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第8話 物件を探そう

「さて、クッキーを食べましたし、不動産屋さんに行きましょう!」


 ショコラが張りきったような口調で楽しそうに言う。


 彼女は料理教室のドアに手をかけた。


「ところでショコラさん」


 蓮と萌が同時に彼女を呼ぶ。


「ハイ? 2人とも、どうしました?」


 彼女は彼らに問いかける。


「ここから出る前に使った食器を片付けましょう」


「ハーイ……。蓮さんからは……」


 彼女は萌に言われるがままにスポンジに洗剤をつけ、食器を片付け始める。


「ベルディにも不動産屋さんがあるんですか?」


 蓮が彼女に問いかける。


「ハイ。不動産屋さんはこの地区にもいくつか存在します。私の友人が不動産屋さんをやっているので、そこを紹介します!」


「本当ですか?」


「ありがとうございます!」


 彼らは食器を片付けながら彼女に嬉々とした表情を見せる。


「ここだけの話ですが、他の案内人は不動産屋さんとかの紹介をしないことが多いのです。ただ単にベルディ内をぐるっと一周して終わりというのがほとんどなんです」


「大ざっぱな説明で泊まる場所も物件とかを紹介する不動産屋さんも教えてくれない……」


「よって、私達は当たりということですか?」


「萌さん、正解です! ここにはじめてきた人にきめ細かなサービスを提供するのが私の役目です!」


「頼もしいですね」


「えっへん! さて、片付けが終わりましたので、今度こそ、不動産屋さんに行きましょう!」


「おう!」


「ハーイ!」


 彼女らは料理教室を出、およそ5分程度、軽ワゴン車を走らせる。すると、『土地を売買、お店などを建てるならここで!』という小さな立て看板が見え、洋風な建物がそびえ立っている。


「ここですか?」


「ハイ。駐車場がないので、適当に止めてください」


「了解です」


 軽ワゴン車はすぐに出やすいように止め、3人は不動産屋さんに入る。


「いらっしゃいませー。あっ、ショコラじゃーん!」


「チョコ! 久しぶり! 会いたかった!」


 ショコラとチョコは会う期間が空いていたせいかとても嬉しそうである。


「こちらの人達は?」


 チョコが2人をチラッと見る。


「私が案内してる人達だよ! 如月(きさらぎ) (れん)さんと(もえ)さん」


「はじめまして、蓮と萌。私はチョコだよ! ようこそベルディへ!」


「歓迎ありがとうございます!」


「いえいえ! 早速本題なんだけど、お店を始めるの?」


「ハイ。妹と一緒に洋菓子店を始めようと思いまして……」


「ん? ヨウガシ? 何それ?」


 チョコも『洋菓子』を知らない。1番最初にショコラが言ったようにきょとんとしている。


「甘くて、美味しい食べ物だよ!」


 すかさずショコラが説明する。


「へぇー……」


「チョコさんにとっては不思議な味かもしれませんが……」


「開店しましたら是非食べてみてくださいね」


「食べてみたいな! 楽しみに待ってるね! で、要望は?」


「えーっと……。パン屋さんは分かりますか?」


「分かるよ」


「作業スペースというか厨房が確保してあって、ショーケースを置きたいと思ってます。あと、店舗兼自宅」


「喫食スペースもほしいです」


「なるほど。1階がヨウガシテンで2階が自宅ね。パン屋さんなら電化製品が必要だけど、そっちはそれ必要? あと、喫食スペースも」


「ハイ。オーブンと電子レンジ、冷蔵庫、エアコン、自宅も兼ねますので、生活に必要な家電製品がほしいですね」


「喫食スペースはその場で食べたいという人のためにほしいのです」


「さすが萌だな」


「んー……。この条件に合う物件はあるかな……」


 チョコは少し表情をくもらせながらパソコンで調べ始める。


「……ある……?」


 ショコラがチョコに訊く。


「もうちょい……あっ……!」


「あっ?」


 チョコのマウスを動かす手が止まった。


「あったぁ!」


「本当?」


「うん!」


「どんな物件ですか?」


 萌がチョコに問いかける。


「なんかフランス風感じだけど、ほら! 店舗兼自宅だし、生活に困らない電化製品も揃ってるよ!」


 彼女がマウスをクリックして画像とともに説明する。


「その物件はどこですか?」


 今度は蓮が彼女に問いかける。


「場所はこの不動産屋からショコラのホテルの中間のところだね。今から行ってみる?」


「ハイ」


「是非!」


「では行ってみましょう!」


 彼らは軽ワゴン車に乗り込み、その物件へ向かった。


「ここだよ!」


「ありがとうございます!」


「わぁー! 凄い! きれい! 可愛い!」


「調理場も広いし、2階も生活しやすそうだ」


 蓮達は大喜びしている。


「電化製品のメンテナンスは4ヶ月に1回だからね。1回の料金は金貨2枚。気に入ったかな?」


「ハイ! 解体するのがもったいないくらい気に入りました!」


「凄くきれいで可愛いし、気に入っています!」


「なら工事は必要ないね」


「ハイ!」


 2人は大満足したようだ。


「物件の料金は金貨30枚で、収入が入ったあとでいいよ」


「えっ!? 本当にいいの?」


「いいの。ショコラが案内してる人達なんだから」


「ありがとうございます!」


 こうして、蓮達はスムーズに洋菓子店を始める拠点を手に入れた。



2015/03/11 本投稿

2015/03/12 タイトル変更

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