表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/60

エピソード42 紅獅子

おそのさんにおしゃぶりを届けるよう頼まれたキキ。お母さんに渡されたホウキに跨り…

 まるで化け狐を模した姿に変形したFOXが空に咆哮を響かせる。

 巡りに巡って移動し続け、広いバスのロータリーに行き着いた3機の戦闘が行なわれている円形の道路に面した建物から逃げ遅れた人々も好奇心に勝てず、窓から顔を出して感嘆の表情で見入っている。

 シルバリーも両手の剣をだらりと下げ佇んで頭部を真っ直ぐFOXに向けていた。 

 ガンッ!

 刹那の出来事、シルバリーが横に弾き飛ばされた。

 ヒュンヒュンと音を立てて螺旋を描くように動く変形したFOXの9本に別れた尻尾に見える武装、テイルウィップがシルバリーの反応速度…気付く事も出来ない速度でシルバリーの側頭部を打ったのだ。しかも、その鞭の動きは蛇のような変幻自在で不規則な歪曲な軌道を、9本それぞれが独立して可能だと言わんばかりにFOXの腰から波を打って動く。

『これが()()()の姿か〜〜〜〜っ!! 機体名はFOX(キツネ)だが、まるで九尾の化け狐、妖狐だ〜〜〜〜!!』

いつの間にやらロータリーの駅舎の屋根に登ったリュウ・ランランとその撮影クルーが変容したFOXの姿をカメラに捕らえる。

 遂にシルバリーの胴体を地面に落とした事実に興奮冷めやらぬリュウ・ランランは深呼吸すると、口調を変える。

『ここで真面目な話、先ほど当局AFネットワークの情報網を調べた結果、あの銀色のVSAは我らが王都自治圏の敵対勢力カウンターの戦用VSA、シルバリーという事が発覚しました。カウンターサイドの上位機体である為、当局上層部の判断では、これは停滞状況だった当コロニー、レゾナンス近海でのカウンターの活動が再開されたと見ることが出来るとのことです』


 倒れた状態から即座に立ち上がろうとするシルバリーにFOXアニマが喰らいつくように飛び掛かり、その背後ではもう一機のFOXもアニマへと変形する。

 シルバリーの四肢を押さえるように覆い被さったFOXアニマの人工筋肉は人型の時より出力が上がるようだ。

 流石のシルバリーが足掻いても体勢を変えることが出来ない。 

 一気に形成逆転を果たしたFOX2機が横に並び合計18本のテイルウィップが宙を舞いすべてをシルバリーに叩き込もうとするが…

 キンッ…

 耳鳴りの様な音と共にシルバリーの上に乗ったFOXの前脚が突然肩から外れる。 

 前脚を失ったFOXアニマはシルバリーに身体を預ける様に倒れ掛かり、その胴を細剣が貫く。

 そしてシルバリーは何もなかった様子で立ち上がり、脹脛のスラスターを噴射して地面を滑る様に後退する。

 その両の脇には鋭利な押し切り包丁の様な刃物が肩関節から飛び出している。 

 この武装がFOXアニマの肩を切り落としたのだろう。

 それは周囲が確認する間もなく肩を一周すると、関節の中に仕舞われる。

『アニマが…やられた〜〜〜〜っ!! やっと勝機が見えたかと思ったFOXが遂に残り一機になったぞ〜〜っ!!』

 

 残された最後のFOXアニマは暫し考え込むような間を見せるが、その場で足踏みするとシルバリーの周囲を高速で周回し出す。

『これがアニマの高そ…』

 リュウが解説する前に…

 FOXアニマの動きをシルバリーは見切り、細剣で頭部を突き刺し止め、まるで魚を捌くように3枚におろした。

『や…られた……あっさり…』


 シルバリーは一度両手の剣を腰の横の磁力式ホルダーに着けて、コックピットだけ無傷のFOXアニマに近付く。

『我らの贄になってもらう…』

 シルバリーのパイロット、ロンズバット・ファイは拝むように告げると、再び細剣を構えFOXアニマのコックピットに向かい振り被る。


 そこに…


 シルバリーとFOXアニマの間の地面に突然一本のチェンソーブレードか風切音を伴って突き立つ。


『間に合ってないけど最悪の場面には間に合ったなっ!』


 ロータリー上空に音速で接近する紅いディ・ソード。

 その機体はそのまま、腰から一振りのチェンソーブレードを抜き放ち、滑空しながらシルバリーに向かって突進する。

 シルバリーも細剣を振り対抗する。

 その切先をディ・ソードのチェンソーブレードの先端が正確に捉え止める。 

 そこからディ・ソードは滑空の勢いのまま腰のスラスターを吹き、一回転しシルバリーの胴体を狙うがシルバリーの逆手で腰から持ち上げた細剣が受け止める。

 着地と同時に地面に突き立つもう一振りのチェンソーブレードをディ・ソードは手に取り、後退しながら防御するシルバリーにバトンのように二振りのチェンソーブレードを手首で回し攻撃し細剣の刃をボロボロに砕く。

 最後にチェンソーブレードを一閃するとシルバリーの二本の細剣が真ん中で折れた。

 ディ・ソードの双眸のような頭部カメラが緑色に輝く。


『毎回毎回あったまくるぜっ!お前らのやり方はっ! 今回も随分いいようにやってくれたらしいなっ! カウンターっ!』


『アルバ…デルキランか……』

 

 

アルバさんが出て来ました。河原ブーメランはちゃんと寝れるかも見どころですm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