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エンジェル・フォール!≪番外編≫  作者: 五月蓬
突撃! 話題のあの人!
2/7

一人目:『彩色天使』 アキカさんのあんなことこんなこと!


 私がどうやってインタビューするに相応しい相手を探すか、気になりません?

 正直、テッラは噂で駆け巡るにはちと広いのです。

 

 そこで私の『ヴィ・ジョン・バ・ナーレ』の特性を活かします!


 前書き読んで知ってるかと思いますけども! この魔法は、取るに足らない世界の脇役の、『意識と視点』を乗っ取る魔法です!

 ではどうやって乗っ取ると思います? 質問ばかりでごめんなさいね♪ 最近一日一問クイズって記事も担当してるんで、ちょっとしたことでも問題口調になっちゃうんですよ!


 簡単に言いますと、『自分の意識』をスポーン! と飛ばして、何処かの誰かにドカーン! とぶつければ! その相手がショボイ脇役だった場合に、『意識と視点』を乗っ取ることができるってスンポーです!

 その射出距離は、試したことはないので分からないですけども!

 まぁ、軽く国を二つ三つは跨ぐくらいは飛ばせるんじゃないですかね?


 そこで問……おっと失礼。『脇役じゃないスポットの中心』を探すにはどうするか。


 簡単ですね。


 私の『ヴィ・ジョン・バ・ナーレ』をぶつけて、乗っ取れない相手は、大概すっごい人物だということです!


 まぁ、感覚的にぶつかっても無駄な相手は分かるので、その人物の傍にいる脇役にぶつかってけばいい訳です! どうです! この企画が、私ならではだということがよく分かったでしょう!




 ってなわけで!

 早速、乗っ取れない大物を、魔法大国アナトリにて発見しましたので!

