エピソード59 1027の仮想未来
『情報収集完了。ANSWERシステム発動します。なお、発動後はイレギュラーが起きても瞬時にクリエイターの脳に最適解を提供します』
INOの声と共にプラネテスジョーカーの機体からはバキバキと金属が軋む音がコックピットの都原の耳にまで聞こえた。
「な、なんだこの音?」
プラネテスジョーカーの脚部や腕部、胴体の至る所のパーツが割れるように開き背中からは2本の透明な虫の羽根に似た物が出現する。
最後にピエロの帽子のようになったM字型の頭部の頂上付近のパーツが食い違うように斜め後ろにスライドし隙間から電子回路が露出する。
『演算速度を引き上げる必要があるため、通常時は解放されていないセンサーを露出。熱暴走を防ぐ為のヒートフェザーを露出、ヒートフェザーはクリエイターの意志で自由に動かすことが可能です。高温に達したヒートフェザーは攻撃にも使用可能。パラレルヴィジョンによるフィードバックが増加するのでオルフェウス・コアの使用メモリが99%を上回る為エネルギー消費の増大が見込まれますので内蔵されたシステム用バッテリーを使用します。I hope for a good result.」
内容はよくわからないがとにかくさっきよりは性能が向上したらしい。
『演算能力をパワーアップさせる機体のサポートは初めてだし!クソガキ!ウチとルナは特別なサポートは出来ないが行けるか!?』
ラシーが肉迫した声色で問い掛けてくる。
「ああ!なんか妙に集中力っていうかキーンって変な感じするけど、やってみる!」
『カイトくん!来るわよ!』
最早ミストルティンとの距離はハリスが出現させた壁一枚を隔てるのみ。
都原は断象刀を一旦鞘に戻す。
『カイトくん!?』
『なんで刀仕舞うんだし!?』
「いや、多分目的がアイツをこのコロニーから追い出すなら今は刀は邪魔だ!」
その直後、壁の横から黒い槍がプラネテスジョーカーの横まで投擲され瞬時にそこへミストルティンが転移してくる。
壁に向かって構えていたプラネテスジョーカーの虚を突いて来た。
『ハハハハハッ!僕が正面から向かうかと思ったか!』
高らかに笑い、槍で突きを放つタステラン。
その一枚の紙のように薄い僅かな時間の隙間、都原の脳に1027のこれから起こり得る未来が数える必要もなく明確に映し出され、その中から一つが自動的に選択される。
「こ…れが…みら…い…?」
『機体の形状が突然変わってるみたいだが目眩しにもならん!』
異様な万能感に都原は歯を食いしばる。
「そんな攻撃、今1027回は見たぜ!」
都原はその突きを腰を落としたまま機体をスウェーさせ避けるとミストルティンの腕を掴むみながら懐へ一歩踏み込み。
「せいっ!」
一本背負いでタステランを地面へ叩きつけると都原は反転しながら飛び上がる。
『ぐはあっ…!?』
ミストルティンが倒れたのも束の間に、
『アクティベート…』
どこかを走り回っているのであろうハリスの言葉と同時に、地面から天高く突き上げるように巨大なコンクリートブロックが現れミストルティンを宙に浮かせる。
それを予見したようにジャストな位置でプラネテスジョーカーは空中で身を翻し蹴りを放つ。
突然の横へのベクトルにタステランはまだアスファルトの残る道路へ吹っ飛ばされ、
『アクティベート…』
ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ…ッ!!!!!!
波のように次々と現れる巨大コンクリートブロックに否応無く市街地のど真ん中を胴上げされるように運ばれて行く。
その間に都原の脳には新たなる大量のイメージが映し出されビジョンが選択される。
コロニーの端近くまでブロックの波が続くと、
『都原くん!もう少しだ!』
コンクリートブロックの濁流に流されるミストルティンを追う都原が横を見ると、並び立つビルの上を素早く走っては跳びハリスが並走している。
「先生ぇ!なんなんだよその力!?魔法使いみたいだぜ!?」
都原にハリスは、
『そう思って大きな違いはないよ。科学で解明するにはまだ時間が掛かる不思議なことっていうのは沢山ある。それが僕の中にも偶然内在していただけさ。クラフト…都原くん!上を見て!今なら使い方はわかるね?』
ハリスが呪文のように唱えると空中に電信柱くらいのデカさにされた鉄パイプが鉄棒状に繋げられ現れると、プラネテスジョーカーはそれを掴み一回転し宙を舞うとミストルティンを外壁まで追い詰める蹴りを繰り出す。
『な…んだ…こい……つ…いきなり…雰囲気が…変わった…っ…!』
抗うこともできずに学園コロニーの外壁際まで追いやられたタステランだが、都原カイトとハリス・ウォードンのコンビネーションは止まらない。
「凛!」
機械仕掛けの道化の指から放出される波動転移砲の追撃はタステランに姿勢を整えさせる隙を与えない。
『ボーンアクティベーション…』
ミストルティンが落下しようとする地面が一瞬撓むとミストルティンを遥か上空へ弾ませる。
「うおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ……!!!!!」
スラスターを噴射したプラネテスジョーカーがミストルティンの両肩に手を当てレゾナンスの天蓋に押し付ける。
多少の隕石でも割れることの無い流体ガラスにヒビが入る。
『僕のミストルティンがっ!こんな訳のわからない奴に押し負けている!!!?』
「俺を!!俺たちを甘く見んじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
都原は背中のヒートフェザーを操りミストルティンの背後のガラスを円形に焼き切る。
『くそおおおおぉぉぉぉ!!!!!!!!!』
レゾナンスの天蓋に穴が開き二機のVSAが真空の海へと飲み込まれた。
「ラシーちゃんにルナちゃん?空港の気密シャッターは開いてるね?砲門も外に向けてるかな?」
流体ガラスが天蓋の穴を塞いだのを確認すると、瓦礫の上に座りハリスはメイルストローム号にいるラシーとルナに直接通信を繋げる。
『すげぇな変態!?何スキル持ちだし!?』
『ラシーちゃん。確かに凄いけど聞くのは後でよ。ハリスさん?さっき言われた通り気密シャッターは開けて砲門を外へ向けて伸ばしています』
「そうかい。ありがとう」
それにルナは訝しげに問い掛ける。
『一体何をするつもりですか?』
「ちょっと君達にミストルティン目掛けて最後の一発をぶちかまして欲しいのさ」
『そかそか!ならうちに任せろ!このメイルストローム号の生態操作が出来るのはウチだけだし!やってやるからこの前おじさんって言ったの謝れ!!』
ANSWERシステム発動にしては地味かと思いますが、今全部見せちゃうとネタが無くなりますので許してください!2025年の投稿は今回が最後かな?暇があったら書いちゃうかもですが。
今年の投稿が少なかったのはちょっと資格を取りたくて勉強していたのですよ。おかげでなんとか合格致しました!知らねえよと言われたら黙るしかないですが、「でも、ここまで読んでくれたじゃん!」と皆様には90度のお辞儀をしたいです。では、また次回〜。




