第17話 ついに開店!
蓮達の店である『異世界洋菓子店フェアリー in ベルディ』の開店時間が刻々と迫ってきている。
店の外にはたくさんのお客様が店の入口に集っており、開店することを待っていた。
「まだ、開かないかな?」
「お店の中は見られないのかな?」
「何があるんかな?」
「ねぇねぇ、早く食べたいよ」
などと言いながら、店内を覗こうと飛び跳ねようとする者や商品がどのようなものがあるのかを想像する者……。
なぜならば、この店の前にきている者はみな、『洋菓子』を知らないのだから……。
その時にその謎がたくさんありそうな店内から2人の店員らしき男女が姿を現れた。
蓮と萌の2人である。
「みなさま、おはようございます! 先日は『異世界洋菓子店フェアリー in ベルディ』のプレオープンにきていただきありがとうございます!」
「みなさまのおかげで、この店は本日より正式なスタートを迎えることができました!」
「僕達はここベルディにきて、まだ日数が経っていませんが、今日のために頑張って準備を進め、プレオープンを経て、ここまできました!」
「私達はベルディに愛されるお店を目指していますので、今日からよろしくお願いします!」
と突然の彼らの挨拶をしてきたため、お客様は驚いていたが、萌の『よろしくお願いします!』でお客様は拍手をし始めた
「では、開店です!」
「順番にお入りくださーい!」
彼らを先頭にぞろぞろとお客様が入っていく。
「わぁーっ……可愛い」
「ねぇねぇ、食べるところもあるよ!」
「美味しそう……」
「これが噂で訊いていた『ヨウガシ』かぁ……」
とお客様が口々に感嘆の言葉をいう中で、1人の老人男性が、
「ところで、お兄さん? この店で人気がある『ヨウガシ』というものはなんだい?」
と蓮に問いかけた。
「当店の人気商品はこちらのシュークリームです!」
蓮は萌が今、箱に入れているシュークリームを指差すと、萌は蓮がシュークリームを指差した時に「お兄ちゃん、どうしたの?」と言い出しそうな顔をしていた。
「ふむ。面白い形だな……。ワシもその、『シューなんとか』を5ついただこうかね……」
「『シュークリーム』ですね? ありがとうございます!」
蓮はシュークリームを箱に詰め始めるとその老人が、
「あぁ、『シュークリーム』だ。えっと、1個が銀貨2枚だから、5個で金貨1枚だな」
「正解です」
金貨の計算をしていた。
彼が計算している間に箱詰めを終え、その老人に手渡した。
「ありがとうな」
「またのご来店お待ちしております!」
それから、お客様がひっきりなしにくる中、在庫の補充をしながらの接客となった。
それでも、お客様は『ヨウガシ』を見て笑顔になっていることを見た蓮達は住んでいる世界が違っても、思いは同じなんだと感じていた。
店内が賑わっている時、入口に見覚えがあるミルクとココアが顔を出そうとしたが、店内に入らなかった。
あれから、数時間後。
「ありがとうございました!」
蓮達は本日最後の商品とお客様を見送った後、ミルクとココアがようやく店内に入ってきた。
『いらっしゃいませー』
2人が出迎えると、
「こ、こんばんは」
「1回店の前まできたのですが、忙しそうでしたので……」
「いや、いいんだ。僕は、僕達は君達に伝えたいことがあってね」
「あの、職場体験のことですか?」
「そう。君達もさっきの状態を見て感じたと思うけど、この仕事は大変だということが分かる。君達も接客をしながら『洋菓子』を売りながら大変さとこの仕事の楽しさを知ってほしいんだ」
「も、もしかして……」
「承諾してくれるんですか?」
「ハイ。もちろんですよ!」
『ありがとうございます!』
「これから大変だけどよろしくお願いしますね」
「さて、早速だけど明日からはどうかな?」
『ハイ! もちろんです! よろしくお願いします!』
こうして、開店初日は無事に終え、ミルクとココアの職場体験を承諾したのであった。
これからが怒涛の日々が続くことを知らずに……。