 早速傍にいる脇役にぶつかって突撃インタビューのはじまりですよっ!





 ~~~ 脇役さんの意識にアクセスしています! なうろーでんぐ! ~~~





 意識が次第にはっきりとしてきた。

 意識を飛ばしている間(こう書くと気絶してるみたい)は、そこまで景色がはっきり見える訳ではない。なので、目を見開くまで、乗っ取り先の脇役の周囲の環境は分からない。だから、さっきアナトリって言ったのはこの後確認したことです。

 目を覚ますとそこはとある民家の中のようでした……


「グッドイブニング! ハ・ジ・メ・マ・シ・テ! 麗しきレディ!」


 どうやらこの脇役、ベッドで寝てやがったようです!

 意識を乗っ取って、記憶をずずっと読み込みます!

 その中から見つけた適当な挨拶を口ずさんでみたり。

 オーケー、接続状況バッチシです! 舌もよく回ってます!

 それにしても「ぐっどいぶにんぐ」? 不思議な挨拶を知ってますねー? 初耳な挨拶です!

 ベッドから身体を起こして、早速近くに感じたスポットパーソン(インタビューするに相応しい人の事をこう名付けさせていただきます!)を探します! 

 大分近くにいた気がしたので、すぐに見つかると思いますよー……って早速見つけました!


「に、に、兄様……!? 突然どうしたんですか……?」


 兄様? 兄? おっおー。成る程、彼女はこの脇役の妹という訳ですね!

 壁に張り付くようにして驚いてます! あー! 突然飛び起きてびっくりしたのかー!


「あーう、ごめんなさいッス! まま、落ち着いて! オナシャス!」

「え? え? え?」


 どうやら混乱している様子。

 そうそう。あくまでこれから行うのはインタビュー! そばに居る知人の記憶から情報を抜き出したり、事情を話さずに情報を聞き出すとか、そういうことは一切致しません! 清廉潔白な私が、このドクロのネックレスに誓って! ……ああ、本体に置いてきたんだった。

 つまりつまりは、こうして身体を乗っ取った後、事情説明は怠りませんよというスンポーなのです。


「びっくりしました? 実はッスね、今の私はあなたのお兄さんじゃないんッス! あなたのお兄さんの身体、ちょいとお借りしてるんスよー!」

「……敵の魔法!」

「わー! 違います違いますって!」


 突如呪文を唱え出す妹さんに流石の私もびっくりしました。

 対応が早いこと早いこと……随分と出来る魔導士さんのようです。

 

「実はかくかくしかじか……」

「……え? 新聞に乗せる為のインタビューがしたい?」


 話が早くて助かる! ……って実は交渉はもっと長かったんですけど、当然そこはカットカット! スペースが足りないですから!

 事情説明の下りはまあ、置いといて、意図は伝わったようですが妹さんはどうにも乗り気じゃないようです!


「……うーん。お力にはなりたいですけど……私はそんなに大した事は話せませんよ? あと早く兄様から出てって下さい」

「えー! そんなぁー! 大丈夫ッスよ! 私はきちんと自信を持ってあなたにインタビューしたいと言ってるんッスからぁ!」

「いいから早く兄様から出てって下さい」


 乗り気じゃない。むしろ怒っている。目が怖い。

 ひぃ~、ガクブル。まぁ、攻撃されても私は痛くも痒くもないんですけどね♪

 

 しかし、これは依頼を通すのは難しそうです。何やらこの妹さん、不機嫌です!


 だがだがまぁまぁしっかししっかし!

 

 ここで引く私ではありません! 

 どんな手を使ってでもネタを仕入れる!

 それが最優良記者メアリー・スー!


「ちょいちょい怒らないで欲しいッスよぉ~姉御ぉ~! お願いッス! 命懸けなんッスよ! 明日のご飯が掛かってるんッス! もう、お腹ペコペコで……」


 これがメアリー・スー流! 泣き落とし作戦!

 本当にむせび泣きながらやるのがポイントです!

 時には恥すら捨てる! それが最優良記者! というか、恥かくのは器にしてるお兄さんなんスけどね!

 あと、お腹ペコペコなのは本当ですよ? まぁ、晩ご飯前ですし?


「……うぅ」


 ちょっぴりばつが悪そうな顔! バッチ効いてます!

 後一押しで落とせそうです!


「ま、まぁ……ちょっとくらいならいいですけど。終わったら出てって下さいよ?」

「やたー! そりゃもうちょっとッスよ! 些細な事でいいんッス!」 


 こうして、私は大物(どう大物なのかは分からないけど)のインタビューを取り付けたのである!


 それじゃあ早速言ってみよう!


 ――あなたのお名前は?


「アンジュアキカです」


 へへぇ、変わったお名前ッスねぇ。まるで、他所ぞの世界から来た伝承の天使みたいッス。

 そう思ってみれば黒い髪とか、美人さんとか、かなり似てるような……まぁ、気のせいッスよね。


 ――ご出身は?


「えーっと、少し説明し辛いんですが……実は『天使の伝承・召喚の儀』というものでこちらのテッラに喚び出されて……違う世界? から来ました」


 マジッスか。マジモンの天使さんッスか。

 いきなり結構ヤバイ人物引き当てちゃったんじゃないッスか私。

 喜ぶべき事なのか、焦るべき事なのか。

 いや、まぁ、渡り駆けた橋は全力で駆け抜ける私、メアリー・スー。取材続行ッス!


 ――好きなもの、嫌いなものがあれば教えて下さい


「好きなものは兄様、嫌いなものは特にありません」


 ――兄様? お兄さんがいらっしゃる?


「はい。というかあなたが今身体を乗っ取っているのがそうなんですけど……」


 ――いやいや記事に掲載するインタビュー部分なので改めて聞いてるだけッスよ。

 ――ところで、お兄さんがお好き、と? 仲良しなんですね?


「はい! と言いたいところですけど、最近少し避けられ気味ですね……」


 ――避けられ気味? どうしてまた? こんな美人さんを避けるとは。


「お世辞は結構です。まぁ、兄様も妹とベタベタしているような年じゃないという事ですかね。分かってはいるんですが、少し寂しいです」


 ――お年頃の坊やはそういうの気にしますからね。でも、そういうのって時が経つにつれて改善するものですよ。


「そ、そうですか? ならいいんですけど」


 ――まぁ、私、兄弟とかいないんで分かんないんですけどね。


「おい」


 ――はてさて、お兄さんが好きなアキカさん。あなたにとってお兄さんとは?


「一言で言うならかけがえのない大事な人です。語ろうと思えば幾らでも話せますけどね」


 ――語って貰っても結構なんスけどね。


「……一応、新聞とかになるんですよね? 歯止めがきかなくなって後で見返すと恥ずかしい事になりかねないので……」


 ――そこまで愛は深い、と。


「はい。兄様は私にとって、普通であり、特別な人なんです」


 ――普通であり、特別、と。何やら意味深な言葉ですね。


「いえ。そのままの意味ですよ」


 ――ふむふむ。成る程。まぁ、取り敢えずお兄さんの話はこれくらいに。最後に、読者の皆様に向けて何か一言! ついでに私の瞳にピースで笑顔をひとつ!


「兄様共々宜しくお願いします」


 ――はい、良い笑顔! 私の瞳を通して捉えた映像は、後でそっくりそのまま絵にできますので、新聞に絵を掲載させて頂きます。よろしいですか?


「え、写真乗るんですか?」


 ――写真? それはそっちの世界の絵の事ですかね? 気になりますが、正直私も切羽詰まってまして。アキカさんの素敵な笑顔を掲載しないと商売にならないといいますか。悪いようには書きませんので、どうかお許しを。


「うーん……まぁ、いいですよ。別に減るものじゃありませんし」


 ――ありがとうございます! それでは……はい、ピース!


「はい!」


 ――グッドスマイル! それじゃあ、インタビューはこのくらいで。


「あれ、もういいんですか?」


 アキカさんが気にされている通り、正直インタビュー記事としては内容が薄いですね。

 正直なところ、もっと色々伺いたかったのですが、この世界に来てから間もないのであれば仕方が無い。聞ける事なんて殆どないし、向こうの世界の事を聞いてもただの不思議系な内容になってしまうでしょう。


「はいはい結構です。あなたに話を伺えたというのが大きいので。まぁ、今後に期待してるますよ。伝承の天使サマ」


 これは先取りです。

 恐らく、いや確実に、このアキカさん、伝承の天使はテッラに騒ぎを引き起こすでしょう。

 そうなったとき、この記事の価値はググンと上がるのです。

 先を見据える最優良記者、それが私、メアリー・スー!



 以上、今回のスポットパーソンは……

 『糞ブラコン天使』……じゃなくて、『彩色天使』のアンジュアキカさんでした!




 次回はもうちょっと内容のあるインタビューにするッスよ!


 それでは次回のスポットパーソンに……『ヴィ・ジョン・バ・ナーレ』!




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