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エピソード34 そういう人

「インディ・ジョー○ズってこんな感じだったのかな?」

 ほんの少し息を切らせながらリッジスとその他5名は若干傾斜した床の白い迷宮を突っ走る。

 しかし一名はシェリーに抱き抱えられたままではあるが。

「なんかさーっ‼︎ 科学だなんだ言ってる研究所とは思えない罠なんですけどっ⁉︎」

「これは少々ふざけすぎだとは私も思う…」

「ケビンちゃんは私が守ってあげますからねー」

「うーーーっ…」

「ここの職員は個性的だからこういうの大好きなんだ、仕方ないさ、ハッハッハッ、っと、この速度で走ったら流石にドルチェちゃんの短いスカートのヒラヒラがすごいね、こりゃ絶景だ」

「バッ…こんな走るしかない時にそんなとこ見てんじゃないわよ‼︎ 変態教師っ‼︎」

 各々が心中を語りながら走る後ろには直径2メートルはある鉄球が転がり迫っていた。恐らくテッツ・コット・ミロットが乗っ取った地下研究所の警備システムから地味に残酷な古い罠として放ったのだろうが、そもそもこんな原始的トラップを予想していなかった一同である。

「これさ? 姐さんのPWの出力で対抗したら止められないかな?」

 リッジスが若干辛そうな表情で人差し指を唇に当てて提案する。

「あー、あたしもちょうどそれ考えてたんだけど…やってみる?」

 気の進まない気怠げな口調で言う少女の斜め後ろで白髪メガネ教師は片眼を瞑って、

「んー、それはもっと早くに試すべきだったかなー? この質量のものがここまで加速していたら対艦ミサイルでもぶつけなきゃ止まらないよ」

 どこか達観したように語る教師は焦らない。

 ハリスの何か秘策を隠しているような表情にドルチェは少しイラッとした。

「じゃあどうすんの? これ? このまま体力無くなるまで走り続けて最後はお煎餅ってこと⁉︎ 若い身空であたし死にたくないわよ‼︎ ならシェリーさんのPWは? 侵入者と沙耶とシェリーさんが戦った時のあの地面めちゃ抉れてたのってシェリーさんのPWの跡でしょ?」

「今、私がバスタードフィスト使ったら、抱っこしてるケビンちゃんを一旦下ろさなきゃだから、私が構えるまでの間にケビンちゃんがプチッといっちゃいますわね。ケビンちゃ〜ん、お姉ちゃんケビンちゃんを放って逃げたりしませんよ〜」

「僕は赤ん坊じゃない‼︎ けど今降ろされたらプチッといく…」

 シェリーにお姫様抱っこされたケビンが恥ずかしそうに顔を手で覆う。

「私のPWは攻撃範囲が狭いのでこの鉄球を止めるには向かないな…」

 サイモンが唸りながら自己分析の結果を漏らす。

「あーーーーーーーーっ‼︎ 詰んだーーーーーーーっ‼︎ あたしの人生お煎餅エンドってエッジが効きすぎなんですけど〜〜〜〜…」

 溢れる涙を後方に残しながら必死で走るドルチェだったが…

「…ふんぐっ…ドルチェちゃんの涙を摂取できた…ふう〜…」

 ハリスが流れ飛んでくるドルチェの涙を懸命に口に収めようと首を動かす。

「なんでこいつこんな時までキモイのよ〜〜〜〜・・・」

 最早どんな理由でも泣けてくるドルチェだったが、遥か前方に二つの人影を認識すると瞬時に泣き止んだ。



「カイトさん、この扉ってどう開けるんでしょう? 引いても押してもダメで、横にも開かない…この溝にはなんの意味が…?」

 篤国沙耶はウーディー・ロア博士の研究室の扉を観察したり手触りを確かめたり様々な開け方を試していた。

 縦に一筋の溝があるだけの扉である。シンプルなようで開け方が全くわからない。

 都原カイトも隣で手段を考えてはいるが扉や鍵の知識は一切ないのでどれも正解とは思えないでいた。

 そんな時・・・

「なあ? 沙耶? あっちからゴロゴロ音がする…って、あれハリス先生達だ‼︎ おーい‼︎ おおっ⁉︎」

 都原は瞬時にPWを具現化させ構えるが目に入った情報に身動き出来ずに固まる。

 都原の反応の異常さを沙耶は察知し弁慶を具現化する。

「て・・・きゅう・・・に追われている・・・んですか?」

 ドルチェやシェリーの後ろに迫る巨大な鉄の塊を見て沙耶の頭の中では瞬時にレールガンが思い浮かぶが、それだと鉄球の前を走る仲間にも余波で怪我を負わせてしまう事に気付き機械腕を展開させ受け止めようと身構えるが…

「カイトさん‼︎ あれは私たちにも対処できません‼︎ 逃げますよ‼︎」

「お・・・おう・・・」


「カイト逃げて逃げてーーーーっ‼︎」

「お嬢様‼︎ プランCです‼︎ 一時撤退です‼︎」

 都原と沙耶の生存を確認した喜びなど吹き飛ばす事態に、叫ぶしかないドルチェ達。

 

 だったが…


 一人の白衣を着た白髪メガネの男は立ち止まり鉄球と向かい合う。


「本当に仕方ないね…君達は…もうちょっと策を練ってみる時間はあっただろうに…まあ、これには僕も仕方ないって言うしかないか…」


 教師の言葉と共に鉄球は消え去った。

 というより、鉄球は彼の指の先ほどの大きさに小さくなり摘まれていた。

「まっ…こんなもんさ…ブッ‼︎‼︎」

「早くそれやれよ‼︎」

 ドルチェのエレメントフィストがハリスの横っ面を殴り飛ばした。


 



引っ越しの支度で投稿ペースが落ちてしまい申し訳ありません。

主人公たちも合流しレゾナンス編の起承転結で言うと転の真ん中あたりに差し掛かります。引っ越しが終わったらまたペースを上げるので、どうかお許しくださいm(_ _)m

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