第7話 ここでお店を始めてヨウガシ革命を起こしませんか?
蓮達はココアを飲みながら先ほど作ったクッキーを食べている。
「ヨウガシ革命だなんて……」
「ショコラさんは何気に面白いことを言いますよね」
蓮は大爆笑しながら、萌は微笑みながらショコラに言う。
「もう、蓮さんったら!」
ショコラが頬を膨れながらココアが入ったマグカップに手を伸ばし、1口飲む。
「私はさっきまで、ヨウガシの意味とヨウガシの美味しさや作る楽しさ、大変さを知りませんでした」
さっきの膨れ面から一変し、どこか複雑な表情を浮かべながら彼女は言った。
「確かに洋菓子という言葉もはじめて聞いたと言っていましたしね……」
「僕も最初は驚きました」
彼らも何か感じたらしく、複雑な表情をしている。
「なので、私は考えました!」
「えっ!?」
「何を!?」
ショコラは首を傾げている蓮達に視線を合わせ、
「ここはヨウガシみたいなものは存在しませんので、私以外の住人は全く分からないでしょう。蓮さん達がここでお店を始めてくれたら、ベルディの人々に愛されるんじゃないのかなと私は思うのです!」
きっぱりと彼女は自分の考えを言い切った。
「それが『ヨウガシ革命』ですか!?」
目を大きく見開いて驚く2人。
「ハイ! 昨日も言いましたが、ここベルディでお店を始めませんか?」
彼女は再度2人に問いかける。すると萌の表情がくもった。
「ちょっと……」
「なぁ、萌、せっかくだからここで洋菓子店を始めちゃってもいいんじゃないのか?」
「でも……」
「最初は上手くいかないかもしれない。むしろ、上手くいかない。でもやってみる価値はあるんじゃないのか?」
蓮が萌に言い聞かせるように2回問いかけ、彼女は否定的な答えを返す。
「そうですよ! 蓮さんもそう言っています。どんな結果であれともやってみましょうよ」
ショコラが萌の近くにきて、彼女の肩をポンと手を置きながら言った。
「ハ、ハイ!」
2人に促され、萌がようやく肯定的な答えを出した。
「よし! ベルディで洋菓子店を始めちゃおう!」
「そして、『ヨウガシ革命』を起こしちゃおう!」
「一致団結ですね! 『ヨウガシ革命』を起こして住民の心をつかみましょう!!」
彼らの意見は一致し、ベルディで洋菓子店を始めることを決意した蓮達。
ここベルディで異世界人の心をつかむことができるのだろうか。
2015/03/10 本投稿
2015/03/10 改稿