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第44話 楽しい(?)調理実習 その6

 ココアは最後にシュークリームの材料がすべて揃っているかどうか確認していた。


「ようやくシュークリームの準備が終わったー……」


「ココアさん、お疲れ様ー」


 彼女が疲れたような表情をしている時、蓮がココアを労っている模様。

 彼はふと時計を見ると、マドレーヌの生地を冷蔵庫に入れてから30分経っていることに気がついた。


「蓮さん、マドレーヌの生地を出しましたよ!」


「ありがとう!」


 先ほどまで萌と一緒に後片付けをしていたミルクがその生地を冷蔵庫から取り出してくれていた。

 一方の彼女はマドレーヌの型やアルミホイルなどを準備している。


「あとは生地を入れて焼くだけだねー」


「そうですね」


「ハイ」


 蓮はしみじみとしながら、萌を見ていたら、「お兄ちゃん?」と声をかけられた。


「型の準備ができたよ」


「ごめん、ありがとうね。じゃあ、マドレーヌを仕上げていくよ!」


『ハーイ!』


 彼らは彼女が準備してくれたアルミホイルや型に冷蔵庫に入れて休ませておいた生地をスプーンで流し入れる。


「みんな、生地は型の()()()までだからね! 多すぎても少なすぎてもダメだからね!」


「なんで多すぎても少なすぎてもダメなんですか?」


 ミルクが蓮に問いかけた。

 彼はスプーンを差し棒とし、未使用の型をサンプルとして説明を始めようとする。


「それはね、生地が多すぎると型からはみ出すし、見栄えが悪くなるよ」


「逆に生地が少なすぎるとあまり膨らまなくなります」


『そのため、生地は()()()()()()()()()()()()()()()んだよ!(のです!)』


「なるほど! ありがとうございます!」


「兄弟の息がぴったり! さすがです!」


 彼らの説明を聞いて納得するミルク。

 その隣でココアは蓮達の息の合う最後の一言に感動していた。


「なぁ、萌ちゃん。このくらいだと多すぎるか?」


 木龍は真剣に八分目になるように型を流し入れ、近くにいた萌に問いかける。

 彼女は水平に入っているかどうかを確認し、「ちょうどいいですね!」と答えその型を彼に手渡した。


 少しずつ生地が入っていく型やアルミホイル。

 入れ終わったものは濡れた布巾(ふきん)を敷いた台の上に型ごと2、3回落として生地の空気を抜く。


「全部入れ終わったかな? 空気も抜いたかな?」


「全部終わってます!」


「空気も抜いてあるから焼いても大丈夫だよ!」


「オーブンは事前に予熱しておいたから、焼いていこう」


『ハーイ』


 生地が入った方をバットに乗せ180℃に熱しておいたオーブンに入れた。

 マドレーヌが焼き終わるまでに萌以外は手分けして後片付けをする。


 約10分くらい経過した時、彼女から「焼き上がりましたよ!」と声がかかったため、連達は萌のところに駆けつけた。


「きれいに焼けてる!」


「型から外してないのに美味しそう……」


 ココアとミルクは焼き上がったマドレーヌを見て涎を垂らしそうにしている。


「これから型抜きをします。生地は熱くなっていますので、気をつけてくださいね!」


 全員で時間をかけて焼きたてのマドレーヌを型から外し、皿に盛りつけ仕上げていった。


『マドレーヌ、完成!』


 彼らは声を揃えて、マドレーヌの完成を祝しているが、まだシュークリームはまだ作っていない。


 楽しい(?)調理実習はまだまだ続く――――。

2017/12/31 本投稿

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