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エピソード41 勤務時エロ用語検索事件

「アルバ艦長が行けばダイジョブダイジョブ‼︎ あーしが梅昆布買って来てって言えば割と買いに行ってくれるから、今回もその感じその感じ‼︎」

 メイルストローム号の艦橋の末端のオペレーターの席にしては豪華な背もたれの椅子に座り、小魚の甘露煮を干した菓子を口に放り込みながらラシー・セルシーは鼻歌まじりに言う。

 それを隣の席でラシーの同僚のオペレーター、ルナ・コートリアムが、今は金属の板で蓋をされている埋め込み型キーボードのデスクに頬杖を突いてため息を吐く。

「ねえ? ラシーちゃん、艦長って女の子には異常なほど優しいからってパシリみたいに言っちゃダメよ? お父さんの1番の弟子だから私はすごく心配…大丈夫だとは思うけどあの大怪我で出て行ったんだから少しは心配しなきゃ…」

 隊服のジャケットを羽織っているが、下は短いタイトスカートに銀髪、細いフレームの眼鏡の奥はトロンと目尻が下がった垂れ目なので、どこか女教師を彷彿とさせる彼女は、なんとなしにラシーの頬を抓る。

「痛いじゃん‼︎ だってあのおっさんいじりたくなるしっ‼︎ ルナのお父さんの弟子ってのは知ってるけどなんかルナのこと好きっぽいしっ‼︎ キモいしーっ‼︎」

「えっ? そうなのかな? 重いもの持ってくれたり、ドアのボタン押してくれたり、話す時ジッと私の目を見てきたり、必ず飲み物を持って会いに来てくれたりするのってそう言う事なのかな? あと、なんか歩きながら話す時に下を見ててくれたりしてコケないようにしてくれてたりするのって…」

 顔に両手を当てながら顔を赤くするルナの胸元を見ながらラシーはジト目で、

「それは多分ルナのミサイルを見てると…ルナのミサイルをあのおっさんごときには無視できないし…バリボーは男は誰も無視できないしっ…」

 そう言いながら、ラシーは自分の人並みなものを両手で確認すると、

「特盛りはいいしっ…」

 そのラシーの挙動にルナはキョトンとした顔で返す。

「えっ? ミサイル? バレーボール? 特盛り? 男性ってミサイルを特盛りに使うバレーボールが好きなの? でもそんな危険なスポーツって私良くないと思う」

「そんな訳分かんないスポーツ流行らないしーっ‼︎ 自覚しろしっ‼︎ 天然ホルスタインっ‼︎」

 ムキーッと縦ロールを揺らし憤慨するラシーをルナは冷静な目で見ると、

「テンネンホルスタイン? 今調べてみるわね‼︎」

 早速デスクの端のスイッチを押し、現れたキーボードに打ち込んで調べようとするルナ。

「調べるなしっ‼︎ マジでっ‼︎ 嫌味っ⁉︎ ルナ氏はホント無垢エロ天然超合金‼︎」

 急いで立ち上がりルナの打ち込んだ文字を削除するラシーだが、気になったら調べる子、真面目娘ルナ・コートリアムは止まろうとしない。

「ホントムクエロテンネンチョウゴウキンなんて長い単語聞いた事ないわ‼︎ 本社のネットワーク探してみれば出てくるわね‼︎ きっと‼︎」

 天然ホルスタインから標的を変えたルナは高速ブラインドタッチで消す速度より早く打ち込み続ける。

「フフフフフフフフ…‼︎」

「やめろしっ‼︎ 検索履歴残ったら羞恥だしっ‼︎ 篤国のネットワークはなんでも出てくるから下ネタ検索したら案件だしっ‼︎ やめろーーーーーーーーーーーーーーーっ‼︎」

 ラシーの抵抗虚しく画面には検索結果が…

「あちゃーーっ…」

 目を押さえて軽く呻くラシー。

 検索結果が表示されたディスプレイをルナはマジマジと見ながら顔が次第に強張り出す。

「・・・・・・ねえ? ラシーちゃん…? 私ってこんなに下品な映像の女性たちと同じ感じするの…?」

「割と…性格とか身体とか…」


 これが篤国財閥に残る不祥事、勤務時エロ用語検索事件の第一弾である。


「ククク…君たち相変わらず面白いね、お兄さん笑ちゃったよ。ひひひ…お腹痛い…はは…」

 ラシーとルナの後方の艦長席の傍に寄り掛かり静かに笑うドングリ頭の細身の若い男性クルーはイナクス・シェイクリスプである。

「イナイナッ‼︎ 今のは見なかったことにしてし〜…」

 涙を流して両手を合わせて頭を下げるラシー。

「この検索記録ってイナクスさんなら消せたりしません?」

 申し訳なさそうな顔でルナも願い出る。

「特に詳しい人に調べられない限りわからないようには出来るから後でしておくよ。それよりさ〜、格納庫の奴らがラシーに伝えるの忘れたって言うから多分艦長もこのこと知らないんだよね〜」

「「?」」

 顔を見合わせたラシーとルナが一緒にイナクスを見る。

 イナクスはこめかみを掻きながら、

「艦長が乗って行ったディ・ソードの両脇の拡散レールガンなんだけどさ。あれ左右出力違うから同時に打つとすんごい勢いで機体が横に回転しちゃうんだ」

 サッと手を横に振りながら爽やかに言い放つイナクス。

「うちらよりそっちの方が事案じゃね…?」


ルナがちゃんと生きた会話で登場するのは今回が初ですね。しかし、なろうの作品を読んでいるとルナって名前とても多い( *´艸`)

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