表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
続・タロと今夜も眠らない番組  作者: シュリンケル
第二章 -冒険- (異なる次元)
30/59

30.追跡 -セアン-

 レンタルビデオ店から戻った僕は、部屋の電気を薄明かりにして窓の外を伺った。

(道路の向うに佇む人影がそっと電柱の影に隠れるのを僕は見逃さなかった)


 『あれはなんなの?』 エレーンが直接僕の頭の中で問いかける。

(”奇跡の猫”エレーンは心中でも会話が可能だった)


 『あれは・・・たぶんスパイだ』 僕はエレーンに答えた。(心の中で)


暗がりで見るそのスパイは、僕にはあまり悪い人物とは思えなかった。


 タジマから譲り受けた黒地の地味な携帯電話が震えたのはその時である。

音もなく震える携帯電話を開いて、メールを確認する。

 -”タジマです。お気づきかと思いますが、先ほどからあなたを尾行している人物がいます。その男が先ほど話したD国諜報部員・セアンハラルドソンです。”-


---


 僕とエレーンは、たくさんのおみやげを大きなリュックに詰め終えたところだった。奇跡の待つ猫森村へと向うために。


 『さあ、行きましょうか。と言いたいところだけれど』

エレーンは僕を振り返ってつぶやいた。

『さっきのスパイくんが覗いているわ』


 僕は迷った。(玄関脇のキッチンの窓辺からちらちらと人影が見え隠れしている)


おそらく僕らがここから去った後、スパイくんはこの部屋を色々と調べるのだろう。

そしてマコさんの病室を突き止めて・・・彼女を放っておいてはくれないのだろう。

そのくらいの事は僕にも容易に想像できたのだ。


 『タロちゃん、景気付けに一曲かけましょうよ』

エレーンが唐突にそんな事を言う。

僕はそっと頷いた。


-あなたにいてほしい(Now You're Not Here)-Swing Out Sister-

甘美な曲調が哀愁をもって部屋に満ちる。


窓の外で息を潜めていたスパイくんの気配が、緊張から緩和へと変化するのを感じる。

(不思議な事に、僕には彼の気配と共に心の様が感じ取れたのだ)


 『タロちゃんあなたは目覚めつつあるわ。いい兆候だわ』

エレーンは満足そうに僕の肩に飛び乗り、耳の辺りをくんくんと嗅いだ後でそうつぶやいた。

(僕は気がついていた。僕の瞳が熱を帯び始め、不思議な色彩に満たされていくのを)


 僕は気配を消してそっと玄関に忍び寄る。


!!

鍵のかかっていないドアを勢い良く開けたはずみでスパイくんが玄関に転がり込んだのと、僕が彼を背後から押さえ込んだのはほぼ同時であった。


目を見開いて状況を見極めようともがくスパイくん。


エレーンは即に飛びついて彼の耳の匂いをくんくんと嗅いでいた。

『こいつ、危険よ』 エレーンの瞳がすっとすぼまった。

『だけど・・・純粋だわ』 とまどったようにエレーンは僕を見上げた。


どうしたものかな、と僕はつぶやく。


 腕の間接を身動きできないように決められたスパイくんは、身体中の力を既に抜いてぐったりとしていた。


 遠くでパトカーのサイレンが聞こえていた。ウーウーと鳴っていた。


挿絵(By みてみん)


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