第6話『失くしたお写真とドタキャン電話!』の巻
副校長の羽地満太郎からお見合い話を持ち掛けられるも上の空で話半分、聞き流している津彼太郎43歳!仕事もプライベートも中堅の域に達して「もうそろそろ身を固めてみないか?」という問いかけにも、なぜだかどうしても重い腰が上がらず、一方で相変わらず無関係な相手と小競り合いやら舌戦バトルに余念が無い彼!同期採用でまた幼馴染の羽地の気遣いにも無頓着が災いして大事なお見合い写真を紛失してしまったから、さあ、大変!頼みの綱は親友あるのみ!「まだ幾らか予備はあるんじゃないか?」という安易な考えがまた更なる騒動を引き起こすことに…?いや騒動にはならないか!太郎の知らない所で何かが起きようとしている?え?もう起きちゃったの?ありゃま、こりゃまた残念!いや楽しみ!ってな感じで行ってみましょうか?では今週もこんな感じで中身の無いスタートで~す!どうぞ!
次の日の朝、職員室でまた、ひと悶着発生か?
「だ、だから副校長…いや副校長先生様!お願えだよ!たった1枚でもええだ!1枚でも良いから、この迷える純粋な教師の鏡(?)にお見合い写真を❝○レヨンしんちゃん!❞」(←「笑い起きず!」)
「津彼先生!何ですか、朝っぱらから見苦しい!仮にも聖職者たるアナタともあろう者が私にモノを集るとは笑止千万、前代未聞の恥ですよ!先生自身、物の管理がなってないだけであって“身から出た錆”でしょうが、Mr. Tired!」
「誰が集りだよ!最低でも❝海辺美波ちゃん級の美人ちゃん写真寄こせ!❞って言ってるのに何勿体ぶっての、蜂蜜マーマレード磯辺焼き副校長!」(←「もはや何も言うこと有りません!もっと言ったれ!))
「『まんらん』ですか?私も毎回録画して観てましたよ!あれは最高の朝ドラでしたね!感動しましたよ!内容と言い、役者さんらの演技と言い、こちらも見習いたいものですね、本当!」
「そんな事、訊いてね―よ!ケチケチしないでさっさと寄こしなって!ブロマイドぐらい持ってんだろ?さぁ早く!ってか、ちゃんと、相手見て話しなよ?さっきから背中ばっかり見せて…コノヤロ!」
「あ、あの…津彼先生?」
「え?なんスか、理科担当のリトマスえ先生?」
「伊藤増江です!全然笑えませんけど…そんな事より羽地副校長先生は、さっきからずっと苦情電話の対応に追われて増江!ウフ♡その殆どが津彼先生宛のクレームなんですけどね!」
「へ?…ってことは、この背広を着た後ろ姿の男性って…?キャ~!こ、校長先生!お久しぶりです!」
「毎日会っているのに…ですか?ま、お約束ネタってことで許しましょう!それよりどうですか?津彼先生!私のモノマネも中々どうして素人の域を超えて上手いもんでしょ?“瓜二つ”って感じでその辺りの宴会芸を越えて芸人さんらも真っ青って感じしませんか?またまた煽てて…イヤですよ!『ども、副校長のハチミツオです!』ってね!似てるでしょ?そっくり しゃっくり ぼったくり!えへ!」
「いや~もう大根役者もここまで来れば大した…いえいえ!今の独り言でして…それより正式には『ハチミツタロウ』ですよ、校長先生!」
「ハ?そうでしたか?いつもお二人の会話を聞いてますと、そう聞こえちゃうもんですからね!本名はそうだったんですね!“蜂蜜太郎”?ウフフ!何か笑っちゃいますね!」
「羽地満太郎ですから!お間違えの無く!」(←「お前だろ?そう教えたのは…さっき?」)
「あっ!そうでしたね、失敬!それよりハチミツだなんて…失礼にも程がある!一体誰がそう言い始めたんですかね?他人様の大事なお名前を汚すようなゲス野郎は…?」
「…。」(←「お前、お前、お前!こんな時に黙秘権なんか使うなよ、ツカレタロウ!」)
「あ、そうそう!津彼先生!ちょっと校長室まで来ていただけませんか?例の件でお話が…?今空き時間ですか?授業は入って無いんですね?じゃあ、こっちへいらして下さい!」
津彼太郎と校長先生、2人して校長室へ移動!
