14.鷹の啓示2
僕は5年前、”鷹”のご加護を受けた。
そして僕は、何者にも成らず、無為に過ごしてきたつもりだった。
それで良いとも思っていたのだ。
しかし、マコさんを巻き込んでいたと言う。
何が正しい道なのか、普通に過ごす事にしがみついてはいけないのか。
僕は分からなくなっていたのだ。
『人はみな成長するのだ』 真空の宇宙空間で鷹は僕に伝えてくる。
『人はなぜ生きるのか。なぜ生きた瞬間から死の呪縛を抱えるのか。お前に分かるか?』
彼の言葉が鋭い爪と共に僕の心へと食い込む。
わからないんだ、と僕はささやく。
『お前は、お前である事を避けられないのだよ』 少しだけ、鷹の口調が柔らかくなったように感じる。
『幸一』 鷹が僕の本名を呼ぶ。(亡くなった父親のように)
『お前は既に与えられた。その力を自分の物にしなければならない。
真理は全てに満ちているのだ。それをお前は自分で見つけなければならんのだ』
また会おう、と一言つぶやいた鷹は、両の翼を羽ばたいて星の闇へと消えていった。
その瞬間から僕は、空気を求めてもがいた。
僕の視界に地球が映る。
意識が先に地表へと届く。
どんっという地響きと共に僕の意識が遠くなる。(身体は大地に還った事を認識していた)
そして、夢が唐突に終わりを告げた。
僕は全身で息を吸った。夢中で呼吸を続けた。
- 真理は全てに満ちている -
その言葉はいつまでも僕の心に刻み込まれたのだ。