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第14話 本格的なスタートは明日。だけど……

 プレオープンが成功し、彼らは本格的な開店準備をし始めた。


「昨日のプレオープンが成功したのはいいんだけど……」


「どうした?」


「これから2人で回すのが大変だよね……」


「そうだよな……。材料の確保をする人や他にも人が必要だよな……。この洋菓子店で働いてみたいと思ってる人っているんかな?」


「アルバイトだけでもいると嬉しいし、私達は助かるんだけどな」


 彼らが悩んでいたことは本格的なスタートが明日で2人で上手く回せるか、少しでも負担が軽減できるよう、アルバイトがほしいという案が出た。


 そんな時にこの日は『準備中』となっている扉がドンドンと聞こえてくる。


 扉をドンドン叩いているのはどこかのギルドか学校の制服を着た女性が2人。


 彼女らの口の動きからすると『あーけーてー!』と言っているらしい。


「お兄ちゃん、どうする?」


 萌が蓮に問いかけると、彼はふるふると首を振り、


「開けなくていい。どうせ、新聞とかの勧誘じゃないのか? コスプレして購読者を増やそうとしてるんじゃないのか?」


と外にいる2人を見て言った。


「そんなんで購読者が増えるんかな? でも、ずっと、ドアをドンドン叩いてるよ?」


「しつこい客だ……。ショコラさんとかだったら『なんで開けてくれなかったんですかぁ』と言ってそうだ。まぁ、一応、彼女らの話だけでも訊こうか」


「うん」


 萌がドアを開け、挨拶をすると、2人揃って入ってきた。


「あれ? なんにも売ってないよ?」


「もう売り切れなのかな?」


「食べたかったな……。『ヨウガシ』という食べ物」


としゅんとしながら話す2人。


「あ、あの……。正式に始まるのは明日からですが……」


 萌が遠慮しながら彼女らに話す。


「明日からですか!? ねぇ、ココア、明日からだって!」


「うん、分かったから。すみません。ちょっとミルク、今日は『ヨウガシ』を食べにきたわけじゃないんだよ?」


「分かってるよ」


 ミルクとココアと呼ばれた女性はきゃいきゃいしながら話している。


「あ、あの……。ところで、今、店長さんっていらっしゃいますか?」


 ココアが問いかけると、蓮が、


「僕が店長ですが……」


と少し戸惑いながら反応する。


「わ、若いですね! お兄ちゃんみたい!」


 ミルクが蓮を見て、にぱっと笑った。


 そんな笑顔で見られた彼は頬を赤くしていた。


「それはどうも……」


「お兄ちゃん、鼻の下がのびてるよ?」


「のびてない! ご用件はなんでしょう?」


「実は私達はベルディ国立勇者学校高等部2年の者でして……。あっ、名前言ってませんでしたね。私はココアです」


「同じく、ミルクです」


「すみません! 僕達も名乗ってませんでした! 僕はこの店の店長をしております、如月(きさらぎ) (れん)です」


「私は一応(・・)、副店長の如月(きさらぎ) (もえ)です」


 4人はそれぞれ自己紹介をする。


 蓮は何かに引っかかっていた。


「萌はさっき一応、副店長って言ってたけど、実質副店長だぞ?」


「本当?」


「あぁ。話がそれすみませんでした。改めてご用件はなんでしょうか?」


「私達が通っているベルディ国立勇者学校高等部は職場体験(インターンシップ)が盛んでして、このお店でをやらせていただけたらと思っていまして……」


 ココアが緊張しているせいか目が泳ぎながらかしこまったような口調で蓮達に用件を告げた。


『職場体験ですか……』


 彼らに新たな悩みの種ができてしまった。


 ベルディ国立勇者学校高等部2年のミルクとココアが職場体験をさせるか否かという(くだり)……。


 彼らはどう答えを出すのだろうか。



2015/06/16 本投稿

2015/06/17 改稿

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