第7話『愈々お見合い当日にて謎の若女将登場?』の巻
お見合い当日、先ずは戦場(?)へ乗り込んで❝腹ごしらえ❞ってことで、とある居酒屋にて敵陣の動きを探るべく…なんて微塵も考えてない太郎と思い出深い、新任の頃を彷彿させる、馴染み深い、このお店で繰り広げられる愛と涙と感動の…無い賞味5分程度のおフザケ合戦、勃発!…という程度でお付き合い下さいませ!
とある高級料理店…とは行かなくてもちょっとした和食レストランの佇まいにて校長と2人隣り合わせに座る津彼太郎43歳!くどいようだが、未だ独身、結婚歴無し!ま、それは置いといて校長先生と言えば、大黒柱的存在で言わば一家の長、そう世帯主でもある。また学校とて同様で早い話が“学校”と言う名の御城に住む主、親分、ボス、大統領(日本なら総理大臣)とキリが無いくらい責任の重い立場も兼任されておられる存在。そんな立場の凄さを知ってか、知らぬか、この男と来たら、そんな事お構いなしの傍若無人ぶりは健在で別名❝謎の暴走寝台特急-品川行き❞と何が言いたいのか、よく分からないが、遠慮や気遣いとは一生無縁な❝やらかし無双❞のツカレタロウ!
ただでさえ、上司の傍に居るだけで小心者の輩なら、きっと大緊張してそわそわと落ち着かないであろう場面を物ともせず、太郎はやはり太郎のまま、いつも通りマイペース道を貫くかの如く(←「いいえ、貫いています、明らかに!」)校長先生の横に座り…
「ちょ、ちょっと津彼先生!さっきから何度も何、頷いているんですか?しかも前後左右、気持ち良さそうに体揺すって?あなた、もしかして…寝てました?いや、寝てたでしょ、思いっきり!そうですよね?呆れた、全く…!これはあなたの将来に関わる大事な出会いとなるべき特別な日なんですよ!そんなこともお構いなしに口から涎垂らしたりして…みっともないたらありゃしない!あなたには緊張感ってモノが無いんですか、津彼先生!」
「え?『ちょっとすみません!』って何、私のポケットからハンカチ取り出して?自分のが有るでしょうが?さっさと拭き取りなさいって見苦しい!え?無いの、自分のハンカチ?違う、違う!それ、さっき自分の手を拭いた御絞りでしょ?そんなもん、口に当てちゃダメだって…!『ナニナニ、何だって!お絞りの御代わり?もう1本下さい!』って?そんな事よりあなた、常日頃トイレで用を足した後、何で手を拭いているんですか?ま、正か、そのズボンの染みってもしかして…?」
そんなこんなでまた一波乱起きそうな客間で突然、襖が開き、店の若女将らしき(?)女性が…
「どーも、お取込みの所、大変失礼致します!ご注文のお料理、只今お持ちしました!」
先程の取っ組み合い(?)…じゃなくてじゃれ合い?師弟漫才(?)もそっちのけで2人揃って一斉に歓声を上げ、ハモるオヤジ達!
「おぉ―ッ!待ってました!流石に天然物の造りは、活きが良いですなぁ!これって今朝獲れたばっかりなんでしょ?凄~い!」って校長が言えば、その女性は、はきはきと元気一杯の笑顔振り撒いて…
「は―い!今朝産地直送便で送って頂いた当店自慢の…?」と言い掛けて…寸止め?
「ウン、ウン!当店自慢の…何ですか?」(←「ここは太郎が言ってます、この台詞!」)
「ハイ!“お茶漬け”でゴザイマ~ス!」とのたもう始末!
「ハ?」と太郎も校長先生も思わず仰け反って倒れそうになるのを必死に堪えて…
「お…お茶漬けが当店自慢って…え?」
「あ!どーも失礼しましたぁ!新鮮獲れたてワサビをふんだんに盛り込んだ、ワサビの?」
「ワ、ワサビの…?」(←「また2人ともハモってます、ナイス師弟コンビ!」)
「お茶漬けでございま~す!えへ!」
「でしょ、でしょ!やっぱそう来ると思ってたんですよ!ほ~そうですか!なるほどね!“ワサビ茶漬け”と言えば、今や定番お通しとしても超有名ですからね!そうでしょ、津彼先生!」って校長が言えば太郎は太郎で首を横に振って
「え?そうなんスか?イヤ~そんな話は一度も聞いたことが…?」
「シ―ッ!津彼先生、我々教育に携わる者は、常に相手の立場になって物事を考えるのが本業、つまりカウンセリングの極意をよもやあなた、お忘れになったとは言わせませんよ!しっかりなさい!」って校長に言われ、透かさず反論態勢に入る主人公!
