に『忠剣ちゅうけん』と呼ばれる剣士。

 何でもその太刀筋は、落ちる雷をも切り裂き、唸る滝さえも黙らせるという事!


 もしかしたらこの気配、彼なんじゃないッスかぁ~~~!?


 こいつは良いネタ! それじゃあ今日も言ってみよう!


 『ヴィ・ジョン・バ・ナーレ』!




 ~~~ 脇役さんの意識にアクセスしています! なうろーでんぐ! ~~~




 意識がはっきりした下りははしょる最優良記者メアリー・スー。

 ここはやっぱりお城のようです!

 取り敢えず状況把握の為に挨拶ぶちかますのはいつもの事です!


「Hey! Yo! チェケ、ラッ、チョ! レデース、エン、ジェトルメッ! コンニチハ、午前十二時ヲオ知ラセシマス」

「ふおっ!?」


 目の前には、何やら格好良い殿方が!

 流石にメアリー・スーの登場にビックリしたようで素っ頓狂な声を上げました!

 どうやら此処はお城の訓練場のようで、目の前にいる格好良い殿方は、剣のお稽古の途中だったようです! 滴る汗がまた堪らない! さわやかっ! 

 私は彼と訓練していたモブの意識を乗っ取ったようです!


「きゅ、急にどうしたアニード……?」

「ごめんなさい! 実は私、アニードって人じゃないッス! 見た目は男、中身は女! その名も、最優良記者メアリー・スー!」

「え? 見た目は男、中身は女? ……お前、アニードさては」

「そこ拾っちゃうかー。違うッス違うッス! あのッスねー……かくかくしかじか」


 一通り事情を説明!


「……え?」


 どうやら理解できないようです。

 すっごく怪訝な顔をしています! まぁ、でしょうね! 前例が呑み込み早すぎただけです!

 いきなり「こいつの身体は乗っ取った! 返して欲しくばインタビューを受けるがいい!」で通るほど、世の中甘くないし、ノリも良くない!


「適当に質問するんで答えてくれればそれでいいッス! あと、最後に格好良い決めポーズ決めてくれればそれで! そしたらすぐに退散するんで!」

「待て待て待て待て。え? 本当にお前、気が狂ったわけじゃないんだな? どこかの誰かが魔法で操ってるだけなんだな?」

「はいそうッス! 新聞であなたを紹介したいだけの、ただの新聞記者ッス!」

「え? 新聞? 私新聞に載るのか?」

「そッスよ!」


 急にソワソワし始める凜々しい殿方。おや? おやおや?

 さては、おぬし、目立ちたがり屋か!


「ま、まぁ? べ、別にどうしてもと言うなら取材を受けても構わないんだが?」

「わかりやすっ! だが、それでいいっ! んじゃまオナシャスっ!」


 どいつもこいつも扱いやすいぜ全くよぅ!


 それじゃあ、今回もいってみよう!




 ――あなたのお名前は?


「イツキだ」


 ――ほう。ところで「髪が黒い」ですけど染めてます?


「ん? いや、これは地毛だが」


 これは珍しい。黒い髪なんてまるでお伽噺に出てくる『伝承の天使サマ』みたいッスねぇ。

 私も小さい頃に良く絵本を読んで聞かされた覚えがあるッスよ!

 やっぱ、才能が違う人間はこう、色々と持ってるんですかね? 髪の色もレアカラー引き当てちゃうとか。

 さて、こんなジャブの質問はとっとと流して、早速本題に入っていきましょう!


 ――それにしても格好良いですねイツキさん


「え? そ、そうか?」


 ――めっちゃ格好良いですよ。モテますよねぶっちゃけ?


「モ、モテる? ……いや、まぁ、確かにモテるっちゃモテるが……」


 でしょうね。クッソ格好良いですもんこの人。

 きりりとした表情にすらっとしたスタイル。超イケメン。更に、滴る汗が妙なエロス……あ、ごめんなさい。『色気』を漂わせて居ます。正直大好物です。そりゃモテるでしょう。

 こうなると、ねぇ? 気になっちゃいますよね?


 ――彼女とかいらっしゃるんですか?


「居る訳ないだろ!」


 居ないの!? これ、もしかして私ワンチャン!? メアリー・スー×イツキ、ワンチャン!?


 ――私にもワンチャンあります!?


「わんちゃん? 犬を飼っているのか? でも、何で急にそれを?」


 犬を飼っている?

 あ、わんちゃんじゃないです。ワンチャンスの方のワンチャンです。

 でも、何でだろう。急にソワソワしだしましたよ。


 ――もしかして、わんちゃんがお好きですか?


「ま、まぁ………………好きだけど」


 もじもじしながら、照れ臭そうに、元々少し運動後で染まっていた頬を更に赤くして、イツキさんはそっぽを向いて言いました。

 可愛いんですけど、この人。

 あれですか。犬とか可愛いのが好きなんだけど、可愛いの好きって言うのが照れ臭くて、でも嘘をつけないくらいに好きだから、誤魔化し気味に本音を吐露していると。何。イケメンの癖に萌え要素もあるとか。大好物なんですけど。

 よし。今の「ま、まぁ………………好きだけど」の部分はきちんと録音しといて、個人用に使う事としましょう。ん? 女性読者諸君、物欲しそうな目したって、あげないよ? 私用だから。

