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エピソード2 日常

「う〜、いたたたたっ…」

ロザンナが放った、タッチパネル用コンパスの投擲を額にくらい出来た小さなコブを、都原カイトはスポーツ飲料の入ったペットボトルを当てて冷やす。

午前の授業は終わり、午後に行われるこの学園コロニーレゾナンス全教育機関共通の授業『ジョブ』のため都原とドルチェ、リッジスは市街地を歩いていた。

『ジョブ』とは、いわゆる職業訓練の授業である。なぜこの授業が全教育機関共通の科目なのか、と聞かれたら、レゾナンスの人口は400万を超えて、そのほとんどが10代の若者であるからして、仕事のみをしている人間がほぼいないのである。それじゃあ都市が機能しなくなる。なので職業訓練という名目で学生達にこの問題の溝を埋めてもらおうというわけだ。もちろん授業とはいえ、働くわけだから賃金も支払われる。どの職も最初はしっかり手取り足取り仕込まれるし、資格が必要な仕事にはもちろん取得支援もある。このシステムが功を奏し、レゾナンスの学生は学ぶことから結びつけられる『働く』という事を自然に覚えることが可能となった故、宇宙政府の信頼を獲得することとなった。その為、レゾナンスの教育機関を卒業し、他のコロニーに就職する際、多少優遇される特典を得るようになった。

都原達が行うジョブは今は伏せておこう。

とりあえず移動時間であり昼休みでもある今だ。

大型電気店や複合施設、百貨店に世界中の料理を網羅したかのような飲食店が並ぶ街は、どこか日本の秋葉原を想起するようで活気に溢れ、都原達も昼食を相談しながら進む。

「腹ってなんで空くのかな? 教えてくださいよ、ドルチェさん…」空腹のあまり都原の口から吐き出される息に、彼の魂が漏れ出ているように感じたドルチェは、

「減るからね、以上‼︎」

「これ以上わかりやすい答えはねえな…」

と都原は額に当てて少し温くなったスポーツドリンクを一口飲む。

「それよりもさあ? ロザンナ先生あのあと号泣してたけど、ちょっとオーバーじゃなかった?」

そう言ってドルチェが首を傾げる。

「ねえ、トドメを刺した張本人が自覚が全くないんだけど…?」

リッジスが都原に同意を求める。

「まあ、美人で収入もいいのに彼氏のひとりもできない状況で、その事で生意気な生徒におちょくられた末に、若いルックスの良い女子生徒に、過ぎ去りし日々は帰ってこないんだよ、って言われたら、そりゃ泣くだろうよ…」

都原が通りかかった公園の広場の前にある屋台を凝視しながらさらっと言うと、

「えっ‼︎ あたしルックス良いの?」

と、ドルチェが自分の顔を指差す。

「まあ、それなりには…」

「ふ〜ん…」

少し照れた様に口を尖らすドルチェをよそに、

「昼飯はあの屋台の冷やしカップうどんにするか?」

「ホント、女の子が気恥ずかしくなることポンと言うんだから…」


屋台で透明なプラスチックのカップに入った天かすと刻みネギ、温泉卵と氷の乗ったうどんを受け取ると、都原達は割り箸でうどんを口に運びながら再び歩き出す。

「それにしても俺たちって、よくあのジョブに就けたよな?」

うどんを頬張りながら都原。

「授業の求人見つけた時は面白そうってだけで選んじゃったからね〜」

リッジスは温泉卵をカップを傾けてつるんっと飲み込む。

「最初は出来るかどうか不安だったし、今思えばソーディスの学生ならこれほど勉強になることは無いわよね?」

ドルチェが最後のうどんを喉に流し込む。

「お陰で仮免筆記はパス出来る自信はあるよ」

3人はうどんのカップを道端にある回収ボックスに入れると、遠くに見える高さ500メートルを越える、学園コロニーレゾナンスの中心に聳える統括理事会の本山『生徒会タワー』の馬鹿でかい時計を見る。

時刻は13時5分、13時15分始業で目的地まであと1キロほどある。

「ちょっと急ぐか…」

と、都原は道路脇の自分の腰くらいの高さまである角柱のパネルに、胸ポケットから出したIDカードを差し込む。

すると、角柱のそばの道に四角く囲うような柵が現れ、囲まれた中の道路が横にスライドして開くと、下から白い四人乗りのバギーが登ってくる。

バギーが登り切ると柵が道路に仕舞われる。

バギーにはハンドルは無く、前列席にナビゲートシステムが付いているだけのレゾナンスのIDを持つ生徒だけが無料で使える交通サービスである。

都原達はバギーに乗り込みシートベルトを締める。

『こんにちは、目的地を音声入力でお願いします』 

バギーのナビゲーションシステムが電子音声で訊ねてくる。

「VSA第二研究所まで急ぎで頼みます」

『かしこまりました』

電子音声が告げると、バギーは走り出した。



都原達の住む環境は伝わったでしょうか? 個人的にはまだ少々足らないと思っているのである日突然、修正を加えるかもしれません。ジョブという授業は僕的にはすごく楽しいものだろうな?っと学生の頃から考えていた授業です。さて、次のエピソードでは都原達がどのようなジョブをやっているのかを書かせていただこうと思います。ちゃんとイメージが伝わるように書けるか不安ですが、なんとかやってみますので応援していただけると嬉しいです。ではでは〜。

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