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エピソード11 地球共鳴

 都原カイト達がVSA操縦士養成学校ソーディスに登校した頃。


メイルストローム号のミーティングルームでは篤国沙耶とアルバ・デルキラン、シェリー・マクセラスとサイモン・スペンサーが、中心にホログラム投影装置付きのテーブルを囲む会議席に座り、各々深刻そうに顔を見合わせていた。

 仄暗い部屋を照らすのはテーブルの四隅に着いた黄色い照明。

「我々がレゾナンスにいる事は漏れていないはずなんだが…」

 アルバが腹を抱えるように腕を組んで最初の問題を提起する。

「おそらくカウンター側のナイトメアの地球共鳴者に知覚能力に長けたものがいるのでしょうね。電子的な追跡が無いのであればそれで察知された可能性が高いです」

 沙耶が両肘をテーブルにつき指先と指先を合わせながら言う。

「という事は、カウンター側にはテッツ以外にもう一人地球共鳴者が同行しているという事ですか?」

 サイモンの問いに沙耶は頷くと隣のシェリーを見る。

「レゾナンスに侵入を確認されているのはテッツのみ、おそらく知覚系の能力者はコロニー外からテッツに情報を与えているのかもしれません」

 シェリーがアルバに成否の判断を求める様に顔を向けた。

「俺はその読みで正しいと思う。イデアの地球共鳴者のお嬢様は何か感じ取れませんか?」

 視線が沙耶に集まる。

「私も知覚系ではないのでざっくりとしたことしかわかりませんがやってみます。少し待ってくださいね…」

 沙耶が目を閉じ呼吸を整え集中する。

 自分から延々と身体中の血管が周りの世界へと枝を伸ばしていくような感覚、水面の波紋の起きた地点を辿るように意識をなぞり、熱を持つ生命力を宿す点を探す。

 伸びた枝の全く違う方向に進んだ先に微かな寒気のする気配を二つ見つけると、

「確かに二人いますね、覚えのある気配はテッツでしょう。もう一人には私は会った事ない感じがします」

「ふむ…」

 アルバが顎に手を当て少し考え込む。

「テッツの能力や知覚系なら地球への負担は少ないが、有限なもの故、そうポンポン使ってほしくはないな。まあ、奴らも恐らくこのコロニーに来た理由は我々と同じだろうな。それしか考えられん」

「星の生命も無限ではありませんし、核となっているがいつ崩壊してしまうかもわかりません。私たち共鳴者が能力を行使するにはの生命力が必要です。いくらたった一人、イリスウイルスの適合により無限の命を手に入れたといっても、それは概算上の時間的猶予で、千年もの間、眠りについているに無限に時間があるとは保証が無いですから…」

 沙耶はそう言って手元に置かれたティーカップを手に取り、一口飲むと、

が生きている間に地球への道を切り開かなければ、人類はこの先、故郷に戻ることはできないでしょう。その為には賢者と呼ばれたあの方の作り出した鍵が必要です。ウーディー・ロア博士の残した鍵が…」

 思い詰めたように沙耶が黙り込むと、アルバがテーブルの上に設置されたキーボードを叩き、テーブルの中心にホログラムを投影させた。

 白衣を着た白髪に白い髭の老人の立体図。

 それをアルバは険しい目をして肘をテーブルを支えに片手で口を覆いながら、

「鍵がどんなものかは博士しか知らない。しかし、俺たちに縋れるものは最早、この稀代の天才の作り出したと言われるそれしかないのだ…」

「「そうですね」」 

 サイモンとシェリーが声を揃えて同意する。

 沙耶も静かに頷く。

 アルバは一度長い瞬きをすると、

「ああ、地球の鍵だ」


 

 

 

ナイトメアとかイデアとか新しいワードばかりですみませんm(_ _)m続きを読み進めていただければ徐々にわかるような構成にするので我慢して読んでください(^人^)

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