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3.タロの終わらない番組(いつもの風景)
-ぷっぷっぷーーーん。
-みんな元気!僕は今日も元気だよ♪
-昼下がりのひと時を、DJタロがお邪魔しまーす!
-”タロの終わらない番組”が始まるよ!
僕はいつものDJブースで番組を再開する。
セットしておいたCDの"play"ボタンを押す。しゅるしゅるとCDが動き始める。
HEARTS -マーティ・バリン-
古くとも色褪せないAOR。僕のブースからリスナーのもとに流れて行く。
曲が流れるとき、僕はマコさんを想う。
眠り続ける彼女の病室に届くようにと。
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- 夏ですね。
リスナーさんは言う。
-わたしの職場では冷房が壊れてしまって、毎日が暑さとの戦いになりそうです。
-休憩時間に買ってきたアイスもすぐに溶けてしまいます。
-だから涼しくなるような曲を聴きたいな。
そして僕は曲を選ぶ。
CLAIR -ギルバート・オサリバン-
その曲は、口笛に乗ってリスナーさんのところへと届く。
暑さに負けるな、と僕は想う。
夏の初めに降り始めた雨と共に、その曲は涼やかに響いたのだ。