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リバイバルシード 〜The birth voice of the stars〜  作者: 河原ブーメラン


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エピソード58 As you wish.

 都原カイト操る道化の機神、プラネテスジョーカー。

 オリジナルワンと冠される上位ロットの機体であるが、今のところ地球共鳴の力を切り裂き発動を封じる断象刀を装備していることと高出力な点のみが概ねわかっている以外、謎だらけである。

 ANSWERシステムとやらが発動するには補助人工知能であるINOが暫しの間、戦闘データを各種センサーにより観測する必要がある。

 しかし、今にも崩れそうな建物の屋上に現れた生身の中年男性の登場でそもそも発動する必要が無くなるのかもしれない。

『都原くん?その機体はウーディー博士が作った物だね?少し観察させてもらったけど、その機体知覚感覚を拡大するタイプのシステムを積んでるでしょ?』

 謎が多いといえばこのハリス・ウォードンも当て嵌まる。

 都原は視線操作を操り500メートルは離れた場所にいるハリスを拡大表示にする。

「ああ、ANSWERシステムとかいう予知みたいな機能搭載してるらしいがまだ完全に機動してなくて俺もよく分からないんだ…あとこの刀だ…見てたならどんな代物がわかるだろ?…なぁ?先生、あんな鉄球どうやってぶん投げたんだ?あとあのデカいコンクリート壁をいきなり出したのも先生なのか?」

 都原はうつ伏せに倒れているミストルティンを警戒しつつハリスへと質問を投げかける。

 ハリスは薄青白く発光する断象刀を流し目で見つめながら、

『全く師匠も飛んだカラクリを搭載した機体を作ったものだね…僕とはVSAに求める力の方向性が違い過ぎる…ああ、なるほどINOの補助演算の拡張か…まあ、僕が求める堅実とは真逆の曖昧な理想を現実に形にしてしまうのが師匠の凄いところだが…あまり信じたくないものが妙に凝った造りだと本当に面白くて堪らないよ…畏怖すら覚えるくらいにね…都原くん、あの鉄球とコンクリートブロックは僕が用意したアーティファクトだ。わかりやすく説明すると長くなるから後回しにするよ?』

 そう言いながら片手に握った拳銃の銃口に息を吹きかける。

 伝説の学級であるネクストの一員というだけでは説明の付かない異常事態での落ち着きというか生命の掛かった場面への慣れというか…そういうのがこの教師はずば抜けている。

 都原はふと視線を本来向けるべき相手へと戻す。

 ミストルティンは体積の凡そ半分もある鉄球に弾き飛ばされたところで突如出現した巨大なコンクリートブロックに打ち付けられパイロットであるタステランは不意に与えられた衝撃に沈黙していた。

 これがこの細身の優男の力によるものだとしたら、ハリス・ウォードンは生身でVSAに対抗し得るということだ。

 同じVSA同士ならまだしも生身の人間の会心の一撃にカウンターの精鋭機が派手に圧倒されたのだから都原の驚愕はもっともな反応である。

『おい!クソガキ!呑気に変態教師と駄弁ってないで今のうちにトドメを刺せし!』

 ラシーが至極真っ当なことを言う。

「そうだなこんなチャンスまたあるかわからない…」

 敵対勢力の幹部を今一人捕縛可能な状況である。

 逃してはならない好機だ。

『それはやめといた方が良いかな』

 唐突な制止に都原は持ち上げかけた脚を下ろす。

『なぜですか?あの7大傑士を捕虜に出来るんですよ?』

 ルナの質問にハリスは溜め息を吐くと、

『君達はS.A.V.E.Sの人間の割りには思慮に欠けるね。半壊した身体を薬で誤魔化して天寿を全うさせる時代の自白剤に抗える人間はまずいない。捕虜にしたら必ず情報を得られるあの7大傑士の機体にそれを防ぐ為の安全装置を積まないわけがないだろう?漫画ではないんだ、カウンターだってそのところ甘く見積もる組織だと思うかい?僕があちら側の人間なら敵地のど真ん中に情報の詰まった金庫を放置するならダイヤル錠に大量の毒針を仕込むね』

