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寺優仁フリーランサー32歳  作者: RIO


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15/18

【第15話】:~俺にとっての成功、そして……~

こよりちゃんが帰ったあとの静かな部屋の中で、俺は考えていた……。


こよりちゃんも言った“成功”の事を……。


そして……、俺は机の下から二番目の引き出しに眠った、履歴書を取り出した。


これは……俺が、会社を辞めた直後に書いた、就職用の履歴書だった。


まだフリーランスを始める前。


正直、あの時、迷っていたんだ。


フリーランスになるなんて、無理だろうって。


でも、君は言ってくれたよね?『仁君ならやりそう♡』って。


だから、やってみようと思ったんだよ。


”大成功”したら君と……なんて思ってさ。


俺にとっての成功……。


……それは……。


俺は、静かに履歴書を書き始めた。


涙が溢れた。


何も出来なかった……。


フリーランサーで成功したかった……。


でも……。


成功とは……。


その問いの答えを俺はようやく見つけたんだ。


「初めまして、寺優仁です。フリーランスを1年程やっていました。何でも、頑張りますので、今日からよろしくお願いします。」


俺はフリーランスを卒業し、新しい会社が決まり、会社員として働く道を“選んだ”。


33歳になっていた。


こよりちゃんは俺が会社員を選んだことを、最初は驚いていたけど、今は応援してくれている。


(あーーー!まだ、金が足りない。)


やっぱり、今年はまだ無理か……。


フリーランスを始める前は100万位溜まってたのに、今はもうほとんどない。


しばらくして、俺は新人教育係に抜擢された。


そうするとさ、昔の俺みたいな奴もいてさ、懐かしくて笑った。


「先輩、今、俺の事笑いませんでした?俺、なんでも出来るんで……。」


あはは。その後のセリフは分かってる……“俺は出来る男”……だろ?


あの時の俺は、全然出来る奴なんかじゃなかった。


そのことに気づくのに大分掛かってしまったけど……。


今はスキルも大分上がって、少しだけ“本当”の自信もついた。


……だから、君に会いたい。……伝えたい。


(……よし、貯まった……)


俺は、君に似合う可愛い写真を見つけて、ずっと貯めていた。


そして……今日……君に……


「仁君♡スーツ姿、久しぶりだね♡」


こよりちゃんは俺のドキドキも知らずに、無邪気に俺の袖をそっと掴んだ。


「こよりちゃん。……俺……。」


「ん?」


「俺にとっての成功は、君と一緒にずっと、一生生きて行くことです。


大成功じゃなかったけど、俺、頑張って昇進するから、君を一生守るから、


俺と結婚して下さい。」


こよりちゃんは一瞬ビックリして手を放し、でも、嬉しそうに俺に手を差し出して、


「よろしくお願いします。」


って言って笑った。その笑顔が最高に眩しかった。


これって、俺、大成功じゃない?


いや……これが、俺の“スタート”。


“大成功”に向けての!


フリーランスだった1年とこの半年。すごく濃い時間だったな。


遠回りしたようで、何も“無駄”なんてなかった。


悔しいことも、失敗も、全部必要だった。


今も、そして、これからも、俺はきっと、不器用なままだけど、それでも、大事なものだけは、ちゃんと守りたい。


『君と一緒に生きる』って、決めたから。

スーツの袖を軽く引っ張る君の手は小さいのに、俺にとっては、凄く大きく感じる。そして、凄く温かい。

これからも、きっといろんなことがあると思う。

でもさ、俺、今、めちゃくちゃ幸せだよ。

ねぇ、こよりちゃん。

「……俺、絶対に、幸せにするからな。」

君が笑ってくれる限り、俺は、何度でもやり直せる気がするんだ。

そして、何度でも……、君を守りたいと思える。ずっと……。


To be continued…


※この作品は note 掲載作品の再投稿です(加筆修正版)。

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