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第16話 本格的なオープンのカウントダウン

 あれから一晩が過ぎ、ついに、正式に『ヨウガシ革命』を起こす日になった。


「ふぁー……おはよう。昨日はなかなか寝つかなかったよ」


「僕も……さて、準備を始めるか……」


「うん」


 2人とも朝から欠伸が止まらないようだ。


 すると萌が、


「そういえば、今日はあの子達、くるかな?」


と小さな器の中に卵を割り、かき混ぜながら、少し心配した様子で言う。


「確かに、楽しみにしてるって言ってたからな……」


「今日、きたら職業職場(インターンシップ)のことを言うの?」


「あぁ。これが僕達の答えだからな……。僕は今、彼女らに伝えたい」


「そうだよね」


 彼らはそのようなことを話しながら、少しずつ準備を進めていく。


 数時間後……。


 厨房には甘い匂いに包まれている。


「さて、マドレーヌとカップケーキができたぞ!」


「こっちはシュークリームのシュー生地が焼けたよ!」


 2人はオーブンからマドレーヌとカップケーキを乗せたトレイとシュークリームのシューを乗せたトレイを取り出す。


「さて、カップケーキとマドレーヌは少し冷ましてからショーケースに入れようか。そのシュー生地にカスタードクリームを入れようか。萌もやってみるか?」


 蓮が絞り出し袋にカスタードクリームを入れたものを2つ作り、そのうちの1つを萌に手渡した。


「やってみたい! でも、どうやって入れるの?」


「萌はあまり厨房に入らなかったからな……。じゃあ、一緒にやってみるか?」


「うん!」


「じゃあ、シューを1つ持って……」


 蓮は萌にシュークリームの仕上げを教える。


 萌は蓮の動きを真似しながら、シューにクリームを入れる。


「はじめてなのに、意外と上手いじゃん!」


「実は小さい頃にお父さんがやってるのをこっそり見たから覚えてたみたい」


「萌、ずるいぞ? 僕は製菓学校に入学して、厨房で父さんの手伝いをしてた時に教えてもらったのに!」


「へへーん」


 少し拗ねているような様子の蓮と少し嬉しそうな萌。


「でも、まぁ、最初はきれいに作れないのは当たり前。少しずつきれいに美味しくできればいいんじゃないのか?」


「う、うん。 ところで、私がカスタードクリームを入れたものは売らないの?」


と萌は蓮に首を傾げながら問いかける。


「あぁ。手に持っているシュークリームを置いてくれないかな」


「分かった」


 彼らは自分達がシュークリームをお皿に乗せてみる。


 蓮のものはカスタードクリームを入れてもある程度の高さがあり、潰れていない。


 一方の萌のものは蓮と同じぐらいのカスタードクリームの量ではあるが、高さは蓮のものに比べ、半分くらいとなっている。


「違いはご覧の通り。萌がクリームを入れたものと僕のものと比べてシューが潰れているのが分かるかな」


「本当だ……。私が作ったものはお兄ちゃんのものより潰れてぺしゃんこになってる……。これじゃあ、売り物にならないよね」


「その通り! 萌もたくさん練習すれば上手になるよ」


 少し気落ちする萌に蓮は右肩をポンポン叩いて励ました。


「さて、昨日のうちにカスタードプリンと萌には内緒で作ったブラウニーを作っちゃった!」


 蓮が冷蔵庫からカスタードプリンとブラウニーを取り出してきた。


「あーっ、それこそずるい!」


「コレも売っちゃおう」


「だったら、私のシュークリームも『訳あり商品』として売ってよ!」


「萌が作ったシュークリームは1個しかないじゃん。自分で食べちゃいなよ」


「いいもん! あとで自分で食べるから!」


 萌は自分で作ったシュークリームを小皿に置き、ラップを被せ、冷蔵庫にしまった。


 それから、彼らはいろいろと作った洋菓子をショーケースに入れ、喫食スペースのレイアウトをし、少しずつ準備を整えていく。


「ギリギリだったけど、準備が終わった!」


「あと、15分くらい待てば、ベルディに『ヨウガシ革命』が起こせるね!」


「あぁ! 僕達が作る『ヨウガシ』はきっと、ここベルディの人達の心を掴めるぞ!」


「うん! 頑張ろう?」


「よし、では、開店(オープン)だ!」


 これから、彼らは新たなスタートを切る。


 ベルディで『ヨウガシ革命』を起こすために。


 そして、『ヨウガシ』で異世界人の心を掴むために……。



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