第23話 接客初心者がそれをやってもらったらこうなった(ミルク編)
【作者より】
前回と今回はココアとミルクの模擬体験をしています。
ちなみに、今回はミルクです。
ミルクがレジに向かったあと、
「ミルクさん、さっき、なんか言ったかな?」
と蓮が彼女に訊いてみる。
「い、いや、なんでもないです。頑張ります!」
レジからミルクの声が響いてきた。
「心の準備はできたかな? じゃあ、始めるよ」
「ハイ、お願いします!」
蓮は1度頷くと、店の外へ出て行く。
一方のミルクは深呼吸をしたり、無駄に身体を動かし、緊張をほぐしていった。
*
カランカラン……と再びお店のドアが開き、蓮が店内に入る。
「いらっしゃいませ! 私の敵であるゴブリンさん!」
突然、ミルクがそのような言葉を発した。
「こ、こんにちは……」
蓮は一瞬ビクッとしていたが、ここでダメ出ししてはいけないと思い、首をぶんぶんと横に振る。
「何か気になるものはありますか? 購入しますか?」
「ハイ、買いますよ。えーっと、チーズケーキ1つとブラウニーを3つください」
ミルクは蓮に問いかけると、彼はチーズケーキとブラウニーを注文した。
「分かりました! 少し時間がかかりそうなので、お会計をさせていただきますね。えーっと……チーズケーキ1つで銀貨1枚と銅貨5枚、ブラウニー1つで銀貨2枚だから……」
ミルクはレジを打ちながら、計算していく。
「全部で銀貨7枚と銅貨5枚です」
「すみません。僕は銅貨を持っていませんので、これで」
ミルクが計算し終わった時に、蓮は財布から銀貨8枚を準備していた。
「分かりました。銀貨8枚なので、銅貨5枚のお釣りですね」
彼女は彼から銀貨を受け取り、レジを打ち、所定の金貨入れに銀貨と銅貨を入れ、レシートを切り、彼に手渡す。
「少しお待ちください」
ミルクが言うと、ココアが使っていた箱より少し大きめの箱に保冷剤の入ったものに、チーズケーキとブラウニーを丁寧に入れる。
手提げ袋にその箱を入れると、フォークを4本添え、蓮に手渡した。
「お待たせしました」
「ありがとうございます」
蓮はその袋を受け取ると、
「ありがとうございました! またの機会にお会いしましょう」
とミルクはどこから出したのか聖剣と彼に突きつける。
蓮は怯えながら、店をあとにした。
ココアは危険要素が多々あったが、なんとか商品を売った。
*
「2人とも、お疲れさま」
蓮が店内に戻ってきた。
『お疲れさまです!』
試験の緊張感から解き放たれたかのようにホッとした表情をした2人。
「はじめての接客はどうでしたか?」
萌は彼女らに問いかける。
「一応、レストランで仕事をしているようなイメージでやってみたんですが、凄く緊張しました」
「いろいろなことをしなければならないので、接客って大変ですね……。今から、ダメ出しされるのが怖いです……」
ココアとミルクはそれぞれの感想を2人に述べる。
「そうだよね……。はじめてだから頭が混乱する中でいろいろな作業をしなきゃならないからね」
蓮達はうんうんと頷く。
「では、2人のダメ出しに入るとしますか!」
萌が彼女らのいいところとダメなところを書き記したメモ帳を手に高々と上に向かって突き上げるのであった。
次回は蓮と萌からの厳しい(?)ダメ出しです。
彼女らはどんなことを言われるのでしょうか……。
2015/10/23 本投稿
2016/05/01 前書き欄修正




