前書き: 『最優良記者』 メアリー・スーがお送りします!
球界テッラに構えるぱっと冴えない新聞社、その名も『コズモス新聞社』!
発行する新聞は、その度売れても十数部!
どうしてここまで生き残って来れたのかが不思議なくらいの新聞社です!
……まぁ、ちょっぴりダーティな情報屋業でちまちま稼いでいるという事実はオフレコで。
何はともあれ、この記事を作ることになったキッカケは、そんな傾いちゃってる新聞社を建て直す起爆剤が欲しかったからという訳です!
はてさて、こうして何処にあるかも分からないような、弱小新聞社について書いている私は果たして誰か!
気になります? 気になりますよね!
そう、こんなスバラシイ企画を思いついてしまったこの私こそが!
この弱小新聞社の最強エース!
『最優良記者』の『メアリー・スー』、なのであります!
どうして優秀な私がこんな企画を思いついたのか?
その経緯を、この前書きにて書いちゃおう! そんでもって私、メアリー・スーがどれだけ優秀な新聞記者であるかを知らしめて! 大手新聞社に引き抜いて貰おうという魂胆……げふんげふん。
嘘ですよ、親分ー? だからクビだけはご勘弁!
「親分、親分! 私、超いい企画を思いついちゃったんスよー!」
いつでもひらめきは突然な、私が親分、ことラアド社長に、いつも通りのグッドでナイスな企画を提案しに行きました!
ラアド社長は弱小新聞社の社長の分際で生意気にもちょっぴりデブった……げふんげふん。ちょっとふくよかで器の大きそうな、おじさまです!
「……なんだ、スー。言っとくが、『テッラ一周グルメ旅行!』の企画は却下だからな。お前の私欲を満たす為に経費は出せん」
「もうソレは諦めたじゃないスかー! でも、次の企画が成功したら是非是非それもご一考お願いシャッス!」
いつも溜め息ばかりのオッサン……おほん。おじさまで、部下としてはすっごく嫌な気持ちになっちゃいますが、こう見えて中々に部下思いの上司なんです!
とある女性との密会映像を一回パシャッただけで、週一度はご飯を奢ってくれますしー! あ、これオフレコ? サーセンっした、親分! とある女性ってのは、新聞を継続的に取ってくれてる常連さんですよ! 浮気とかじゃないですから奥様!
そんな最優良記者であるメアリー・スーの絶妙すぎる上司のプライベートトラブルへのフォローもぶちかましつつ、私はとにかくすっげぇ企画を思いついちゃったという話に戻しますよ!
「じゃあなんだ……あまり経費の掛からない企画なら考えるぞ」
「経費はそこまで掛からないと思うんスよー! ま、『私のスペシャルな魔法』があれば出来る範囲の事ッス!」
「……お前のことだ、スー。何か裏があるんだろう?」
「…………んな訳ないじゃないッスかー!」
「なんだその間は」
私は純真無垢で清廉潔白が売りの超優良新聞記者!
腹の底に何かを隠している筈がないじゃないですか!
「と、っととととにかくとにかくっ! 超良い企画ッスから! ほら! コレに目を通して下さい! オナシャス!」
私が作ったスペシャルな企画書を手渡すと、渋々普段も十分細い目を更に細めて親分は読み始めました! こうなればもうこっちのモノ! GOサインは頂きッス!
「……『突撃! 話題のあの人!』」
僅かに親分のうっすい眉が動いたのを私は見逃しませんでした!
「……やれるのか?」
「モチのロン、バッチグーッスよ! アポとかは私の方で何とかできるッス! ……と言っても、実際問題、出来るかどうかの証明にはなってないと思ったんで……!」
そう、ここが最優良記者、できる人間の違いなのです!
行動は常に一手先を読んで!
私はもう、ズバッと記事を叩き付けてやったんですよ!
「まずは二人! 有能な私は早速! インタビューぶちかましてきたッス!」
それなりの大物を二人ばっかしとっ捕まえて、できる記者を証明する先行インタビュー!
コレさえ見せれば、私ができるってことが十分親分にも伝わるという判断です!
インタビュー記事に目を通した親分の、目の色が変わったのを、観察眼に優れた最優良記者である私は決して見逃すことなどなかったのです!
「………………何が欲しい?」
「……話が早くて助かるッス♪」
ここから先は読者の皆様にはアフレコッス♪
そんな経緯で、すっぱりさっぱりあっさりと! 企画を通した最優良記者であるこの私!
こうしてコズモス新聞社の命運をかけた超ビッグ企画がスタートしたのです!
……あ、そう言えば、肝心の企画内容を告知していなかったッスね! 最優良記者ながら、こうしたちょっぴりうっかりした人間アピールがある私、なかなかにお茶目でイケてないッスか?
恋人絶賛募集中ッス!
連絡先は……、ってそろそろページが足りなくなってきたッス!
そんじゃま、この企画についてご紹介っ!
球界テッラ!
夢と魔法のまあるい世界!
そこには不思議で素敵な人々が住んでいる!
そこでそこで! そんな素敵な人の中から選りすぐりの人々をご紹介!
みんなが知ってる有名人から、割と知られてないけどものすっごいあの人まで!
この最優良記者メアリー・スーが、普段聞けないあんな事やこんな事やムフフな事まで聞いてあげちゃう!
おっと、でもでもその前に。
私が最優良記者だって事はもう話の流れで十分分かったかと思うけど。
お前誰だよ! って人も少しくらいはいるんじゃない?
そこで長いお付き合いになる皆様に、ちょっぴり私も自己紹介!
好きなものは砂糖水と食べ物全般、あとは美男美女!
嫌いなものは退屈と労働!
座右の銘は「毒だろうと皿だろうと男だろうと女だろうと食う」!
最近の趣味は演劇鑑賞で、ハマってる役者はユディウ劇団のユディウ団長!
チャームポイントは、毒沼みたいと罵られた紫色のなみなみヘアーと、夜更かしの毎日で出来た目の下のクマ、父から貰ったお気に入りのクッソおどろおどろしいドクロのネックレス、そして母から貰ったお気に入りの目玉をモチーフにしたクッソ気色悪いヘアピンです!
そして、私だけの特別な魔法!
それが、『ヴィ・ジョン・バ・ナーレ』!
この世界に住まう有象無象、今回のインタビュー対象には到底なれないスポットの当たらない脇役達!
彼ら彼女らの『意識と視点』を乗っ取る、私だけのスペシャルマジック!
これであちらこちらの人々に近付いて、インタビューをしちゃいます!
覚えましたか? インタビュー開始の魔法の名前!
それでは張り切って参りましょ-!
ご唱和下さい!
「『ヴィ・ジョン・バ・ナーレ』ッ!」