「ま、お掛けになって!…で例のお話、その後どうなりました?先方様にOKってことでお話?そう、お見合いの件進めても良ろしいですか?先生の率直な、お気持ちとしては…?日曜日に何か予定等詰まってますか?」
「あ、あ、あ…愛してます!」(←『空いてます!』と言うつもりが…何で?ヤレヤレ!」)
「ハ?今私に言ってどうするんですか?しかもあなた、初対面でお相手の女性にそれ言ったら一発アウトです!物事はちゃんと順序立てをしてから発言しないと大損しますよ!焦るお気持ちも分かりますが…いきなりお見合いの席で“イエローカード”貰って一発退場したくないでしょ?三苫選手の1mじゃないけど、際どい判定とは違うんです!」
「そ、それを言うなら、“レッドカ…?しかも1㎜では…?”いえ何でも無いです!す、すみません!」
「それとね、先生!あの写真、そう!副校長先生からお渡し頂いたと思うのですが、何分あれは先方様よりお借りしたモノなので早くお返ししないと…何かと面倒になりますから!先生もお分かりの通り、現在の世の中、特に個人情報漏洩の関係でね!…で、申し訳ありませんが、お返し頂けませんか、そのお写真?」
「ウォ~!校長先生、そ、そのネクタイ中々お似合いですね!一体どこで買ってこられたんですか?めっちゃカッコイイっスね!ぼ、僕もユニシロで買って来ようかなぁ?」
「いえ…これはね、ウチの家内がデパートのバーゲンセールで買ってきた安物ですよ!税込み1,980円だったかしら?外国製でね、個人的には余り好きじゃないんですが、色も柄もね…!」
「そ、それよりもその柄といい、色といい…ま、正に奥様のセンスの良さが光ってて…その…あの…そのネクタイ、どこで買って来られたんですか?もしかして…ユニシロ?」
「津彼先生!あなた、私の話全然聞いてない上、適当に会話してるでしょ?それに何動揺してるんですか?今日は、まだ金曜ですよ!ウフフ!ウケました?!(^^)!…ったく私の話は真面目に聞きなさい!(←「ハ?」)とにかく『今すぐお相手の方のお写真を返して下さい!』って言ってるんです!さぁ早く!どうしたんです?もう既に副校長先生から頂いてる筈ですよ!無いんですか?あなた、正か紛失したんじゃ…?」
「ち、ち、違いますって…校長先生!失くしてはいませんよ!失くすも何もまだそのお写真すら見てないないんで…確かに副校長先生からお写真の入った封筒はお預かりしましたが、テーブルの上で何か封筒自体がどっかに遊びに行ったみたいで…ハイ!只今、行方不明捜査中で…警視庁としても全力を挙げて原因究明に取り組む所存ですから…ご安心下さい!」
「それを世間では“紛失した!”って言うんです!あの写真が芸能プロダクションの手に渡ったら、こりゃ人儲け…?って何言わすんですか、不謹慎極まりない!反省しなさい!」
「す、すみません!斯くなる上は、この津彼太郎!お詫びとして西神征夷(←「字が違うって!誠心誠意でしょ?西の神の征夷大将軍じゃないんだから…!」)3日間だけ、職員トイレのお掃除をさせて頂きますんで…!許してチョンマゲ!エへへ!m(__)m」
「あ!最後の言葉に真剣さが欠けていたようなんで大負けに負けて1週間でお願いします!しかも職員トイレは業者さんらがいつも綺麗にして下さっているので結構です!部室の男子トイレの7部屋分、頼みましたからね!手抜きすると更に1週間延長ってことも…?」
「へいへい!チック…!」
「チック…何ですか?何なら後1週間から丸1年間に延長しても…良ろしくってよ!」(←「何でセレブ口調なの?」)
「❝逐一❞取り掛かりマース!…じゃ、そういうことで!ご機嫌よう、校長!」
太郎は雑巾、バケツ、それに棒タワシ等抱えてグランドへ猛ダッシュすることに…!お疲れさ~ん!
一方、太郎が校長室を出て行くと同時に内線電話が鳴り、受話器を取ると事務室から…一言!
「校長先生、奥様からお電話入ってますが、お繋ぎしても良ろしいでしょうか?」
「えぇ!お願いします!」
“プル、プルプルプル…!”
「ハイ、私ですが…ウン、ウン!おっとその前に私用電話は、ダメですよ!これは学校用として緊急電話とか教育委員会用に設置してあるわけですからね!個人の携帯にかけて貰わないと…ね?え?『あなたのガラ携、台所に充電したままですよ!』って?それを早く言いなさいよ!(←「てか、忘れて来たこと早く気づきなよ!」)で、一体どうしました?えぇ!ちゃんと手筈は整ってますから…え?何ですって…いきなりドタキャン?またどうして?え?そのお嬢さん、元の彼氏とヨリが戻ったってことで…破談したいって申し入れがあったんですか?そりゃまた、急な申し出と言いましょうか?一方的…勝手すぎますよ!津彼先生とのお見合いは明後日に迫っているって言うのに…なんて彼に言い訳したら良いものやら?先生も殊の外その気で待ち遠しいって言っていたような…イヤどうでも良いような…!とにかく、こりゃ国家にとっても一大事(?)ですから何とかしないと…?何か手を打たなきゃ…?どなたか緊急でお見合いしても良いって女性居ませんかね?あなた、どうですか?『私じゃ、もう高齢だしって…?』ってナニ分かり易い、おボケを噛ますしてるんですか?…じゃなくて❝代役探して欲しい❞って話でしょ?あなた、一体何年夫婦やってるんですか、この私と?全く…笑っちゃいましたけど…!え?あなたのお知り合いに結婚相談員さんが居るって本当ですか?じゃあ今すぐ手配して貰って下さい!急を要しますから…とにかく急いで頼みますよ!手配出来たら即私に電話下さいね!え?どこへって?この電話に決まってるでしょ?え?『私用電話は止めに私用!』って…?洒落言ってる場合じゃないでしょ?クックックック!上手い事、言いますね、あなたも!そんな事より津彼先生には絶対、内緒ってことでテンション上げ上げにしちゃいますから…!良いですね、分かりましたか?え?今晩のおかず何が良いって…そりゃ勿論“肉じゃ…”?」
コンコンコン!→「校長先生、ちょっと良ろしいでしょうか?」
「あ?ハイハイ!副校長先生、ちょっと待って下さいね!」
「じゃ、そういうことでよろしく!ハイ、ハイ…それじゃ!」→“ガチャン!”
