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リバイバルシード 〜The birth voice of the stars〜  作者: 河原ブーメラン


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エピソード16 伝達

「いや〜、君たち面白そうな話題で盛り上がってるじゃな〜い‼︎ 先生も混ぜてくれよ‼︎」

 深刻な空気で話していた都原達のシチュエーションをぶっ壊した張本人が、操縦用着装を背部から蝉の羽化のように脱ぎ去ると、部屋の脇に置かれていた白衣をシュバッとワイシャツの上に羽織る。

「先生は何故、一人じゃシミュレーターは起動できないのに操縦用着装の中でぶら下がっていたんですか?」

 ケビンは奇妙な生き物を見るような黒目の位置が定まらない視線をハリスに向けて質問した。

「先生も君たち同様、ぶら下がりたいお年頃なんだよ…わかるだろう?」

「あたし達全員わからないと思うんだけど…」

 ドルチェが他の三人に目線で同意を求めると、全員二度頷く。

「黙りなさい。このムッツリブラサガリスト達め。恥ずかしいからってぶら下がりたい気持ちを隠す必要はないんだ。それにな? この操縦用着装はドルチェちゃんも着ることがあるだろう? 毎日掃除していて清潔だがな、今着てみてわかったが微かにドルチェちゃんのいい匂いがするんだ。この匂いは女子寮のお風呂場にあるボディーソープにドルチェちゃんの汗が混ざったとても芳し…」

「ウラーーーーーーーーーーーーッ‼︎‼︎‼︎‼︎」

「プンッ…………」

 怒りと恥ずかしさで赤面したドルチェの光速の右ストレートがハリスの顎を横から貫き、ハリスの全身が二メートルは床を転がる。

「なんであんた女子寮で使われてるボディーソープのことなんて知ってんの⁉︎ しかもあたしの汗の匂いとか⁉︎ 嗅いでんの⁉︎ 普段からそばにいるとき鼻息荒いと思ってたけど嗅いでんの⁉︎ 警察に突き出すわよ⁉︎」

「そう‼︎ そういう感じもいい‼︎ とてもいいんだ‼︎」

 倒れた状態から上半身だけ起こして、ハリスが真顔で叫ぶ。

「まだ言うか‼︎‼︎」

「はーい、ドルチェ落ち着け落ち着けー」

「姐さん、ドードー」

 ハリスに追撃を叩き込もうと拳を構えるドルチェを、都原とリッジスが慣れたように両脇から腕を回して肩をガッチリと押さえながら制止する。

「先生、俺は先生のそういうとこ結構好きだけど流石に性癖露わにし過ぎだぜ?」

「猥談は男だけの時にしようよ、ケビンももう参加出来そうだしー」

「フー‼︎ フー‼︎」

 闘牛のように興奮したドルチェを二人は息の合った動きで椅子へ座らせる。

「なぜか僕もそっち系の世界の入り口に立たせられている…」

 引き攣った笑顔でケビンが傍観していると、

「ケビンくん、君のお祖父さんだけど、さっきの話を聞いてて確信したけど結構危ない橋渡ってると思うよ?」

 ハリスがいつの間にか立ち上がり、両手をシワ一つない白衣のポケットに突っ込んでケビンに向かってツカツカと歩きながら言う。

「え? 先生それはどういうこと…?」

「だって、ウーディー・ロア博士は僕の師匠に当たる人だからさ」

「「・・・・・・・・・・・・」」

 座らされていてもなお暴れようとしていたドルチェを含む全員が一瞬固まる。

「「ええーーーーーーーーーーーっ‼︎‼︎」」

 

「それ初耳ですよ⁉︎ 先生‼︎」

「うそですよね? ウーディー・ロア博士の大学の講義だって、宇宙中の学者が一生に一回くらいしか受けれない倍率の抽選で埋まるくらいなのに、師匠って呼ぶってことは毎日のように授業受けてた生徒でしょ? つまり先生はレゾナンスの伝説の学級『ネクスト』の一人だったってことですか?」 驚きの余り放心状態のドルチェから腕を解き、都原はハリスに疑いの視線を飛ばす。

「嘘じゃないさ…」

 ハリスは自分の電子IDカードの表示を切り替えると、一番近くにいるケビンに見せる。

 ケビンは一度メガネを外し目を擦ってからカードを凝視する。

「学生番号…NEXT-013…ネクストの出席番号13…ハリス・ウォードン…本物だ…」

「マジかよ…先生が、世界最高の頭脳が持った唯一の担当学級の生徒だったのか…」 

「あんまりよく分からないけど凄いってことはわかるよ…」

「あたし、そんな人を今まで殴ってたの…?」

 意外過ぎる事実に表情の定まらない四人だったが、

「信じていいんですよね…?」 

 唾を呑み訊くケビンの肩にハリスはポンと手を置き続ける。

「もちろん、だがここまで話して悪いけど、復活の種と言う言葉に深い意味があるのか疑問を持ってしまった時点で、君たち全員すでに世界の命運に関わる事態に巻き込まれているんだ」