「だ、だって校長先生!いきなりお通しで“お茶漬け”って…そりゃ無いでしょ普通?お茶漬けって言ったら一次会でも二次会でも“締めの一杯”じゃないっスか?アルコールの染みた体を潤す、言わば向かい酒みたいなもんでしょ?あれ、ちょっと違うか?そ、そんな事より最後に『えへ!』は要らんでしょ!」
…と太郎も反論にかなり力が入っているご様子!❝いきり立つ❞って言った方が早いかな?
「ま、確かに世間的には、“さもありなん”かも知れませんが、此処を一体何処と心得ていらっしゃる?恐れ多くもかく言う私がまだ平教員だった時分、何度も足繫く通った、正に聖地的社交場、憩い、心の拠り所なりし故郷なんですぞ!時に独り酔い痴れては、大将や女将に愚痴を聞いて貰い、また時には…心を鬼にして強く厳しく激励して下さった、この熱意と愛情の籠った名台詞の数々!
~そんなことで挫けてどうする?教師たる者、常に明日に向かってダッシュ、ダッシュ、ダッシュ!❝何事も前進あるのみ、後退は負けを意味する❞のだぞ!~
…って!ちょ、ちょっと津彼先生、何、私の自己主張を無視して独り美味しそうにズーズーズってお茶漬け啜って…そんなに旨いんですか、それって?」
「上手いも何もこちとらお腹が減って、もう限界なんですって!校長先生もどーぞ!」
「ありゃ!こりゃ、どーもご親切に…では私もお言葉に甘えて…って違います!好いですか、津彼先生、何度も言うようですが、此処は私にとって言わば“心のカレーライス”なんですから、安易なお気持ちで我が心の砦を汚すような、ご発言は、ぜひとも慎んで頂きたいものですな!良ろしいですか?」
「校長先生、お言葉ですが、それを言うなら“心のハヤシライス”ではないかと…?」
「イ~エ、絶対譲れませんよ!ルーの旨さならハヤシよりカレーライスの方が上、旨いに決まってます!」
「ブップ―ッ!スパイスの種類なら断然カレーですって!辛さだって3倍、5倍、10倍とレベルアップ出来るけど、ハヤシにはそれが全然無いじゃないっスか?デミグラスソース一辺倒じゃね、ちょっと…いやかなり単調過ぎませんか?」
「あ、あの…お取込み中大変申し訳ありませんが…?」と口を挟む女性従業員に
「そういう女将は、一体どっち派何ですか?カレーライスそれともハヤシライス?」とハモる中年2人!(←「どっちでも良いんじゃないの!両方とも旨いしサ!」By作者
「私は…?私でしたら勿論…?」
「勿論…?カレー?ハヤシ?」
「チキンライス派です!だってぇ、ヘルシーだしィ、口元も汚れないって言うかぁ~?」
「どっひゃ―ッ!」と天を仰ぎ、両手を上に真後ろへと卒倒する2人!正に打ち合わせそのもので一糸乱れず扱ける有様は、宛ら❝○本新喜劇の芸人さん❞よろしく、どこまで気が合うのか、フザケてんのか、全くを以て意味不明!
「そんな事よりお客様!お二人とも随分論点がどこかズレてらっしゃいません?ご無礼乍らご進言させて頂けるなら…何ですか?そのヒヤシンスがどうだ?こうだっていう痴話喧嘩…?」
「言ってない!言ってないっちゅう-に!」ハモるしか脳が無い中年オヤジーズ!
