3『求婚はいい加減にしてくれ』
3『求婚はいい加減にしてくれ』
ダンジョンの公開で人口は増えているようだ。
活気づいているリーガルドさんの領土の経済も交易が盛んになった。
上々である。うちにはシークがいるから規格外なのだが、領民が自立して
経済を回さないと意味がないのである。
めんどくさいことも起きている。活気にみちているのをよく思わないものもいるのだ。
王族の取り巻きの貴族である。圧力をかけてきているのである。通行税、ダンジョンの利権に関すものは貴族のものと豪語しているらしい。しかもだ式典で僕の姿を見たそうだ・・・
自分でも言いたくない・・・
『ロゼ様また求婚ですね!お綺麗ですからしょうがないですけどね』
『あぁああ!言うじゃねーよ!』
落胆した俺に止めを刺しにくる容赦ないシークである。
求婚されるたびにどこか不機嫌そうになるのだ。
『この重税は領民にも及びます。これでは領民の首も回りません。
通常でもこのような課税は貴族はしません。回収できない税を取り立てても反発をまねくだけです。』
『だよね。なんでこんな重税してくるんだ?』
シークが呆れた顔で言ってくる。
『本気でいってますか?ロゼ様?』
『え?何俺変なこといったかな?』
『重税を課してるものは?』
『王族の貴族だろ?』
『求婚してきたのは?』
『王族の貴族だろ・・・』
『その王族の求婚を断ったのは?』
『俺ですがああああ!!!シークさん俺男だよ!!!何言ってんだよおおおお!!!何その腹いせがこの重税ってことですかあああ!』
『どうやら男といって断る方便だと思われているようです!穏便に済ませる為にも貴族の方に赴く必要がありそうですね・・・』
『そもそもシークさんがかわいい服着せなければこんな事にはならなかったのにな』
ジロっ見つめると
『ロゼ様の可愛さを分かってもらうには致し方ないでしょ!』
逆ギレしてきたよこの人
『はぁ・・・手紙書いて直接話してもらうしかないよな』
『はい!直ぐに準備いたしますね!』
なんかシークさんめっちゃやる気になってる・・・不安だ。
後日約束が取れたので王都へ行く準備が始まった。
馬車の荷台に大量の衣装が押し込められている。
『シークさんこんなに衣装いらないよ?』
『ロゼ様王都へ行くのですよ!準備は怠れません!』
シークが楽しそうならいっか。
『留守はどしようか?』
『ゴーレムがいるので大丈夫ですよ!』
王都への道のりは馬車で3日ってとこだろう。
二人旅なので食料、水、などの調達を町で済ませながら町の皆に告げると、おまけで二人分以上の食料や装備までもらった。重たすぎて馬車がふらつく始末である。
ギルドにも行くと護衛をつけますよって言われたけど
『シークがいるからいらないよ?』
って言ったらみんな納得した・・・
『シークさんこれもらいすぎじゃない?この兜被らせたけどめっちゃ重たいもん』
体に合わない大きな兜だけ被らされた。
『いいじゃないですか~それだけロゼ様がみんなに愛されているってことですよ!』
シークは誇らしげに馬車の手綱を手に取った。
平和な旅がいいなっと思っていました。
馬車を動かして3時間ほどでその平和が崩れた。
『ロゼ様身を低くしてください!』
気の抜けた声をだしてしまった。
『はい?』
するとブカブカの兜にカンっと弾くような音が鳴った。
弓矢が兜が弾いたのだ!
『ひぃいいいい!!シークさん矢が矢が!』
兜をくれた鍛冶屋のおじさんの笑顔が浮かんだ。
ありがとう!おじさん!
『盗賊です!この馬車では追いつかれます。降りて迎撃します!馬車を下りないで!分かりましたか?ロゼ様!』
『はい!』
矢が今も飛んでくる状態で降りる気もしない。そもそも荷物を乗せすぎたのではと思ったが言える状況ではない。
『狼藉者め!誰の馬車か分かっての行動ですか?』
シーク
シークが盗賊に堂々の牽制を始めた。
向こうも盗賊の頭が出てきた
『諦めて止まってくれたか?虚勢はいいから出すものだしな?手荒な真似はしなくて済むんだけどね?』
いやいや普通に弓矢うってきたよね!