 そう言ってハリス・ウォードンは壁に向けていた鋭い眼光を身を翻しながら全員に投げた。

「さっきの君たちの話が本当なら師匠の身が危ない、信じてくれ…」


「師匠はよく言っていたよ。現実は新たな想像を呼び、想像は新たな現実を呼ぶ、と…」

 ハリスは言いながらテーブルに指で大きな円を描いた。

 五人は中心に丸いテーブルを置き、円を描くように椅子に腰をかけている。

「まず今の技術があり、そこから思い付く新たな技術が確立するとそこから人は更に新しい技術を作り出す、その繰り返し…と言う感じですか?」

 都原は自分なりに解釈した言葉で表現して理解しようとした。  

「うん、それで問題ない」

 ハリスは親指と人差し指で丸を作る。

「まぁ、ニュアンスはわかるけど、俺たちがもう巻き込まれているというのはなんでなの?」

 リッジスが眉尻を下げた困り顔でハリスを見る。

「師匠が失踪し行方不明と世界に発表される前に地下研究所で行われていた研究により完成するはずだったものが、復活の種だったからさ」

「でも、それを知ってあたし達が世界の命運に関わる事態に巻き込まれたってどういうわけ? あたしそれ全然見当つかないんだけど?」

 ドルチェはただ首を傾げる。

「師匠が僕が学生の頃言っていた。地球が生命の戻れない場所になってしまった原因、今で言うカウンターの作ったイリスウイルス、その唯一の適応者が地球にまだいるかもしれない、その可能性が高いってね」

 それに反応したようにケビンは一瞬ビクッと座ったまま身体が跳ねさせた。

 そして口元を押さえてゆっくり呟く。

「それって…地球共鳴者の話ですか?」

「「?」」

 ケビンとハリス以外が目を点にして明後日の方向を見て、地球共鳴者という言葉を脳内検索するが出てこない様子。

 ハリスはケビンに一回頷いた後、指を口の前に一本立ててウインクした。

「イリスウイルスは感染した者の想像のままに肉体を変化させてしまうウイルスで、その適応者はつまり自分の姿を意のままに変えられるようコントロールできてしまう。それは脳や神経、精神にも作用する。その3つを使うと可能になると言われていることがある。俗に言う超能力さ」

 その発言にケビンはすんなり受け入れたように首を縦に振るが…

「そんなことってあり得るんですか?」

「そうよ‼︎ 突飛すぎるわ‼︎」

「マンガの世界だね〜」

 VSAの知識と一般教育のみの三人は頷かない。

 ハリスは平泳ぎのように手を三人に向けて一度動かし、場を落ち着かせる。

「まあまあ、でも君たちだってイリスウイルスに似たようなものを体内に入れているんだよ?」

 教師は二の腕に人差し指を刺すようなジェスチャーをする。

「あ…もしかして…ソーディスの入学の際に打った注射…ですか?」

 都原がハリスのジェスチャーをそっくり真似しながら、尻すぼみに言葉を口から搾り出す。

「あれってただのバイタルチェックの一環じゃなかったの?」

「俺もそう思ってたよ…」

 思考は動いているようだが唖然としている様子の三人にハリスは、

「健康に害のあるものじゃ無いから安心してくれ…本当ならソーディスを卒業してから説明されるんだけど、あの注射はタンパク質で出来たナノマシンの注射で、君たちにはパーソナルウェポンっていうものが卒業したら与えられるんだけど、それは君たちの遺伝子やこれまでの経験によって育まれた脳の状態や精神状態をナノマシンがオリハルコンという特殊金属で造られたデバイスに伝えて君たち各々だけの武器に形を変えるというものなんだ。それはある意味超能力に通じるものを感じるだろう? 例えばテレパシーとか…」

 そこまで顎に手を当て聞き入っていたケビンはハリスの説明で悟ったように辿々しく、そこから先を推測で話し出す。

「つまり、テレパシーとかそういう感覚でイリスウイルスにもデバイスに脳や精神の状態を伝えるナノマシンのような外部に作用する力があり、さっき話に出たイリスウイルスの適応者は地球から宇宙の人間にも何かの力を飛ばしている、と言う事ですか?」

 ハリスは口元を緩めてケビンを観察し、笑顔で頷いた。

「本題はここからだ。でも、ちょっと疲れたし一旦気を緩めよう。僕はコーヒーを入れるから、リッジスくん僕の机にクッキーあるから取ってくれる? ケビンくんは皿を用意して? 都原くんとドルチェちゃんは…うーん…そうだなぁ…僕が食べたいから爪切りでドルチェちゃんの足の爪切って、この瓶に入れといて?」

 ドンッ‼︎とどこからか取り出した小瓶をドルチェの目の前に置くハリス。


「ほんとこいつなんなの⁉︎」




 

なんで真面目に書ききれないんだー。゜(゜´ω`゜)゜。読者の皆様本当に変な話ばかり書いてすみませんm(_ _)m

次回も頑張ります‼︎

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