 ユディウ団長! それでも、メアリー・スーの一番はあなたですから!


 ごほん。では、インタビューに戻りましょう。


 ――好みのタイプは?


「一番好きなのはチワワかな」


 ――犬じゃなくて! 人です人!


 この人、目付き鋭くてクール系イケメンかと思いきや、天然です。可愛いんですけど。

 え、とか素の声を漏らしてあたふたしています。

 密かに映像を保管する私、有能。こりゃ女性読者入れ食いですわ。


「あ、えーと、すまん! あ、あの、うー……す、好きなタイプ?」


 うーんと唸ってイツキさんが考えています。


「……芯がある? って言うのか? こう、自分を持ってる! って感じの?」


 ――自分を持ってる芯のある人がタイプ、と。外見より中身で選ぶんですね。


「そうだな。そういえばあまり外見とかは気にしないな」


 ワンチャンなかった……私、自負する程のゲス野郎だった……。

 ひどいッスイツキさん! 期待させるだけ期待させといて!

 やっぱり私にはユディウ団長しかいない!

 そうと決まれば、もう色恋沙汰とか忘れて、別の質問へゴー!


 ――とてもお強いとお聞きしています。腕に自信は?


「当然ある。付術で私の右に出る奴は居ない」


 おお、大した自信家。まぁ、オーラありますもんね。なにげに私が意識を乗っ取ったこの身体、節々が痛いです。見ればあちこちに痣やら傷やらがあります。イツキさんは無傷。こっちはあちこち怪我してる。どうやらこのモブとの実力差は圧倒的なようです。


 ――趣味とかあります?


「趣味か……割とないな。稽古してるか、仕事に出るか、寝てるかくらいしか日頃してないしな……あれ、何か寂しい生活してないか私」


 ――大体そんなもんじゃないッスかね? ちなみに、私の趣味はスイーツの食べ歩きッス! ノトスでのオススメはぶっちぎりでツンゲにある『飴の家』のキャンディケーキ! あれ、絶品ッス!


「え、何だそれ。気になる。今度行ってみようかな」


 ――是非お試しあれ! スイーツとかお好きで? 好きな食べ物は?


「甘いのは好きだな。ハンバーグとかカレーとか、あとラーメン……色々好きなものはあるが、一番好きなのはオムライスだな」


 ――ほうほう。嫌いなものは?


「ゴーヤとかピーマン、苦いのが嫌いだ。コーヒーとかも無理だな」


 ――なるなる。子供っぽい味覚してますね。


「子供っぽいとか言うな」


 イツキさんがむすっとしました。やだ、可愛い。

 天然で子供っぽい、クールなイケメン。いいですね。需要有りそうですね。


 ――ではでは、グルメなお話ばかりになりましたが、そろそろ締めくくりましょう。


「そうか。割とどうでもいいことだけ聞くんだな」


 ――どうでもいいようで、割と需要はあるんですよ。最後に一発、格好良いポーズ決めて下さい!


「え? か、格好良いポーズ?」


 ――私、見た映像を絵にできるんですよ。イツキさんの格好良いところ、新聞に載せますんで!


「え!? 写真撮るのか!? いや、待て! 今汗だくだし! ちょっと待っていろ! シャワー浴びて着替えて……うん、正装してくるから!」


 ――そこまで気合い入れんでも良いッス!


「私が嫌なんだよ!」


 ――あー、もう面倒臭ぇパシャっと!


「あー! 今撮ったのか!? 待て! やめろ! それ使うな!」


 ――もう、天然の萌え路線で行くんで! 別に今のままでも十分イケメンだって分かるんで問題ないっしょ! むしろ、こっちのが貴重?


 イツキさんが掴み掛かってくる前に『ヴィ・ジョン・バ・ナーレ』を解除で緊急離脱!

 実はこの魔法、術を掛けたモブの受けるダメージ諸々が自分の精神に降りかかるので、殴られたりしたら意外と痛いのです! ごめんなさい、モブの人! 面白い記事の為の生け贄になってくれやがれ!

 想像以上に素早いイツキさんの平手が頬に接する前に何とか逃走が出来ました! やったね!


 そんなこんなで、売り込み用の記事は二本用意完了!

 宣伝効果の高そうな美男美女を捕まえたのもラッキー!


 これでどうッスかねぇ、親分!




   ----




 やっぱ、人はルックスですよ。

 二人の貴重なショットを見せただけで、ラアド社長食いつきましたよ。

 まぁ、実績知らない人が相手だったんで、結構適当な事聞いたんですけど、あの画像(私の目で見て作ったイラストをこう呼びます!)だけでもまぁ行けるっしょ!


 何はともあれ、社長からGOサインを貰えたので、いよいよ始まるッスよ~始まっちゃいますよ~!




 それでは、コズモス新聞社の命運を賭けた一大企画!


 『突撃! 話題のあの人!』……本格スタートッス!


 それではそれでは!


 次回のスポットパーソンに……『ヴィ・ジョン・バ・ナーレ』ッ!




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