 やれやれと肩をすくめるハリスに都原は、

「つまりアイツの駆動系の動力に傷を付けたりしたら…」

『見たものを全て殺すくらいのことをしないとリスクが釣り合わないだろうね。少なくとも周囲一帯を消し飛ばすのは当たり前じゃないかな?』

『その規模の爆発を起こすとしたら戦闘を想定した用途ではないこのコロニーは天蓋の流体ガラスに修復が間に合わない損傷を受けて…』

『地表面の人間は宇宙の藻屑だし…』

 苦虫を噛み潰したようにラシーが呟く。

『そうならないように僕はシナリオを考えた…ちょっといいかい?…シンプルノーティス…ディシジョン…』

 ハリスは通信機越しには聴き取り難い声で囁く。

「先生?何を?」

『いや、ただのお呪いさ…それよりそろそろ彼方さんが起きそうだ…』

 ミストルティン…いや、タステランが意識を取り戻したようだ、機体をゆっくりと起き上がらせ、こちらを見ている。

『クッ…一体何をされたのだ…』

 都原は断象刀を構え答える。

「生憎俺にもよく分かんないんだよな、ただ、あんたと戦うには充分なもんが揃った」

『揃った?』

 タステランは先程鉄球が飛んで来た方向のビルの屋上へ目をやる。

 そこには笑顔で手を振るハリスが確認出来る。

『生身の人間…ふん…粗方イデアの地球共鳴者か……その程度の加勢で図に乗るなよ?だが…僕が…意識を失ってる間に攻撃しなかったのは賢明だったな…このミストルティンには僕の生態反応とエネルギーフィラーのどちらかが強制的に停止すると半径10キロが消滅する装置が備わっている!』

「やっぱりか!」

『ほらね?というわけで、都原くん?今アイツに対する適切な対応ってなんだと思う?』

 ハリスはニヤニヤしながらこちらを見ている。

「丁重にお引き取り願う?」

『正解!僕達はこれからアイツをこのコロニーから追い出す。とはいえこちらの武器は穏便に済ますにはやや不向き…威力はそこそこの遠距離攻撃する武器が欲しいだろ?』

「んなもんどこにあるんだよ?」

 白髪の教師はスッと都原を指差す。

『もう()()にある…』

「えっ…?」

『その刀の輝きは恐らく君がパイロットだからこそ光っている。都原乖人(魔子祓いの乖離人)だからね。昔同じ光を見たことがある。ミストルティンの事は僕が気を配ってるから、君は今から僕の言うことだけを頭に思い浮かべて…』

「先生!そんな事してる場合じゃ…!」

 ハリスは口の前に人差し指を立て真剣な目で見つめてくる。

「……」

『いいかい?君の丹田に君の生命の光が集まっている…その光が血管を流れ右手の人差し指に移動する…ほら、人差し指を立てて?』

「ん…」

 都原は目を閉じてハリスの言うままにイメージを頭に浮かべる。

『そのイメージを保ったまま指をミストルティンに向ける…頭を狙おうか…アイツのオデコに指先くらいの光の点をイメージして…』 

 都原は約300メートル離れたミストルティンの額に指を向けレーザーポインターを当てたように丸い点を頭の中で投影する。

『そうしたらなんでもいい…トリガーになる言葉と共にその光を一気にアイツのオデコに移動させてみて…』

「凛…」

 ズガーーーーーーーーーンッ!!!!!!!!!!!

 轟音が鳴りミストルティンは頭部を背中が仰け反るほど後方へ弾かれる。

『グアッ…ハッ!!!』

 何が起きたのか分からない程の現象に都原は唖然とする。

『あ…思ったより上手いから凄い威力出たね…』

「先生!?何今の!?」

『波動転移法……法っていうか砲だね?ハハッ…』

 ちょっと試しただけなのに、みたいな表情で笑うハリスだが、

『貴様らぁ!!!僕が死んだり機体が結構壊れたら爆発して貴様らも死ぬんだぞ!!!?わかってるぅっ!!!?』

 滅葬槍を片手にブチギレたタステランがコチラへ一目散に走ってくるので、

『アクティベート!!!』

 ハリスはそう叫ぶと隣のビルの屋上へ飛び移り忍者のように素早く身を隠し逃走する。

 ミストルティンの眼前に連続して巨大化したコンクリートブロックが現れるが、

『もう一度見たから引っかからんからな!!!!!』

 槍で次々と出現する壁を粉砕しタステランは止まらない。

『都原くん!そんな感じで僕の指示に従ってね!そろそろそのANSWERシステムってのも充分に発動条件を満たすだろう!』

「先生!助けてもらってなんだけど今多分あんたのせいでタステラン怒った感じだからな!!!」

『どうせもうしばらく戦うからいいじゃん?』

「良くない!」

 ミストルティンはブロックを砕きながらプラネテスジョーカーの前方約50メートルに迫っている。

 そこで、

『情報収集完了。ANSWERシステム発動します。なお、発動後はイレギュラーが起きても瞬時にクリエイターの脳に最適解を提供します』










はい、サクッと読める分一話で進むスピードはゆっくりめですがそろそろ加速します!m(_ _)m

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