「あの…お取込み中でしたらまた出直してでも…ええ!何かお忙しいみたいですし…!」
「イヤイヤ、全然構いませんよ、副校長先生!いえね、教育委員会の先生方もいろいろと大変みたいと申しましょうか、お忙しいみたいで…ハハ…ハハハ!」
「肉じゃが作るのに…ですか?」
「そうそう!ウチのがね、案外上手なんですよ!たっぷり味が染みてて…ハ?何言わせるんですか?ご、誤解ですよ?…じゃなくってほら、先生!教育委員会に以前居たでしょう?冗談が好きな、あの先生?名前何でしたかね?そうそう!内野賀根先生が“じょうず”って読むんじゃなくて…そう、大正解!(←「副校長先生、何も言ってないですよ!」)その彼が“うわて”で味を占めて私を揶揄う訳ですよ!「突然ですが、ここでクイズです!イギリスの老舗超人気ロックバンド『ローリングストーンズ』のボーカルの大好物は?」ってね!副校長先生、分かりますか?答えは『肉じゃが!』←『ミックジャガー』『肉じゃが』←『ミックジャガー』『肉じゃ…』ハハハ!全然おもしろくない?あっそう!」(←「その話は言わない方が良かったような…しどろもどろ感伝わって来て顔が引き攣ってますけど…大丈夫ですか?」)
羽地も如何にも「怪しいぞ!」って目つきで一言も喋らず、じーっと校長先生を見つめる有様!言わずもがな、如何にも雰囲気、“超気まずいです!”オーラ満載な二人!
「エッヘン!あの…用件ていうのは一体何ですか、副校長先生?」
「ハイ!卒業式関係と新年度の校務分掌(←「誰が何の係する?一応責任者決めよっか?」てな仕事らしいです!)について、それと担任決定及び所属学年のメンバー構成等について校長先生のご意見等をお伺いしたいと思いまして…ハイ!」(←「まだ気まずさが…?」)
「分かりました!それじゃ副校長先生!各学年主任と教科主任の先生方を校長室へ一斉に集合させて下さい!今から全体討議に移りますから…!」
「分かりました!早急に呼んで来ます!それじゃ、また…後ほど!」
…と言って校長室から出て行こうとする羽地満太郎!そこへまた再び内線電話が…・
“プル、プルプルプル…!”
「ハイ、私です!そうですか!そりゃ~良かった、良かった!これで私の面目丸潰れも回避できたということで安心しましたよ!有難う!」と言って受話器を置こうとすると…?
何処からともなく「今夜はやっぱり❝肉じゃが❞ですか?」って声が…?
「違いますって!❝肉ジャガイモコロッケ❞ですって!しつこいな!ん?ふ…副校長先生まだ居たんですか?」
「いえ、ボールペン忘れてしまって…ですね!取りに来ただけですから…!」
すると羽地はニヤリと笑い、大声で…?
♪言っちゃお、言っちゃお!教育委員会にチクっちゃお!“公私混同、私用電話”!“肉じゃが、コロッケ、言っちゃお!♪…って?低学年の口喧嘩かよ?
(つづく)
「早いもので4月になってもう2週間が経つんですね!新年度がスタートして新しい環境には初々しさや戸惑い、不安等がつきもので、これがまた後で思い返すと良い感じで❝懐かしい、自分だけの宝物❞になって更にそれが明日への活力に繋がるんじゃないかと私自身は思うのですが、皆様方は如何お感じですか?人生100年時代を生きる、今だからこそ悔いの無い毎日を送って欲しいと思います!」…なんて恰好の良いことばっかり言ってますが、所詮先のことは誰も予想が付かないので気楽にのんびりと日がな一日楽しんでみませんか?「言われるまでも無くやってま―す!」って…?失礼しました!それが一番でーす!