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エピソード46 マニュアルファイター

〜チンパオのテーマ〜

チンパオッチンパオッチンチンチ〜ンパオッ‼︎ナポリタンだよチーンパオッ‼︎ヘチマ油だチーンパオッ‼︎チンパオッ‼︎チンパオッ‼︎チンパオとハヌマッチ‼︎出雲大社だチーンパオッ‼︎コペルニクスだチーンパオッ‼︎チンパオッ‼︎チンパオッ‼︎チンパオとエビフライッ‼︎


「作者絶対ここで息抜きしてるだろ・・・」

「まさか左右のレールガンの出力が違うとはな・・・メカニックの奴調整ミスったな・・・・・・」

 バレリーナのスピンの様にくるくると横回転したアルバのディ・ソードは左右脇の拡散レールガンの砲門から煙を上げながら、相撲取りの様に腰を落としてなんとか踏ん張り、姿勢を保っていた。

「訳が分かりませんが命拾いしたようですね・・・」

 シルバリーの胴体には大きな抉り傷が出来、コックピットが露出する一歩手前というダメージを受けていた。

「その機体、単機で闘い抜くのに向いた設計なんだな、頑丈さが以上だぜ・・・つっ・・・」

(今ので傷が開いたか・・・・・・)

 アルバは脇腹から血が滲み出るのを感じた。

 その傷は先日のカウンターの戦艦が自爆した際に負った傷で、肋骨に届くほどの裂傷だった。

(この傷の具合からして俺の得意な近接戦闘は避けたいところ・・・だとしたらこの拡散レールガンは必要だ。なら・・・・・・)

 アルバは痛む傷から意識を逸らすと、

「レールガンの設定を変更、音声入力で微調整、左の電磁誘導出力を100から78へ変更、右は100を108へ、試し撃ちの後にもう一度調整モードを開くに設定、同時に背部人工筋肉のトルクを左113に右を97に仮設定、脚部は左100のまま右は89、発射後にデフォルトに戻す」

 操縦用着装のゴーグルに映る円グラフを見ながらアルバは呪文の様に唱える。

 ディ・ソードの躯体から調律の変わる音がキリキリと周囲に響く。

 それをシルバリー、ロンズバットは軋むコックピットで凝視しながら、

「電子補助モデルが多いVSAをフルマニュアル制御で動かしている? アルバ・デルキランがマニュアルファイター派のパイロットだとは聞いていたが本当だったのか? ならその隙に・・・‼︎」

 シルバリーが再び大剣を握り締め、姿勢は低く、半円を描く様に駆け出す。

「よそ見しながらいいようにはやらせない‼︎」

 一撃の重みを増すために内部で遠心力を生むためのモーターが放出する炎が節々から吹き出し大剣は炎剣と化し、刃先が地面に当たり火花を上げながら切り上げられる。

 それをアルバは両手のチェンソーブレードの刃を地面に対しやや斜め下向きにし受け、大剣の振り抜かれる方向を微かに変えるだけでやり過ごす。

「首は左90、右91に仮定、指示するまで固定」

 その所作に明らかにパイロットとしての格の違いを脳に直接映像として見せつけられ、ロンズバットは歯軋りする。

 この男から感じるのは才能だけではなく幾度もの研鑽により磨き上げられた、鏡の様に相手を映す白金(プラチナ)の如きセンス。

「肩部は手動でスラスターを噴きバランスを取るからスキップ、次、肘の固定率、左97、右99…」

「うあああああああああああああああああああああああああああああああアアアアああっ‼︎」

 全てが渾身の威力の大剣を霞の様に避けられてしまう。

 炎剣の焔がディ・ソードの双眸を紅く輝かせるだけだ。

(なんだ? なんだこの違いは? 同じ生き物とは思えない・・・)

 ロンズバットも機体の性能に頼っているわけではない。カウンターの一部隊で何度も死線を超えてきた間違いなき強者。

「はあ・・・はあ・・・くっ・・・‼︎」

 一旦距離を取ったシルバリーが最早炎柱に見える大剣を手に、高く跳び上がり空中で宙返りしながら最後の一撃を放つ。

「設定適用、終了、表示オフ」

「アルバアアアアアデルキラアアアアアアアアアアアンッ・・・‼︎」

 ロンズバットの大剣が隕石の様にディ・ソードに迫る。

 それをアルバはチェンソーブレードの刃の回転をオンにしシルバリーに向かって跳躍する。

「あんまりうるさいとその炎も消えちまうぜ?」

 炎剣の側面を二振りの刀を一本のように振り打ち、機体を回転させ、落下速度を殺さずに地面に叩きつけ・・・。

「帰ったらメカニックどもにはゲンコツだな・・・」

 両脇の拡散レールガンをシルバリーの背中に向け放つ。


「・・・・・・ガルデ様・・・」


 シルバリーの装甲には蜂の巣状に穴が開き、機体は機能を停止する。


「・・・・・・・イテエ・・・けど終わったか・・・」

 地面に着地するとアルバは目視でシルバリーの電源が切れるのを確認すると、ホッとため息をつき、自分の脇腹を触る。

「あーあー、こりゃまた縫わないとな、ヒー・・・イテテテ・・・」

 アルバがシルバリーから目を離した瞬間、背筋に寒気が走る。

「!」

 電力の通っていない再起不能のシルバリーが立ち上がり佇んでいる。


「アルバ…本当に君は詰めが甘い…」


 あまり緊張感の無い聞き覚えのある声がしたとアルバは思った。

 次の瞬間、シルバリーの腰から下が消し飛ぶ。

「懐かしい顔見せたと思ったら、またお前はいいとこ持って行くなぁ…魔術士…」

 シルバリーの背後の道路には小さな拳銃を構えた白髪に白衣を羽織った眼鏡の男。

「いつも譲ってくれてるんだと思ってたけど、ただの間抜けかい?」

 そう言ってハリス・ウォードンはニコリと笑う。

 その笑顔を冷や汗を顔に浮かべてアルバは見ると、

「久しぶりだな、戦友、元気だったか?」

「それなりに…残念ながら酒とタバコはやめる気はないけどね。あと多分こんな話してる場合じゃまだないよ?」

「はっ?」


 キィーン…

  

 金属音と共にディ・ソードの隣のビルが消滅した。



もう、チンパオを書くことばかり考えてしまう(´;Д;`)

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