『言葉は不要なようですね。剣で分かってもらうしかありません。』
シークが空虚から大剣を出すと盗賊の何人がひるんだ。
『お頭、コイツやばいですぜ!』
『こっちは人数がいるんだ囲め』
シークが囲まれ、じりじりと詰めようとしている。
3人が飛び掛かるもシークがあっさりと切り伏せる。
相変わらず見事な太刀筋で切り伏せていく。
盗賊の頭が状況が悪くなり、辺りを見回し俺と目が合う
『あ・・・』
やばい!人質にされる。
『なんだこの変な兜かぶったじょーちゃんは』
まんまと捕まってしまう。
『シークさんすいません人質に・・・』
すると瞬間的 怒号と共にシークが飛んできた
『ロゼ様に触るなあああああ!』
盗賊の頭と僕の声が被った
『『ひぃいいいい!!』』
盗賊の頭はぶん殴られて後方に吹っ飛ばされていた・・・
シークさんを怒らせてはいけない!
『近くの町に盗賊を受け渡して行きましょう。寄り道ですね』
受け渡して再度道筋に戻った。
王都へようやく到着した。
先に王様へ謁見する事になった。
例の貴族と揉めても大丈夫なようにとの保険である。
大体の事情を王様にも報告し、税の拝領していただけるようになった。
そのあとこう言われた。
『そなたは益々、美しくなったな!ハハハハ!其方ならいつでも王族に歓迎するぞ』
王様にも言われるしだいであった。そんな事王様がいっていいのかよ。
王様は王族に入ればそのような問題、すぐにでも解決するぞとも言いたげであった。
その傍らシークもクスクスと笑っていたのがムカついた。
シークがその後こう言ってきた。
『ロゼ様、王族に入るんですか?フフフフ』
『俺は地方領主で十分だ!知ってるだろシークは?王様も先代の父親の事を思って気になさってくださっている』
『はい、存じていますとも、亡き親御様の分までロゼ様をお守りすると誓いました』
少し父親の話をするとシークは気まずそうに話した。
『うん、じゃ貴族の屋敷に行って断りに行くぞ。』
切り替えるためにそう言って王城を後にした。
馬車が止まるとシークは門兵に話しかけた。
『先日、お手紙を書かさせていただいたロゼ卿の者でございます。お目道理をお願い致します。』
『確認しますので、しばしお待ちください』
確認が取れたのか、執事が慌ただしく門へ走ってきた。
『お待たせ致しまして申し訳ございません。中へお入りください。』
『はい!ロゼ様入りますのでご準備をしてください』
シークから声がかかった。
長い道のりだった。盗賊に襲われたときはどうなるかハラハラした。
この貴族との話し合いも腰が折れそうだ。
馬車から降りようとすると執事とメイドが一堂に並び歓迎の挨拶が行われていた。
『ロゼ様いらっしゃいませ!』
一堂は礼をされれば圧巻である。
『シークなんか恥ずかしいんだけど』
シークだけに聞こえるようにつぶやいた。
『毅然とした態度でいてください』
普段とは違い、外向きでの対応といった感じである。
客間に通され、主人を待つことにした。
例の貴族がやってきた。
『ロゼ様お待ちいただきすいませーん』
早く終わらせたかったので単刀直入に言った。
『重税の件ですが王様にも意を唱えています。婚約に関する当てつけお辞めください!』
怒って反論すると思ったが違った・・・
『こちらこそすいません。書類にミスがあったようですね。
婚約の打診を文面だけで断られるのが忍びなくて、直接お会いしたかっただけなのです。』
なんてめんどくさい事をするんだ・・・会って話をしたいといえばいいものを。
そのせいで俺は盗賊に殺されかけたぞ。
『俺は男です!そして婚約も致しません。』
ドレスを着た状態でなんの説得力もないがはっきりと言ったぞ。
『それではご主人様の容姿ではなんの説得力がございません。』
シークが突然俺のスカートを舞い上げ、パンツをずらした。
俺の露わになったの貴族がまじまじとみつめている。俺の何が起こったのか分からず
声をあげた!
『あああああああああああ!』
スカートとパンツはすぐに閉じられた。
『何してんだー!シーク!』
シークさん本当に何してくれてるんだ。
『理解していだく為です。ご了承ください。』
無表情で言い放った。
『俺が理解できねーよ!ふざけんな!』
貴族は放心状態になっている。
『・・・ついてた』
そりゃついてますよ。最後に俺はいった。
『もうこれで帰っていい?』
『はい、どうぞ』
事切れそうな声で返事が返ってきた。
帰りの馬車でシークに謝り続けられた。
『ロゼ様、申し訳ありませんでした。』
ムスっとしながら横目で見ると泣きそうな顔で謝っている。
なんかズルいと思いながらも機嫌を損ねているフリをした。
その間親父の事を思い出していて、シークとは会う少し前のことだ。