人が捨てたソレ
その昔、人々はソレを要らないものとしてようやく捨てることに決めました。
前から、要らないという声はあったのです。それどころか危険だという声さえもありました。
それがアレの事でようやく多くの人が気づき始め、熱が高まることで動き始めることができたのです。
人々はソレの多くを解体して、ソレを後世に残さないように自然とソレの話は誰もしなくなりました。
ソレの設計図や研究など関する資料は全部一まとめにされ、地中の奥深くに封印することにしました。
普通に考えれば、それらは全て燃やしてしまうのが一番だと思うのですが、当時の人の心境では不要とはいえ、かつては便利だったそれを捨て去るには惜しい気がしたのでした。
それから気の遠くなりそうな年月が経ち、世界の人口半分に減った頃。
人々がソレを捨てた時のことは想像もつかない程の過去のこととなっていました。
もちろん、ソレのことを知る人はこの世界には一人だっていません。
ところがある日。
地殻変動の影響で、大昔の人が封印したソレの資料をつめた箱がひょっこり地面に出てしまいまい、一人の男の目に留まってしまいました。
「これはスゴイ!」
ソレの資料見つけた人は、眼を輝かせます。なぜならソレは今の人類が抱え問題を解決し、豊かな生活へ導いてくれるものだったのですから。
男は大急ぎで仲間のもとへ駆けて行きこのことを伝えました。
そして一緒に会った設計図から、それを男は仲間と共に、見よう見まねでソレを作ることが出来てしまいました。
結果。ソレができたことにより、人の生活は豊かに、そして快適になることはできました。
男は割と学のあるほうでしたが、どうしても腑に落ちないことが一つありました。
「どうしてゲンシリョクなんて便利な物を、昔の人は残さなかったんだ?」