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エピソード15 復活の種

「つまり、ケビンの爺さん…博士は寝言で復活の種、と言っていたわけだな?」

 そう言って都原は顎に右手の親指を添える。

 先程に続きいつものジョブの研究室である。VSAの操縦用着装がクレーンでぶら下げられている周りに、都原達は椅子を置き、半ば強制的にケビンから聞き出すように、ウーディー・ロア博士の話を考察していた。席順はケビンに向かい合うように右からリッジス、ドルチェ、都原の順である。

「そうだね、明晰夢ってみんなは知ってる?」

「これは夢だと自覚して自在にコントロールして見れる夢ってやつよね?」 

 ドルチェが指を一本立てて答える。

「そうそう、脳が覚醒状態だから効率が上がるから勉強に使う人も結構いるってやつ」

「うへー…夢の中でまで勉強したくな〜い…」

 リッジスが舌を出しうめく。

「それがどうかしたのか?」

 と、都原が片手のひらを上に向けて軽く揺らす。

「明晰夢とはいっても確実に思い通りに見ることは出来ないじゃない? でもさ、おじいちゃんは99パーセント意図的に見れるよう訓練をしていたみたいなんだ」

「「うん?」」 

 三人が目を見開いて首を傾げる。

「つまり、ほぼ確実に見たい夢を見れる、というわけ」

「なんだよそれ…じゃあ、あんな夢もこんな夢も見れるってことじゃん‼︎」

 悔しそうに眼光を鋭くするリッジスに、

「あんたの明晰夢の使い方は生産性全く無しね…」

 ドルチェが横から脳天に手刀を軽く見舞う。

「まあ、でもそういう事なんだよ。解釈としてはそれで正しいんだ」

 ケビンは三人の顔を端から順にゆっくり眺め一度頷く。

「夢というものはインプットしたものから作られる。見たことがない街の夢とかあるけど、アレも記憶の編集、継ぎ接ぎの記憶により生まれたものなんだ。明晰夢もつまりは一度インプットしたものを元に意図的に見る夢ということになる。ここまでは大丈夫?」

「なんとか…」

 そう言って頷くドルチェに一拍遅れて男子二人もコクンと頭を振る。

 ドルチェは三人の中では一番コミュ力が高く、友だちの話ならば尚更理解が早い。それ故、ソーディスの女子生徒からは様々な相談を持ちかけられることが多く。人柄もあるのだろう、人間関係の相談事においては大抵解決に導いている。今回は本領を発揮する話題ではないが、正確に理解は出来ているようだ。

 ケビンは続ける。

「おじいちゃんは明晰夢を見ている時にはっきりした発音で寝言を言うことが僕の知る限り100パーセント。明晰夢以外の夢だと全く聞き取れない唸り声って感じなんだ。そして決まって明晰夢は研究していることに使う」

 それを聞いて都原はハッと顔を上げた。

「それが間違いないなら、復活の種は研究していたことに関係のある言葉ということか」

 ケビンは都原の眼をまっすぐ見て、首を縦に振った。

「そして、その時研究していたのが地球復興の、ってわけか〜」

 リッジスが気楽そうに言って一度虚空を見上げて、

「なんのことだろね? 復活の種って?」

 頭の後ろで腕を組み背もたれに寄りかかるリッジスを指差しケビンは、

「そこが疑問点。比喩だと思うんだけど、なんのことなのかがわからないんだ。地球復興を復活と表現することもできる。でも、種ってなんなんだろうって…」

「遺伝子のことを種とも言わないか?」

 都原が両手の指で二重螺旋を宙に描く。

「それも考えた。かつてカウンター…当時はエデンが地球に撒いたイリスウイルスは生物の遺伝子に影響を及ぼし作用するものだった。適応できる生き物はなく地球が死の星になった。そう考えるとそれを意味する可能性も高い…けど…」

 そこでケビンは口に手を当てて俯いて固まってしまった。

「ケビンくんの集中モードのポーズだわ」

 ため息を吐いてドルチェが肩をすくめた。

「これになるとしばらく動かないからね〜」

 リッジスもドルチェと同じ動きをして、都原に目配せする。

 それに都原は首を横に振って、一度肩を回し、壁にかけてある時計を見ると、

「ジョブ始まって10分オーバーしてるじゃん。ハリス先生また遅刻かよ?」

「いるよ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜…」

 クレーンに吊るされた操縦用着装の頭部が開き、ハリス・ウォードンが顔を見せた。

 

投稿が遅くなって申し訳ありませんm(_ _)m

毎年この時期に風邪を引いてしまう習慣のようです。読者の方々に早く続きをお届けしたいと、仕事以外の時は大体、毛布にくるまってそう思っていました。なので、今はとても嬉しくて嬉しくて(о´∀`о) 今回も真面目な話です。次回も真面目な話です。その次は…

是非とも読んで確かめてください(^人^)

ではでは〜(^^)/

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