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第33話 1から教えることの難しさ

 ミルクとココアは蓮と萌に言われたことをメモを取り、ペンを置いた。


「書き終わりました」


「同じく、書き終わりました」


 彼女らは彼から「今日はここまでだから、着替えてきてもいいよ」と言われたため、2人はロッカールームという名の客間で着替えを終え、店の入口にいる。


「2人とも、お疲れ様」


「今日は家に帰ったらゆっくり休んでくださいね」


『ハイ! お疲れ様でした!』


 蓮達に見送られ、ミルクとココアはそれぞれ家路についた。



 *



 彼女らが家路についたあと、彼らは店の後片付けをしている。


「お兄ちゃん。今日1日、いろいろあったけど、なんとか終わったね」


 萌は喫食スペースのテーブルを1つずつきれいに拭いている。


「ねー。ところで、人に1から物事を教えるということは難しいよね」


 蓮はレジに立ち、ミルク達がぐしゃぐしゃにしまっていた金貨や銀貨の仕分けをしていた。


「そうだね……。今まで私達はお父さんとお母さんの仕事をしているところを見て育ってきたけど、ミルクさん達は1からだったもんね……」


 彼女はすべてのテーブルを拭き終え、商品が置いていないショーケースの前に立つ。


「確かに、ベルディには洋菓子店はここしかないし、興味が沸くのは分かるよ。もしかしたら、接客の仕事に挑戦してみたいという気持ちがあったんじゃないのかなと僕は思うんだけど?」


「そうだと思うけど……。でも、よりによって、まだ開店して間もないところを選んだのはなんなんだろうね?」


「うーん。それは僕にも分からないな……」


「だよね。でも、職場体験(インターンシップ)の限られた時間で1からすべてを教えることは難しいけど、私達はできる範囲であの子達に教えることしかできないよね」


 ミルク達の職場体験の期間は約2週間と彼らは聞いていたが、その期間は1週間のところや1ヶ月などと学校によって様々。


 よって、1からすべてを教えるには時間が足りない。

 今の彼らにとってはどのように教えていけばよいか分からず、手探り状態なのだ。


「せっかくだから、楽しく学んでから学校に戻ってほしいと僕は思うよ」


「うん。それは私も望んでいるよ」


「明日は臨時休業にしよう。2人に「洋菓子を作る楽しさ」を僕は教えたい」


「臨時休業!? それっていくらなんでも急すぎるよ!」


「お店の看板にデカデカと貼り紙をしておけば大丈夫なはず! 明日は臨時の特別授業だ!」


「お兄ちゃんがそれをやりたいならそれでもいいけど……」


 蓮が企てている「臨時の特別授業」とは一体全体どのようなものなのだろうか……?

2016/10/23 本投稿

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