51.次元旅行~宇宙のベロと白き門番2~
一列に並ぶ巨人達。 (霧に包まれてその隊列は計り知れない)
僕らが”べろ”から降り立つと、彼らの中央に一際輝く金色の騎士が一歩前に足を進めた。
『ようこそ”白き門番”の世界へ』
優雅に一礼した金色の騎士が僕らに微笑んだ。
『久しぶりだな、ナイト』 そう口を開いたのは・・・鷹である。
ひさしぶり?僕とセアンは思わず鷹を振り返る。
『・・・あなたは、お鷹様?おぉ、何百年ぶりでしょうか!ずいぶんご無沙汰しておりました』
ナイトと呼ばれた金色の騎士が深々と頭をたれた。
どういうこと?と聞き返す僕に、ナイトが答えた。
『お鷹様がわれらの世界に姿を見せたのは、今より数百年も昔のこと。当時、我らの世界は凶悪な軍勢に占拠されておりました。それを救ってくだすったのが誰あろうお鷹様でございます』
ふーむ、と僕は鷹を見つめた。
「ここは宇宙の口だよね?それって・・・」 僕の問いに鷹はうなずく。(鷹は心を読むのだ)
『察しがいいな、幸一』鷹が笑った。
『虫歯だ』
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鷹は語る。
この世界は”口の中”である。
口の中であるが故に、虫歯にも悩まされていたのだ。
悪の軍勢が”虫歯”であり、虫歯は歯磨きと歯茎ケアで退治できると言うわけなのだ。
退治の槍は悪の軍勢を浄化する力を与えられ、大地と言う名のオーラルケアができるのだと言う。
『そんなばかな、と思うだろうが事実なのだ。この世界で必要なのは創造することだからな』
鷹の説明を受けたナイトが力強く頷くと
一列に並んだ巨人たちが胸に手を添えてひざまずいた。
鷹の羽が金色に輝き、そのオーラが彼らをゆったりと包んだ。
『ありがとうお鷹様。我らの身体にちからが戻りました』
ナイトは嬉しそうにそう言うと、顔を上げ彼らの隊列に戻っていく。
おもてなしの準備が整っております、とナイトが言う。 『ありがたく受け入れる』と鷹が答えた。
そのようにして、彼ら巨人達に迎えられた僕達は巨大な宮殿に通されたのだ。
通された宮殿の巨大なホールには巨大なテーブルが置かれており、僕達は促されるままにテーブルの上座にかしこまって座った。
そして、王様が姿を現したのだ。
「え?王様?」 僕とセアンは顔を思わず顔を見合わせて首をひねった。
『や、よく来たね』 王様がかわいい声で右手を振ると、その動きに合わせて柔らかな長い耳とふさふさした丸いしっぽがぱたぱたと揺れた。
王様とは、案内してくれたウサちゃんのパパだったのだ。(かわいい!)