第31話 人のいいところを参考にする?
辺りが暗くなり、客足が途絶えた時点で本日は閉店した。
「もうそろそろ閉めようか……」
「そうだね」
蓮と萌が窓の外を見てそう言うと、ミルクとココアが先ほどの営業スマイルから緊張した面持ちに変化する。
「ココアさん、ミルクさん、今日はお疲れ様」
「お疲れ様でした」
『お疲れ様です!』
「先ほど、萌さんが言ってた「反省会」というものをやるんですか?」
ココアが萌に問いかける。
彼女は1度頷き、「そうですよ」と答えた。
「まぁ、2人は接客がはじめてだったみたいだからいろいろと大変だったよね?」
「いろいろなタイプのお客様がきたので、いろいろな接客パターンを考える必要があるということ改めて知ることができました」
蓮が彼女らに訊く。
ミルクはコクンと頷き、ココアがその日に感じたことを述べ、萌は彼女の言葉に驚いているようだ。
「そうだね。いろいろなお客様がいるから、その分、臨機応変に対応しなければならないし、一筋縄ではうまく行かないよね」
『ハイ』
「実は僕達が元いたところも両親が洋菓子店を営んでいたんだ」
「蓮さん達はヨウガシ屋さんの息子と娘なんですね? だから、接客が上手なのかぁ……」
ミルクがしゅんとした表情を浮かべる。
萌が「最初は誰もうまく行きませんよ」と彼女の肩をポンと叩いた。
そして、萌はこう続ける。
「私は実際に学校に行きながら、、家業を手伝っていましたので、そこでいろいろと教わったからこそ、いろいろと成長できましたからね……」
「うん。僕も同じ感じだったからね。よく分かるよ」
「私達はお父さんとお母さんの働いている姿を見て成長できたと思います。ミルクさん達も実際にやっているかもしれませんが、真似と言ったら変かもしれませんが、人のよいところを参考にすることもいいでしょう」
萌が彼女らに提案してみたが、2人は「他の人のいいところ?」と首を傾げている。
「人にはいいところがあれば悪いところもある。ミルクさんにもココアさんにもいいところはあるよ。お互いのいいところをこっそり真似するんだ」
「私達だったら、私達の両親というところですね」
そのたとえを聞いて、彼女らはピンとしたようだ。
「例えば、Aくんがある必殺技ができてBくんが一所懸命練習してもできないとして……」
「BくんがAくんの参考にできるものを拾うことですか?」
ココアとミルクが繋ぐように彼らに問いかける。
「えぇ」
「おかしなたとえだけど、それに近いね」
彼らはそのように答えると、蓮が「さて、今度は本題の反省会だよ。みんな、厨房へ移動ね」と彼女らに告げた。
2016/07/23 本投稿