「私共が日頃よりご提供させて頂いている、この❝居酒屋❞という安らぎ空間がお客様全員にとって…そうですね!砂漠地帯で唯一水が湧き出すようなスポットで在りたい!即ち、これこそが“我が心の○○○○なんじゃございません?」
「オ…オアシス?そうだ、オアシスだ!すっかり忘れていたよ、ワッハッハ!」
そう答えたのは太郎でもなければ校長でもない!何と太郎達と衝立1枚隔てて陽気に騒いでた、これまた中年サラリーマンの面々!(←「他人の話黙って盗み聞きしていたのね!ま、よくある話ではあるんだけどサ!“あるある○検隊”的展開?」)
太郎は、この時さっと答えられなかった自分の無学さを嘆く…?ってことは一切無く、「ここまで行き着くのは随分行数使ったなぁ!」って独りボヤく有様!一方校長は校長でそんなこと、全くお構いなしに独り手酌酒状態!(→「あれあれ、もうそれで何杯目ですか、御猪口!」)
…と、その時太郎は、その若女将風の女性に対して、とある質問を投げかけてみることに…!
「そう言えば女将さん?このワサビ茶漬けが“この店の一押し”っておしゃいしましたが、それって我々が普段食卓で食べているような❝〇谷園❞のそれみたく、ご飯にふりかけて熱湯を注いで食べるというような至ってシンプルなものじゃなく…そうですね!“鯛茶漬け”だとか、“松前漬けのお茶漬け“みたいな由緒ある伝統的な料理なんでしょ、本当は?…じゃなきゃ“産地直送”の何ちゃらが嘘になっちゃうしね!ね!そうなんでしょ、女将?」
すると彼女は、微動だにせず、真剣な眼差しで太郎を見つめ、あっさりと一言!
「いえ!正真正銘、○谷園さんのご支援を受け(←「オーバーだっちゅうの!」)さっと熱湯注いでワサビを乗せただけの一品なんですが、それが何か?」って睨まれる事態に!(←「太郎、ピ-ンチ!さぁ、どうする?この局面をどう打開するのか、ツカレタロウ!」)
太郎は、ヤバいと思ったか、どう思ったか分かないが、ご機嫌取りに徹したのは事実!
「うわ~!やっぱ獲れたてワサビってホント鼻にツ~ン!っと来て刺激が凄いですね!そんな時はやっぱ、お茶飲んでお漬物ポリポリするに限りますね、校長先生!ま、一杯どーぞ?」
「おっとっと!零れる、零れる!く~効いたね!染みたね!たまんないね!“酒は百薬の長”と申しまして…こんな旨いモノを誰が飲まずにいられますかってんだ、こんチキショー!てやんでぇ!飲みねぇ!飲みねぇ!酒飲みねぇ!飲まなきゃいっその事、新人賞にノミネートするぞぉ~?コン竹輪糸コン野郎!なぁ君イ!プハ~っ!酔っ払っちまったよ、この変な黒っぽいお酒ぐらいで…ウィ~ヒック!ヒック!」
…って大燥ぎする飲兵衛に太郎は、真顔で即…
「校長先生!それ、ただのお醤油ですよ!そんなに飲み過ぎると…体に毒ですよ!マジで!」
「ぺッぺッぺッ!おえ~っ!か、辛~い!バッカも~ン!湯呑にお醤油入れて渡す○カがどこに居ますか?あなた、私をコロ助?…じゃなくて殺す気?真面に飲んだ私も○カですけど…!あ~辛い!」そう言うと校長先生は、呆気なくその場で撃沈!全く…何やってんだか?どっちもどっちだけどね!
(つづく)
今回❝お茶漬け❞をテーマに…という訳でも無いんですが、その昔学生だった時分、友人3人でべろんべろんに酔って明け方1時過ぎぐらいに立ち寄った、とある深夜食堂ででボッタくられた記憶があります!3人とも千鳥足で顔真っ赤っかだったからか知らないけど、会計時に店側から「合計3,600円です!」って言われ、3人とも一気に目が覚めて、仕方なくと言うか、泣く泣く全額支払いました!当時の貧乏学生にとって○千円と言う額は、大金です!人相の悪い、その筋直営の店って感じは無く、しかも女性が接待していたわけでも無かったのですが、学生って言うのと泥酔状態が災いしてか、酷い目に遭いました!店側も店主やら店員らが片腕捲りして「払わねぇなら、どうなるか知らねえぞ、コラ!」的オーラ出して半ば威嚇していました!あの時友人2人が呟いた言葉が未だに忘れられません!彼ら行きつけの店だったようですが、たった一言!「ヤラレたぁ!」って言葉が私にとっては、驚きでした!初見なら、❝さもありなん❞なのですが、常連さんにそんなこと出来る関係って一体どゆこと?…って!後味の悪い思い出です、ハイ!